広島市の NVDA 講習会でやったこと

広島市の「視覚障害者向けパソコン音声ガイドソフト講習会」が始まりました。今日(7月28日)と、8月4日、8月25日に開催します。
内容は NVDA 日本語版の講習です。
6月の VICステップアップ講習会 の改定版ですが、今日やった内容をあらためて紹介します。
(1)導入から入力ヘルプまで
NVDA 日本語版の最新バージョンは http://i.nvda.jp でダウンロードしてください。
NVDA のインストーラーを起動して、3種類の使い方があることを説明。
Tabで移動、スペースで「同意する」のチェックボックスの操作、スペースでボタンを押す操作。
エディット、チェックボックス、ボタンの一般的な説明。
この画面では、チェックなしだと無効になっているボタンがあるが、チェックありにするとフォーカス移動の対象になる。
USBメモリにポータブル版を作成して、Windows+R でそのポータブル版を起動する、という実演。
Ctrl+Alt+N で NVDA の起動。
ようこそ画面に書いてある「NVDAキー」の説明。ノートパソコンでは「無変換」を使うのが便利。
NVDA+N で NVDA メニューを開いて、ヘルプ(サブメニュー)から「ようこそ画面」を探し、Enterで実行するともう一度「ようこそ画面」が開く。
ダイアログはEnterキーで閉じられる。キャンセルできるダイアログやメニューはEscキーで閉じられる。
このEnterやEscはどのボタンにフォーカスがあっても有効になる。
確実に選択したボタンを押すならスペースを押した方がよい。
ようこそ画面を閉じるとデスクトップにフォーカスが移る。
Windows 7 だと Windows+D でデスクトップにフォーカス移動。Windows+B で通知領域にフォーカス移動。
Windows+T でタスクバー(実行中のアプリケーション)にフォーカス移動。
NVDA メニューを開いていないときも NVDA はずっと動いている。
NVDA+1 を押して「入力ヘルプモード」を体験する。押したキーの説明。NVDA+N を押すとわかるように「NVDAコマンドの説明」にもなっている。
入力ヘルプモードで NVDA+1 を押すと入力ヘルプモードの解除。
設定を初期値に戻す裏技:NVDA+Ctrl+R を3回押す。
(2)NVDA の設定
NVDA メニューで「キーボード設定」を確認する。この講習では「ラップトップ」配列を使う。
アクセラレーターキーで項目の移動やチェック状態の変更ができるが、慣れるまでは使わなくてよい。
項目は Tab で移動。そろそろ Shift+Tab で逆方向移動も。
読み上げの中止は Ctrl で、中断(再開)は Shift で。
音声設定で「速さの変更」や「記号読み上げレベル」を試していただく。
設定画面ではコンボボックスやスライダーの操作にも慣れてもらう。
記号読み上げレベル「読まない」にしたら、比較のためにもう一度「ようこそ画面」を開いてもらう。
この記号読み上げレベルは NVDA+P でも変更できる。
「オブジェクト設定」で「オブジェクトのショートカットキーの通知」をチェックなしにすると説明がすっきりする。
(3)ユーザーガイドを読む
NVDA メニューの「ヘルプ」から「ユーザーガイド」を開いてもらう。
このユーザーガイドはアプリケーションなので Alt+F4 で終了できる。
「ブラウズモード」で有効な「一文字ナビゲーション」:
H と Shift+H (見出しジャンプ)
1, 2, 3, 4 (Shiftで逆方向、レベルを指定して見出しジャンプ)
深い階層から抜けたいときに、レベルを指定して次の見出しにジャンプできると、効率がよい場合がある。
NVDA のコマンド(ラップトップ配列):
NVDA+左矢印・右矢印(1文字ずつ確認)
NVDA+上矢印・下矢印(NVDA内部で文として扱われている単位での移動)
NVDA+T (フォーカス位置のタイトルの読み上げ)
NVDA+L (キャレット位置の行の読み上げ)
NVDA+A (キャレット位置から連続して読み上げ)
このマニュアル閲覧では矢印キーを押しただけでも1文字単位・1行単位の移動ができる。
しかし本来は「確認(レビュー)」という NVDA の機能であり NVDA キーと一緒に押すべき操作。
フォーカスとレビューの違いをそろそろ意識してもらう。
この文書ではリンクされた項目がフォーカスの対象。
目次や文章中のリンクは、Tab で移動して、スペースでリンク実行(ジャンプ)できる。
NVDA+A は現在のキャレット位置から「すべて読み上げ」であり、文書の先頭から読むとは限らない。
文書の階層構造を意識するために「要素リスト」を使う。呼び出す操作は NVDA+F7 である。
要素リストの画面にはラジオボタンとツリービューがあるので、これらの操作に慣れてもらう。
