2011年

2010年最後のブログ更新をさせていただきます。年賀状の代わりの近況報告としてお読みいただければ幸いです。
まず2011年最初の予定からお知らせします。
視覚障害の方の利用を想定した早口音声研究に関する投稿論文が採録になり、2011年1月号の電子情報通信学会論文誌(D)に掲載されることになりました。
この研究は「情報福祉の基礎」という科研費特定領域研究の一環として2004年度に開始したものです。ずいぶん長い時間がかかって、やっと(成果の一部ではあるものの)まとめることができました。
現在「音声インタフェースシステムの 効果的設計と評価に関する研究」という題目で早稲田大学にて博士論文作成のご指導をしていただいています。2011年1月末に公聴会を開催していただく予定になりました。
いろいろな方にお世話になり、ご心配をかけたので、まずは、この場にてお知らせしておきます。
なお、1月29日には Pycon mini に参加して NVDA の紹介をします。

2009年の暮れに「はてな」から日記をここに移転しました。
「ここ」と書いてしまいましたが、2010年の夏に新しいVPS(仮想プライベートサーバ)を使い始めて、秋にはほとんどすべてのサイトを新しいサーバに移転しました。性能が向上し、運用の自由度が高まったことに、満足しています。
2010年はすっかり Twitter 中心の生活になってしまいました。
そんな Twitter も @nishimotz アカウントを国際会議(ICCHP@ウィーン)以降「英語専用アカウントにします」と宣言してしまったために、もうひとつ @nishimtz (追記:@24motz に変更しました)というアカウントを作ってしまいました。「フォローしていたはずなのにどうなったんだ?」とお思いの方がたくさんおられると思いますが、この場を借りてお詫びします。
スマートフォンの代わりに iPod touch を持ち歩くようになり、これは国際会議の場でも、とても役立ちました。
Ustream による福祉情報工学研究会 (WIT) の配信をお手伝いできたのも、2010年の印象深い経験になりました。
研究会幹事団としての仕事が、夏以降、十分にできなくなったことは申し訳なく思っております。
2010年を通じて、オープンソースのスクリーンリーダーである NVDA の日本語化プロジェクトに関わり続けました。秋には Open JTalk をベースにした音声エンジンを搭載したバージョンをリリースすることができました。
音声対話システムの Galatea Toolkit に関わって以来ずっと「オープンソースの日本語音声合成技術をアクセシビリティに役立てて欲しい」といろいろな方から言われ続けてきたので、やっと責任の一部を果たせたような気持ちです。もちろん、まだまだやることはたくさんあるのですが。。
9月にオープンソースカンファレンスで NVDA のデモとライトニングトークを行い、11月にサイトワールドで1日だけブースのお手伝いをして、いずれも貴重な経験になりました。
こうして「自分の研究のまとめ方」を考えながら、実際にシステムを開発したり、ユーザの方と接する機会を重ねて、漠然と考え続けてきたことが、ひとつの形として見えてきました。先日、とあるメーリングリストに何気なくこんなことを書きました。

「支援技術」は特別な業界の特別な技術ではなく、ソフトウェア工学、ヒューマンインタフェース、心理学、人間の視聴覚認知など、普遍的な知見や方法論の応用。このやり方でこそ本質に迫れると思う。

こう書いてみて、ふっと、マルチモーダルインタフェースとアクセシビリティ、その設計、実装、評価、標準化、実用化、ツールキット、基礎研究、学会活動、などなど、すべての自分の経験が、ひとつに繋がったような気がしました。
この「ような気がした」という私の直感を、客観としてお伝えするべく、学位論文の最後の仕上げに取り組みたい、そして次のステップの活動に生かしたい、と思っています。


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