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  • #OSH2014 感想と懇親会LT #nvdajp

    オープンセミナー2014@広島に参加しました。
    懇親会LT(ライトニングトーク)の私のスライド「テスト駆動開発とアクセシビリティ(仮)」は下記の通りですが、スライドだけではわからないでしょうし、トークも言葉足らずだったので、昼間のセッションの感想をふくめて補足します。

    NVDA 日本語版 の紹介。NVDA の開発には Python が使われています。
    実は「NVDA日本語チーム」を立ち上げる前に、私はまず「NVDAユーザ会広島」を立ち上げて、地域コミュニティ活動を始めました。
    オープンソースカンファレンス2013広島への参加の後、活動が滞っていますが、暖かくなったら再開したいです。
    アクセシビリティ、Python、Windows API、テキスト音声合成、自然言語処理、バージョン管理など、NVDA の開発を語る切り口はいろいろあるので、いろいろな団体と交流が必要だと思い続けています。
    NVDA は Web 開発者の方々にも、アクセシビリティチェックツールとして注目されています。
    NVDA は誰にでも無料で使えて、視覚障害をもつユーザーに実際に利用されている(され始めている)ツールです。
    一方で、ソフトウェアの自動テストという文脈からは、例えば Selenium でスクリプトを書いて Web アプリのテストをされる方も多いでしょう。
    NVDA が動いている状況で Selenium で Firefox を制御するスクリプトを書いて実行するとどうなるか、最近少し試してみました。
    Tab によるフォーカス移動、フォーム要素(コントロール)の操作、文字入力などはうまく制御できるので、Firefox でウェブを操作する様子を読み上げながら自動テストすることができます。
    しかし、NVDA が提供しているのは単なるフォーカス移動だけではありません。ブラウズモードという特別な操作が追加され、例えば数字キーの1から6で見出しジャンプができたり、文字単位で任意のテキストの内容を確認できたりします。
    こうした機能は Firefox ではなく NVDA がキーイベントを受け取って、NVDA と Firefox のプロセス間通信(IAccessible2という専用プロトコルが使われます)を通じて Firefox を制御しているため、Selenium で Firefox に ‘1’ や ‘2’ などのキーイベントを送っても見出しジャンプは実行されません。
    残念ですが、もうちょっと何かできないかなと検討中です、というのが最初に言いたかったネタでした。
    2個目のネタですが、NVDA を Windows 7 以降で使うと UI Automation という技術がデフォルトで有効になります。
    この技術は Windows システム・スクリーンリーダー・アプリケーション、というレイヤーをつなぐ一種のプロセス間通信で、特に GUI をリモートプロセスから制御するモダンなオブジェクトモデルを備えています。
    そして UI Automation は「ソフトウェアの自動テストの技術」でもあり、Microsoft のエバンジェリスト(当時)だった長沢さんが、そういう文脈でいろいろ記事を書いておられたわけです。
    しかし、和田さんの朝一番のセッションで FAQ として触れられた「GUIはテスト駆動開発に向いていない」という話は、私もうすうす気づいていた事実でした。
    Python 界隈では「Selenium は負債」という認識 がちらほら聞こえていましたが、どう「負債」なのかは、和田さんの講演で腑に落ちました。
    GUI テストは一般にターンアラウンドが長すぎて、「黄金の回転」が回せない、「ただのテストがある開発」になってしまうのです。
    「早くて小さい回転をうまく回す」という「TDDのこころ」を、テスタブルでアクセシブルなUIの開発という目標にどうつなげていくか、新しいチャレンジが必要と痛感しました。
    3番目のネタですが、NVDA 日本語版は点訳エンジンを「テスト駆動開発」しています。
    こう書くと大げさですが、実は liblouis という(日本語に対応していない)多言語対応オープンソース点訳エンジンはちゃんとテストを Jenkins でチェックしながら開発が行われています。
    それに倣って、日本語点訳エンジンを、まずテストを書いて、テストが落ちることを確認して、それから実装を直す、というサイクルで作ってみました。
    実際の作業は2012年春から2013年春にかけて行ったのですが、実は最初はタッチカーソルのカーソル位置を処理する「ポジションマッピング」というアルゴリズムを入れていませんでした。
    点訳エンジンをあちこち書き換えつつ、既存の処理を壊さずに最小限の修正でタッチカーソル対応できたのは、テストケースという命綱のおかげでした。
    最後に2枚追加したスライドは、昨日のオープンセミナーを通じて感じたことでした。
    私はチクセントミハイの「フロー体験理論」を1990年代後半に知り、最初はヒューマンインタラクションの評価手法などに応用したいと思っていました。
    スライドに張り付けた「技能と挑戦のモデル」はちょっと古いモデルの図ですが、要するに「いきなり難しいことをする、身の丈に合わないことをすると、不安になり、挫折する。自分の技能にあったちょうどよいレベルのチャレンジを繰り返していくと、人はその作業に集中でき、没入でき、自己目的的な楽しさを得られる」ということです。
    このフロー体験理論のことを最近ふっと思い出したのは「アジャイルサムライ」の読書会でした。
    フロー体験理論という社会心理学のモデルは、日本ではゲームデザインの研究者に着目され、近年ではモチベーションの研究で参照され、もはや古典なのかも知れません。
    しかし、テスト駆動やアジャイルというプラクティスの根幹に、フロー体験というシンプルな社会心理学のモデルが、やはり無視できないかかわりを持っているように、あらためて感じた、和田さんや長沢さん、そのほかの貴重な事例報告のセッションでした。

