オープンソースの Windows 用スクリーンリーダー NVDA とその日本語版の普及を通じて視覚障害者の福祉向上を目指す非営利活動グループ NVDAユーザ会広島 は nvda.jp ドメインを取得し、2011年12月11日より i.nvda.jp というアドレスで NVDA日本語版 をダウンロードできるサービスを開始しました。これにより、日本のスクリーンリーダーの利用者は、より簡単にNVDAを入手できるようになります。
このサービスはNVDAユーザ会広島(代表:西本卓也、副代表:新家昌高)の活動の一環として行うもので、どなたでも無料で自由にご利用いただけます。配布するのは NVDA日本語化プロジェクト(nvdajp) が開発しているファイルと同じです。NVDAプロジェクトの成果に日本語に関する独自の機能追加を行なっています。ただしNVDA日本語版における一部の機能は開発中です。ソフトウェアおよびサービスは無保証であることをご了承ください。
現在は試験運用として http://i.nvda.jp にアクセスすることで NVDA 日本語ベータ版 2011.3j-beta1 のインストーラー(実行ファイル)がダウンロードできます。2011.3j の正式なリリース後に本サービスも正式運用に移行する予定です。
NVDA日本語化プロジェクトは 2010.2j において日本語音声合成エンジン JTalk (Open JTalkプロジェクトの成果を使用)と日本語入力読み上げの実装を行いました。
2011.1.1j では JTalk に読み上げ速度の変更と女性話者モデル(MMDAgent プロジェクトの成果を使用)を追加し、また日本語点字ディスプレイへの実験的な対応(KGS DirectBM)を行いました。
2011.2j では64ビット版のアプリケーションにおける日本語入力読み上げの対応を行いました。
しかし日本語入力の動作が不完全であったり、動作が不安定で、システムやアプリケーションがクラッシュしやすいという問題があります。
現在開発中のバージョン 2011.3j は、JTalk の音質を改善し、声の高さや抑揚の変更を実現したことに加えて、日本語入力に関しても、ユーザーの皆様とのメーリングリスト等での共同作業の結果、再現性の高いいくつかの不具合を解決しています。また、日本語入力の読み上げサポートを無効化できるようになったので、この機能を使わない場合はより安定した環境でお使いいただくことができます。
こうした改良の結果として、日本でもNVDAに関心をお持ちになる方が今後増えていくことが予想されます。
今回の nvda.jp のサービスは「日本のスクリーンリーダーの利用者がNVDA日本語版のサイトにアクセスしづらい」という問題を解決するために NVDA 日本語化プロジェクトとしてではなく NVDAユーザ会広島 が行うものです。システムとしては個人事業者 オラビー・ジャパン の西本がサーバー環境を提供しています。
覚えやすく短いURLで実行ファイルが直接ダウンロードできれば、インストーラーを実行することで、その先はインストーラー自身が日本語の音声で手順を読み上げます。つまり、熟練者のサポートによって、スクリーンリーダーが動いていなくても、画面を見ないで NVDA 日本語版をインストールできる、とのことです。ぜひご活用いただければ幸いです。
NVDAユーザ会広島 はNVDA日本語化プロジェクト (nvdajp) に開発者として参加するだけでなく、 VIC 広島市視覚障害者情報支援センター においてNVDA講習会を実施し、オープンソースカンファレンス広島への出展に合わせてNVDA日本語版のキャラクター「でめきん」(NVDAユーザ会広島の 新家昌高 副代表が広島県在住の炉辺愛さんに依頼して制作されました)のぬいぐるみと帽子を制作するなど、NVDA 普及促進のための活動を行ってきました。
新たに取得した nvda.jp ドメインについても、将来は日本のNVDAコミュニティが協力して運用し、有効に活用していくことが望ましいと考えております。
日本における NVDA の開発と活用の体制について、皆様とご議論させていただければ幸いです。