NVDA月例ミーティング

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スクリーンリーダNVDA日本語化プロジェクトからは、先日2009.1jという新しいバージョンがリリースされたばかりです。

このツールをWIT研究会の企画で取り上げたのは1年前のことでした。日本語TTSをバンドルしていない、日本語IMEの読み上げができていない、という課題はあります。それは残念ながらこの1年間大きな進展をご報告することができませんでした。

しかしNVDAは日本でも相変わらず注目され続け、利用者は増えています。単に無料であるという理由だけではなく、Webサイトの読み上げなど、最新の規格に対応しており日本の商用スクリーンリーダーと比べて遜色がない部分もある、と言われます。昨夜の定例ミーティングと懇親会でもNVDAに関心を持ってくださる皆様といろいろお話をすることができました。

私の目標は、オープンソース日本語TTSの提供、そしてNVDAを手段として「スクリーンリーダーの音声合成機能の実践的研究」を行うことです。
私はこれまで「視覚障害者の利用を想定した早口音声合成の加工技術とその評価」に取り組んだのですが、聴取実験で客観的な結果を得るためには、「意味的な親密度の統制」「慣れの効果の考慮」など、厳密な条件で行う必要があります。スクリーンリーダーがどのようなテキストをどのように読み上げようとしているのか、というユーザの実態・利用履歴を考慮して、その文脈にふさわしい音声合成の方法を検討してみたい、と考えています。

もうひとつの課題である日本語IMEへの対応は、私の直接の担当ではないのですが、現状を把握した上で、長期的な方針を検討するお手伝いをしたいと考えています。
今回のミーティング参加の前に私は、日本初のGUI対応スクリーンリーダー「95Reader」を開発し、その成果を博士論文にまとめた渡辺哲也さん(現在は新潟大学)の文献をいくつか読み返しました。
期待したほど詳細には書かれていなかったのですが、例えば以下のことが報告されています。

  • 最初の試作はMS-DOS用の音声出力つきFEP(言語工学研究所「やまびこ」)をWindowsに移植したものが用いられた
  • 最終的には複数のMS-DOS用スクリーンリーダーのFEP関連機能を調査したうえで、仕様が決定された

日本語IMEの音声化という技術において、MS-DOSの時代から10年・20年の間同じ機能が提供され続けてきたわけです。にもかかわらずオープンソースプロジェクトが利用可能なほど十分な技術情報は世の中に出まわってはいません。日本では商用のスクリーンリーダーはIMEへの対応の充実度を重要な差別化ポイントとして、ノウハウを守っておられるようにも見受けられます。

「Google日本語入力」の登場にはインパクトがありました。そしてもしかすると「詳細読み」「なめらか読み」「フォネティック読み」といったスクリーンリーダーで当たり前の機能にも、進化のチャンスが訪れているのかも知れません。
「予測候補をタイミングよくユーザに提示して、ユーザのタイプミスを修正し、ユーザのタイプ回数を減らす」そんな新しい時代の音声化IMEの可能性を検討する時期が来ているように思います。

オープンソースプロジェクトが「無理のない方針で」仕事を進めるのはひとつの妥当な判断です。
しかし一方で、オペレーティングシステムもIMEも進化しています。「10年前の当たり前」を「フリーにする」というだけの方向性は、関わっている当事者のモチベーションも維持しにくいし、「オープンソースだからこそ将来にわたって安心して使える」というNVDAの魅力を維持できるのかどうかも不安です。

そんなわけで、IMEの音声化については、私も独自に技術情報を収集して、検討をしてみたいと思い始めています。
でも、今となってはWindowsよりも、本当にお手伝いしたいのは Linux の日本語環境の音声化だったりするのですが。。。

前回のミーティングのご報告

以下、私の関連つぶやきです。

  • 19:13  #nvdajp 12月月例ミーティング参加中
  • 19:29  #nvdajp 現在のIMEまわりの実装目標を確認。MSAA使わない。TSF非対応、XPにまず対応、という方針。
  • 19:37  山口さんのコードがベースだそうです。。 @YamaguchiToshi この場合,どうやって実装するのか興味しんしん RT @nishimotz: #nvdajp 現在のIMEまわりの実装目標を確認。MSAA使わない。TSF非対応、XPにまず対応
  • 19:47  #nvdajp 議論:まずコアメンバーでハッキングの会を開いて話題を具体化。1月後半に。
  • 19:49  #nvdajp 私の誤解でした。比較対象にはしたけど、いまpyAA版は使ってないそうです。


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