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  • 技術書典6で売り子を手伝いました

    東京で開催された「技術書典6」に参加してきました。
    ただの来場者として雰囲気を知ってお目当てのサークルを見に行こうと思っていたのですが、当日の朝になって、「広島電子工作娯楽部」のブースを手伝って欲しいという話が来て、サークル通行証で設営から入場することになりました。
    おかげで、単に来場者として会場にいるよりも、ずっと落ち着いてイベントを楽しむことができました。

    基板を作ってみよう

    「広島電子工作娯楽部」では「基板を作ってみよう」という新刊を著者が売っているそばで、荷物を見張ったり在庫と売上金を数えたりしていました。
    私も基板は作ってみたかったので「やらないといつまでたってもできないです」「たとえ失敗しても『失敗という名の成功』が得られます」「基板が作れると表面実装が怖くなくなります。部品の選択肢が増えると世界が変わります」などなど、著者のセールストークに私も心の中で頷きながら座っていました。
    約140部が終了1時間前くらいには完売。来場者1万人という規模もすごかったですが、売り手の熱意と、本の内容のクオリティに支えられた成果だったと思います。
    技術書典に広島から参加したサークルとしては初めての実績だったのではないでしょうか。

    アクセシビリティ

    前回の技術書典5では「こんのいぬ」さんが「これからはじめるWebアクセシビリティ」を販売しておられて、私は後日それを知って電子版を購入しています。
    アクセシビリティについての(それを読めないかも知れない人がいる前提の)紙の本を売るって、誰にどう伝わるんだろう、と懐疑的に思ったこともありました。
    ですが、未知の世界との出会いを求めている、楽しんでいる、ということが分かってきました。
    だったら関わる意義はあるのかな、と思い始めたのですが、今回、私自身のサークル申し込みは落選してしまいました。
    お目当てのひとつは、スクリーンリーダー NVDA の同人誌でした。
    無事に「ほしがたタイムカプセル」さんのブースで NVDA と DAISY の本を入手できました。
    写真: ほしがたタイムカプセルさんのブース
    タイトルの「NVDAではじめるヘッドレス・デスクトップ」というのはすごいインパクトですね。
    購入した本を帰りの新幹線の中で読みましたが、書き手にいまはまだ視力があること、いずれ視力を失われる見込みであること、そしてご自分がソフトウェア技術者であること、さらにご自分がスクリーンリーダーのユーザーになろうとしておられること、などなど、さまざまな立場の視点が絶妙にミックスされていて、またアニメの知識からスクリーンリーダーの機能をユニークに比喩されているなど、とても興味深く読むことができました。
    ブースではヘッドフォンとゲームパッドで Windows を使ってみよう、という体験の環境を用意しておられました。こういう新しい切り口で、1万人の人に NVDA を紹介してくださってありがとうございました。

    買った本と全体的な振り返り

    買った本の写真です。全部で1万円くらいでしょうか。。
    技術書典6で買った本
    さきほど書いた「Webアクセシビリティ」の本や、同じく前回の参加者さんが出された「ネコを支える技術」 など、あとで知って電子書籍で購入させていただいた本はあるのですが、あらためて、同人イベントに実際に足を運んで(主に)紙の本を買う、という経験を考え直す機会になりました。
    NVDA (と技術書典の公式ガイドブック)以外の本は、買おうと思っていたわけではなく、たまたま目に入って、ちょっと読んでみようか、と気軽に購入したものばかりです。
    「テーマが新しくなくても、視点が新しければ、ユニークなコンテンツは作れる」ということがわかります。
    キーワードが分からなくて探せないもの、いつか情報収集しようと思いながら実行に移せてなかったもの、逆にキーワードから得られる情報が多すぎて何を読んでいいか分からないもの、古い情報が役立たなくなってしまうもの、などなど、イベントの場でこうして紙の本を見つけることには、まだまだいろんな意味があるようです。
    そういえば私はふだんから「考え事をするために本屋に行って、背表紙を眺めながらあれこれ思いを巡らせて、本当に欲しい本はあとでネットで買う」みたいなこともよくやっています。
    私は自分の仕事場のペーパーレスを目指していることもあり、紙の本をたくさん持ちたいわけでもないのですが、同人誌については「まあいいか」と感じています。
    電子版で買い直せたら買い直すかも知れませんね。。
    400以上の書き手が発信するコンテンツを1万人の参加者に6時間で伝える、と考えると、ポスターセッションよりももっと効率的なわけで、不思議でもあり、すごいなあと思った一日でした。
    来場者も年齢・性別を問わず、いろんな人がいらっしゃいました。
    ふつうの入場者としての参加だったら相当並んで会場に入ることになっていたと思うと、
    「東京のすごいところは、とにかく人が多いこと」
    「東京のつらいところは、とにかく人が多いこと」
    ですね。。

