先日、大学主催の「メンタルケア講習会」に出席した。とても勉強になった。いろいろな意味で「かつては常識だったこと」が非常識になりつつあることを知った。
配付された資料は「学生の目に触れないように」と書かれていたので、講演の内容だけ紹介しておく。
私のメモの取り方の不正確な点や勝手な解釈が含まれている可能性もあるので、こういった問題でお悩みの方は、こんなブログの怪しげな情報(笑)に頼らず、適切な専門家に相談することをお勧めしたい。
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うつ病が休学や退学の主要な原因となっている。大学生の自殺も増加している。
うつ病は「心の風邪」か?「誰でもかかる」という意味では「心の風邪」。一生を通じてだと20%の人がかかると言われる。しかし「簡単にはなおらない」という意味では風邪と大きく違う。
心の病か?という質問の答えは「No」である。睡眠や疲労の状態によって物事の「とらえ方」が変わる。うつ病は心身に起因する。だから予防が可能。
うつ病は、半分は生活習慣病。
(1)睡眠・休養を取る
昼間に活動して夜に休む。規則正しい生活を。自然のリズムを無視すると、人間の生活は「25時間周期」になり、眠れない、起きられない、といった症状になる。「睡眠表」をつけることが治療の出発点。
夜に布団の中で携帯電話を使うのはよくない。瞳孔が開いているときに発光する画面を見ると不眠につながる。
個人の体質の違いによって「必要な睡眠時間」は異なる。誰もが「短時間睡眠」でよいわけではない。一般に芸術家や学者には long sleeper タイプが多い。
睡眠不足が1~2年続くと「手遅れ」になる。心の病だけでなく糖尿病やガンの原因にもなる。
「部屋の雰囲気で深夜まで帰れない」状況を避ける。
昼寝をするべき。ただし20分まで。午後3時までが有効。土・日も規則正しい生活を。
(2)深酒をしない
「不眠や不安にアルコール」は醒めたときに危険。衝動的・突発的な自殺につながる。
(3)運動をする
酸素をたくさん取ることが心の健康につながる。適度な有酸素運動を。ジョギングや水泳。数十分でよい。夕方6時頃の運動が快眠につながる。
(4)ストレスを避ける
互いに助け合う雰囲気を。放置しない。大学院生の将来は研究オタクではなく普通の社会人。論文期限や就活の時期には特に注意を。心配なときは親に連絡をして協力してもらうべき。相談センターに行くことを勧める。無理矢理行かせては駄目。
東京大学には現在「なんでも相談コーナー」がある。毎月200件近い相談がある。
みんなが生活バランスを大事に。ひとりひとりの性格に合わせて個別に方法を考える。問題の原因を追及するのではなく、協力して出口を探す。起こった問題に関して、よい結果を得ることが大事。結果で判断する。
精神医学・教育心理学・発達心理学の知見に逆らわない。