この記事は ゆるい広島 Advent Calendar 2014 の14日目の記事です。
広島市は 3B の街 = Bus, Branch, Bar(あるいは Bridge という説も)なんだそうです。
例えば 「広島観光ナビ」 Q111 にそう書かれています。
(そういえば bus, branch, bar, bridge って、どれもソフトウェア開発に出てくる用語ですね。。)
「広島の路線バス」と言えば、最近こんなことになったそうです:
広島都市圏のバスに路線番号を導入します
路線番号「10」みたいにハイフンがついてないのが「起点行き」で、「10-1」みたいにハイフンが入るのが「終点行き」なのだそうです。
もうひとつ、こちらは広島県のページ:
「ケータイ スマホで カンタン!便利に! らくらく乗換検索!」
大手コンテンツプロバイダに登録されているバス停数のランキングで「広島県は全国第4位」だそうです。
そんな路線バスですが、クルマに乗る人もやはり多い広島という場所では、人によってはまるで縁のない存在かも知れません。
さて、私は広島で視覚障害者の ICT (情報通信技術)ボランティア活動をする VIC という団体に参加しているのですが、先日この団体の忘年会で隣の席に座られたご年配のかたから、こんなお話を伺いました。
自分は白杖ユーザーだが、広島市内ならどこでも自信を持って一人で歩ける。
何十年も前に広島に引っ越してきたときに、一人で自由に歩けるようになるために、市内を走るバス路線に片っ端から乗って、歩く練習をした。
始発からバスに乗って、どんなバス停があり、どのように道を進んだり曲がったりしたかを覚えておく。
そして終点で降りて、バスで通った道を思い出しながら、自分で歩いて戻ってくる。
そんな練習を繰り返したのだと。。。
視覚障害者生活指導員(歩行指導員、歩行訓練士)といった専門家がこういう指導をするのかどうか、私はよく知りませんが、「バスで終点まで行って、歩いて引き返すメソッド」は、晴眼者である私も、出張や旅行のときに使います。
慣れない街で駅前のビジネスホテルに宿泊して、仕事の会場である郊外の大学キャンパスや施設に2日とか3日とか通うときがあります。
初日の朝は案内に従って路線バスで会場に行き、そのときに道のわかりやすさや距離を確認します。
そして、その日の帰りと次の日を、同じようにバスで移動するか徒歩にするかを判断する、といった具合です。
しかし視覚障害者が知らない街を一人で歩くための訓練だと聞いて、この「バスで行って歩いて帰る」メソッドは、もうちょっと深い「なにか」だと思い始めました。
「知らない場所で路線バスに乗って始発から終点まで行ってみる」というのは、言い換えれば「ツールに頼る」ということです。
この片道の経験で終わりにしてもいい場合もあります。
観光地でタクシーや観覧バスに乗って、見たいものが見られて満足、というパターンですね。
しかし「何かを深く理解したい」「何かを自力でやってみたい」のなら、ここが出発点です。
「ツールに頼ってたどり着いたゴール」を「手作業で追体験」したいわけです。
すでにバスの車窓から見える景色を把握していたり、もし景色が見えないとしても「次のバス停の名前」を順番に聞きながら、バスの右折や左折や直進を体で感じながら、周囲の交通量を音で聞きながら、一通りの経験ができている。
そのことが「自分の足で同じ道をたどるための心の準備」だと思います。
パソコンやスマートフォンの選び方、プログラミング、クラウドサービス、バージョン管理ツール、いろいろな知識や経験、勉強について「バスに乗ること」と「歩いて帰ること」が何に当てはまるか、考えてみると面白そうですが、それは別の機会に書こうと思います。
そもそも大事なことは「何の目的もなく、路線バスで終点まで行って歩いて帰れるような日を作ること」なのでしょう。
直接的には「ハンズオン形式の勉強会」になるでしょうが、勉強会のインターネット配信の録画を見たりするのも「片道のバス」に近い経験なのかも知れませんね。。
また広島の勉強会コミュニティに遊びに行ったり「すごい広島」に参加したときには、よろしくお願いします。