NVDA2011.2系以降の日本語版開発

NVDA 2011.2 のリリース候補版が公開されています。
NVDA日本語版 2011.1.1j3 に関して私 @24motz と @hoozukiyama さんが行ってきた JTalk と IME 関連の作業は、2011.2 系にマージできています。私の launchpad.net のリポジトリに置かれています。

今後の予定として、まずは安定性を重視した日本語版として 2011.2j をあまり時間をかけずに公開し、その後の(リスクを伴う)更新は日本語化に関する差分のみを反映させた 2011.2j2, 2011.2j3, … として公開したい、と考えております。

ケージーエス(株)様から @hoozukiyama さんが点字ディスプレイのデモ機をお借りしています。これは UAI 研究会の活動の一環としてご理解をいただいたものですが、元々は「個人の自発的な行動」でした。デモ機の貸与については、何度か期間を延長していただき、2011.1.1j では「実験的実装」にこぎつけました。その後、より適切な実装に向けて、私が支援を行っています。開発の進め方について、そして改良された実装のマイルストーンを 2011.2j とするかどうか、検討が必要です。
点字ディスプレイ対応の詳細は チケット23945 をご参照ください。

今後 NVDA 日本語版が非営利活動等で活用されていくとしたら、なるべくオープンで中立的な手順での開発・公開がよいと思います。「品質を判断するプロセス」あるいは「仕様の判断のプロセス」について、ご提案やご意見があればお聞かせください。nvda-japanese-users でのご発言も歓迎致します。

公開の手順について、改善案を下記にまとめてみました:

  1. バイナリ公開前に、64bit 環境と 32bit 環境の両方で、代表的なテスト項目を決めて、致命的な不具合やデグレードがないことを確認する
  2. スナップショット、ベータ版、リリース候補版、リリース版の段階でバイナリを公開する
  3. 次の段階に進むことの可否は、メーリングリストで動作確認を呼びかけて、十分な時間を取って判断する
  4. 改良と不具合対応は sourceforge.jp のチケットシステムで管理する

「コミュニティの力を借りる」手法について、ご意見はあろうかと思いますが、現状の nvdajp の開発体制では、ユーザの方の協力を得ながら、安定させて改良していくことが、最も有効であると感じます。

日本語版の開発について、あらゆる環境やアプリケーションに対応できる「正解」がなかなか見つけられない状況が生じています。動作報告やログ解析を分析し、方針を決める、という探索的な作業が必要です。例えば日本語 IME の処理については、環境ごとに詳しい情報をログとして保存し、ユーザから報告していただける機能を検討しています。

そもそも本家 NVDA の開発スタイルは「安定」よりも「進歩」を重視しています。
本家では微細な不具合はマイナーバージョンアップをリリースせず、(2011.1 に対して例外的に 2011.1.1 が公開されたものの)基本的にはメジャーバージョンアップ版への更新(例えば 2011.1 から 2011.2 へ)を促すスタイルになっています。

まず、このような認識を共有させていただければ大変ありがたいです。
その上で、「安定したものをリリースしたい、安定版を手に入れる方法をユーザにわかりやすく伝えたい」という要求を満たせるように努力したいと思います。

先日、NVDA日本語版の2年後のあるべき姿について意見を求められることがありました。
2年後はたぶん Windows 8 が登場して、Intel 版と ARM 版が共存する予定であることなど、技術的にも興味深い状況が予想されます。Windows Phone 7 のタッチ操作や Kinect のジェスチャー+音声認識が取り入れられるという見方もあります。
NVDA の存在意義はがらっと変化するのかも知れませんが、ワールドワイドな技術である NVDA は、インタフェースの激変にもなんとか追従していくだろう、というのが、本家プロジェクトの2年後についての私の見方です。

日本において、視覚に障害をお持ちの方を支援するコミュニティやベンダーにとっても、このグローバルの動向は無視できなくなると予想します。NVDA 日本語版の開発は、コンテンツやアプリケーションの開発者、支援者の活動など、いろいろな場を活性化し、日本のユーザーの方の利便につながると考えます。

備考:本記事は、本日のNVDAユーザ会広島の会合および、明日横浜で開催される予定の「NVDA日本語版の利活用を教えあうコミュニティ」準備会に向けて、私の意見をまとめたものです。

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