  • CSUN国際会議2019に参加中

    ひさしぶりに CSUN Assistive Technology Conference に来ています。
    Twitter @24motz で聞いたことをメモしながら会場を回っています。
    twilog でまとめています。
    どのくらいひさしぶりかというと、2002年が前回の参加だったようです。17年ぶりですね。。当時はロスアンジェルス空港のすぐそばのホテル、その後会場がサンディエゴになり、今年からアナハイム。
    ディズニーランドのすぐ近くにいて、ホテルの中をずっとうろうろしています。
    今回の大きな目的は NVDA の開発をしている NV Access の人たちにひさしぶりに会って話をすることでした。
    昨日、目的は果たすことができました。
    NV Access のセッションの様子


    あらためて NVDA 日本語版の状況を報告。
    今年これから進められる Python 3 移行における日本語の文字コードの問題、 Windows 10 の新しい日本語入力メソッドへの対応の問題、など、日本の NVDA ユーザーにとっての不安材料を伝えました。
    話し合った結果、これらの問題を確実に解決しながら前に進んでいけそうだという確信を持ちました。
    詳しいことは、いずれお伝えしていきたいと思っています。
    株式会社シュアルタとしては NVDA の法人向けサポート事業を準備中です。
    数々のセッションや企業などの展示から、今後に向けたヒントや刺激をいろいろもらっています。
    たくさんの盲導犬が会場中を所狭しと働いているのも、17年前と変わらない、ほほえましい光景です。

  • NVDA 2018.4jp と FocusHighlight の現状

    無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の 日本における開発コミュニティである NVDA 日本語チームは、 2018年12月17日に NVDA 2018.4jp をリリースしました。
    インストーラーのダウンロードはこちらからどうぞ:
    https://i.nvda.jp/
    GitHub リリースも利用できます:
    https://github.com/nvdajp/nvdajp/releases/tag/release-2018.4jp
    Windows 10, 8.1, 8, 7(SP1) の32ビット版および 64ビット版に対応しています。
    Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。
    NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。
    NVDA は多くのアプリに対応し、 インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
    NVDA 日本語チームがリリースする NVDA 日本語版は、オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA 本家版に日本語の音声エンジンと点訳エンジンを追加するなど、日本語 Windows 環境のための改良を行っています。

    NVDA 2018.4 のハイライト

    ・Mozilla Firefox の最近のバージョンにおける性能の改善
    ・音声エンジンに依存せず絵文字を読み上げる機能
    ・Outlook の返信済みや転送済みなどの報告
    ・Microsoft Word でカーソル位置からページの端までの距離を報告する機能

    設定ダイアログの主な変更点

    「音声」カテゴリ
    「記号と絵文字の説明にUnicodeコンソーシアムのデータを使用」
    が追加されました。
    「オブジェクト表示」カテゴリ
    「バルーン情報の報告」が「通知の報告」に変更されました。

    NVDA 日本語チームによる 2018.4jp の主な変更点

    ・Excel でテーブルの行列の見出しが点字ディスプレイに表示されない不具合の修正
    ・単独で使われるアットマークの点字表記を「56-246」に変更
    ・「ヘルプを独自のウィンドウで開く」の既定値をチェックなしに変更

    詳細

    下記を参照してください。
    NVDA 2018.4 最新情報
    https://www.nvda.jp/nvda2018.4jp/ja/changes.html
    日本語版 2018.4jp の更新内容
    https://github.com/nvdajp/nvdajp/milestone/16?closed=1

    Focus Highlight の現状

    NVDA 2018.4 で行われた変更の影響で、Focus Highlight アドオンで Firefox や Chrome を使う場合に、ブラウズモードでフォーカスの位置しか表示されません。
    以前は見出しジャンプで移動した見出し要素を緑の点線で確認できたりしていました。


    調査したら、ナビゲーターオブジェクトが取得できないのではなく、ナビゲーターオブジェクトが移動したというイベントが取れなくなったため、画面表示が更新されないようです。
    (ためしに、ハイライト位置を更新するキーコマンドを作って実行すると、うまく表示できている)
    回避方法をいったん見つけたものの、 NVDA の再起動や終了が不安定になってしまったため、リリースに至っていません。
    本来 NVDA に備わっていてほしい API が足りないことを、アドオン側で無理やり補ってきたのですが、いまや本家がAPIを整備してハイライト機能を実装しようとしているので、そちらに協力するほうがよさそうです。
    そろそろ私のアドオンは潮時なのかも知れません。

    追記(2018年12月19日)

    FocusHighlight 5.5 をリリースしました。
    コミュニティ add-on サイトなどの更新は依頼中です。
    この機会に Windows Vista + IE9 や Windows XP + IE8 と一年前に対応を終了した NVDA 日本語版と、新しい Focus Highlight が、いちおうエラーを出さずに動くことなど確認しました。
    Web 開発者さんが泣きながら古いバージョンの OS や NVDA やブラウザで動作確認をさせられていると思うと、頑張らずにはいられませんでした。。