ラジオボタンの「リンク」「見出し」「ランドマーク」のうち「見出し」を選んで、その次のツリービューに移動してみる。
上下で要素を移動、左でクローズ、右でオープン、といった操作を体験。
要素リストの要素でEnterを押すと、元のドキュメントに戻って、選んだ要素から読むことができる。
いままで Tab と Shift+Tab だけでフォーカスを移動してきたが、NVDA+Tab で現在のフォーカス位置を確認できる。
テーブルの移動:Ctrl+Alt+矢印
ここで練習した操作は Internet Explorer のページなどでも共通。
検索サイトなどでは、検索キーワードの文字入力にフォーカスが移動すると「ガチャ」という音がして、H や 1 2 3 などの文字も普通に入力できるモードに自動的に切り替わる。
(ブラウズモードとフォーカスモードの切り替え)
例えば Google の検索結果は見出しジャンプで移動できる。
(4)文書作成とオブジェクトナビゲーションに挑戦
オブジェクトとは? Windows の画面に表示されるあらゆるもの。
Windows 7 のメモ帳を使って「オブジェクトナビゲーション」を紹介する。
スタートメニューからメモ帳を起動。
例えば Windows キーを押して notepad と入力して Enter を押すと起動できる。
Alt+Tab (アプリケーションの切り替え)で、デスクトップとメモ帳が切り替わる。
「エディット複数行」は、ワードプロセッサーのようなテキスト編集のコントロール。
ここで Alt+半角全角 を押して、日本語入力のモードに切り替える。
漢字仮名交じり文を、文節単位でローマ字入力、スペースで変換、候補の選択、Enter で決定。
矢印キーで編集中の文字や行の内容を確認。
Windows の画面には「コントロール」以外の「オブジェクト」もたくさん使われている。
メモ帳で Alt キーを押して、矢印キーで「ヘルプ」の「バージョン情報」を探して、Enterで開く。
たくさん読み上げられたが、Tab でフォーカスを移動すると「リンク」と「OKボタン」の2個しか移動できる要素がない。
まず NVDA+Shift+下矢印 で「内側のオブジェクト」があるかどうか確認する。
そして NVDA+Shift+左(右)矢印で前後に「オブジェクトがありません」と言われるまで移動してみる。
これで3方向を確認したことになる。
NVDA メニューと違ってオブジェクトは「上下が階層の移動」「左右が階層の中での移動」なので注意。
いよいよ上に移動する。行き過ぎると「デスクトップ」まで行ってしまって、戻るのが大変になるので注意。
こうやってオブジェクトを探っていくと、Tab では見つからなかったテキスト情報がたくさん見つかる。
レビューしている要素がボタンのときには NVDA+Enter を使うと「押す」ことができる。
例えば「バージョン情報」の中のリンクで NVDA+Enter すると新しいダイアログが開く。
親オブジェクトに移動すると、そのオブジェクトの子に含まれるテキストをまとめて確認できる。
フラットレビュー(NVDA+PageUp)を使うと内容の確認が容易になることもある。
Tab によるフォーカス移動だけで操作できないアプリケーションでも、NVDAのオブジェクトナビゲーションはこのように活用できる。
やや簡略化して「バージョン情報」ダイアログのオブジェクト階層をまとめると:

  • ウィンドウ
    • ボタン(閉じる)
    • ダイアログ
      • テキスト
      • リンク
      • ボタン(OK)

現在のウィンドウをすべて読み上げる:NVDA+B
読み上げモードの切り替え:NVDA+S
エディットで選択:Shift+左右矢印
選択範囲の読み上げ:NVDA+Shift+S
続きはぜひユーザーガイドを読みながら練習してみてください。
今日は午前に約1時間半、午後に約2時間の講習でした。
実演には NVDA 日本語版 2013.1.1jp と「フォーカスハイライト」アドオンを使いました。
ダウンロード:focusHighlight
NVDA+H でフォーカス位置の操作を説明してくれるアドオン
また、systrayList アドオンの紹介、Windows 8 タッチモードの実演もちょっとだけ行いました。
systrayList アドオンの起動:NVDA+F11
追記(2013年8月6日):説明を加筆しました。
追記(2013年8月25日):説明を加筆しました。
追記(2014年2月18日):NVDA+T, NVDA+L, NVDA+A がフォーカスおよびキャレット位置に関する操作であることを追記・訂正しました。


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