#nvdajp 2011.2j 公開

本家 NVDA 2011.2 のリリースに2ヶ月近く遅れて、やっと 2011.2j をリリースしました。

日本語点字ディスプレイに関する実装も見送って、音声エンジンの改良もわずかな作業しかできず、日本語入力に関する重要なバグへの対応もいくつか断念して、仕方なくこのバージョンをリリースすることを、本当は残念に思っています。
もしも、前回のメジャーバージョンである 2011.1.1j3 と比べて大幅に不安定なら「ベータ版」として公開しようかとも思いました。
しかし、リリース予定のバイナリを幾つかの環境でテストしながら、すでに「正式バージョン」としてリリースされている 2011.1.1j3 がそれほど安定していたわけではない、ということに気づいて、開き直ってリリースすることにしました。
前のバージョンと比べて、幾つかのチケットに対応できたことは事実です。英語キーボードで日本語入力をする場合の処理は、私の個人的な欲求で実装したのですが、助かるという声が聞こえてきたので、こういう細かい作業もやってみるものだなと思いました。
本家の今回のバージョンアップで「記号の読み上げ」が制御できるようになりました。これは副作用もいろいろあるのですが、ユーザの皆様から「よくなった」「悪くなった」といったフィードバックが得られたら何らかの検討をしたいと思います。
音声出力を Shift キーで「一時停止」「再開」する操作が JTalk で使えます。これは本家が espeak ドライバでやっている実装の真似ですが、オーディオバッファのレベルで制御しているマニアックな処理です。。
本家は 2011.3 に向けて開発を進めています。え、2011.3 ってことは、12月末までにリリースしてしまうんじゃないか。。気づいたらあと3ヶ月です。ぼやぼやしてはいられない。。
とにかく本家に負けないスピード感をキープするために、せめてスケジュールは守ろう。そのような気持ちで、「ときどき落ちるスクリーンリーダーの最新版」を公開しました。ずっとこんな状態のままにはしておかないぞと誓いつつ。。
期待してお使いいただく方には本当に申し訳ありませんが、不具合については、こっそり「NVDA日本語版ってダメだよね」とおっしゃるのではなく、しつこいくらいの「フィードバック」を開発コミュニティに(私に)お寄せいただければ嬉しいです。
残念ながら「それは本家に言うべきことでは」ということもあるのですが、可能な限り対応したいと思います。
がむしゃらにではなく、合理的な方法で、求められるものを作っていこうと心がけています。
例えばデバッグについては本家のデバッグ機能や Windows SDK のツールなどが活用できるようになってきました。
また、チケットシステムで「プロジェクト運営の透明性」を実現したいと考えています。
バージョン管理ツール bazaar と launchpad.net の活用も重要な要素です。
先日東京で Python ハッカソンに参加して、ちょっとだけ NVDA の音声合成についての実験をやってみましたが 2011.3 では本家が「言語による音声エンジンの自動切り替え」を取り入れるかも知れません。日本語のエンジンでも何かチャレンジしたいと思っています。
明日は関東で「NVDAJPフレンズ」による NVDA 日本語版のイベントが行われます。
私と @hoozukiyama さんは「NVDAユーザ会広島」として明日 OSC 広島への参加、そして明後日は広島のボランティア団体での講習会を実施します。
たぶん、バグを見つけるいい機会になるだろうと思います。


Comments

“#nvdajp 2011.2j 公開” への2件のフィードバック

  1. nishimotz さん、2011.2jリリースお疲れ様です。
    >明日は関東で「NVDAJPフレンズ」による NVDA 日本語版のイベントが行われます。
    横浜でのイベントでも、2011.2jリリースを紹介させていただきますね。
    今後ともよろしくお願いします。m(_ _)m

  2. 「期待してお使いいただく方には本当に申し訳ありませんが、不具合については、こっそり「NVDA日本語版ってダメだよね」とおっしゃるのではなく、しつこいくらいの「フィードバック」を開発コミュニティに(私に)お寄せいただければ嬉しいです。
    残念ながら「それは本家に言うべきことでは」ということもあるのですが、可能な限り対応したいと思います。
    がむしゃらにではなく、合理的な方法で、求められるものを作っていこうと心がけています。」
    に西本さんの真摯さをあらためて感じました。いまさらですが。。。
    どのようにすれば西本さんらの取り組みを、ひいては視覚障害を持たれた方々を支援できるのか?、これは’社会起業家’をめざす小生の課題です。