  • NVDAに関する活動の近況

    (1)
    オープンセミナー2014@広島 が明後日の2月1日に開催されます。
    今回「テスト駆動開発(TDD)」や「アジャイル開発」をテーマに、興味深いゲストやセッションが予定されています。
    参加費は無料ですので、実行委員のひとりとして、ぜひ多くのかたにご参加いただければと思います。
    このままだと NVDA と関係ない宣伝になってしまうのですが、実行委員としてあまり活動できてないことのお詫び(笑)として、懇親会で「テスト駆動開発とアクセシビリティ」というテーマのLTをする予定です。
    NVDA に対応したアプリケーションの開発について問合せがときどきありますが、例えば最近の Microsoft の技術である UI Automation は、アクセシビリティの技術であり、ソフトウェアの自動テストの技術でもあります。
    長沢智治のライフサイクルブログ 【UIA】UI Automation を用いたユーザーインターフェイスのテスト
    おや、こんなところに長沢智治さんのお名前が。。
    NVDA 日本語版の開発でも、テスト駆動開発のエッセンスを取り入れようと、例えば点訳エンジンをテスト駆動で実装するなど、工夫をしているところです。
    そんな話が会場や懇親会でできるのを楽しみにしております。
    (2)
    ブラインドパソコンサポート(BLPC)さんが発行するメールマガジン「BLPCパソコンメモ」に、昨年12月から連載をしています。今週、2回目の記事が掲載された号が発行されました。
    第1回の発行のときにご案内するべきでしたが、お知らせが遅くなって済みませんでした。
    BLPC パソコンメモのご案内
    バックナンバー(最新号)
    BLPCパソコンメモ:2013年12月23日号
    あと数回、NVDA について書かせていただく予定なので、よろしければお読みください。
    (3)
    NVDA日本語チームの2012年度と2013年度途中(2012年6月から2013年11月まで)の活動報告書を公開しました。
    改めて、ご寄付やイベント参加、普及活動などを通じて、
    NVDA 日本語チームをご支援くださる皆様にお礼を申し上げます。
    (4)
    NVDA 日本語チームは NVDA 日本語版のユーザーのために、以下のような問合せや情報交換の場を設けております。
    1. メールアドレス nvdajp@nvda.jp からの問い合わせの受付
    2. sourceforge.jp のチケットシステム掲示板
    3. Google グループ nvda-japanese-users メーリングリスト
    4. 不定期の「Skype開発者会議」(第1回を昨年10月26日に開催)
    5. イベント「NVDA ワールド」開催、配信、記録の公開
    6. 毎週月曜夜の「Skype交流会」(昨年8月までは「Skype会議」)
    このほかに一方的な情報提供の手段として Twitter の @nvdajp やウェブサイトの nvda.jp があります。
    NVDA 日本語チームの活動とは別に、多くのコミュニティやボランティアのかたがたに、NVDA を取り上げていただけるようになってきました。
    View-Net 神奈川さんの「らくらくNVDA」
    「視覚障害者のWindows活用ML」でも NVDA の質問が増えています。
    NV Support さん
    まほろばさんの NVDA 紹介記事
    DemekinText さんのNVDA初心者向け教材
    「陸の部屋」さんの NVDA 関連ファイル
    「プロジェクトつどい」さん:有償版音声アドオン”Vocalizer for NVDA”のご紹介
    「友加の日々の記録」さん スクリーンリーダー NVDA に関する即席リンク集
    Wikipedia 日本語版の NVDA のページをひさしぶりに開いたら、NVDA 日本語版の情報が増えていました。
    最後に、私自身は個人事業者として、NVDA の技術サポートなどのご相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。

  • NVDA日本語版 2013.3jp 公開

    無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の日本語対応をすすめる NVDA 日本語チーム(代表:西本卓也)は、2013年12月15日に最新の日本語版 NVDA 2013.3jp を公開しました。
    ダウンロード
    NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。
    Windows 8.1/8, 7, Vista, XP の32ビット版および64ビット版に対応しています。
    Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。
    以下は対応しているアプリケーションの一部です:

    • Webブラウザー (Mozilla Firefox を推奨、 Microsoft Internet Explorer, Google Chrome にも対応)
    • Adobe Flash Player によるアクセシブルなコンテンツの操作
    • 電子メールクライアント (Mozilla Thunderbird, Windows Live Mail, Outlook に対応)
    • Microsoft Office アプリケーション Word, Excel, PowerPoint の主要な機能(対応バージョン 2003, 2007, 2010, 2013)
    • LibreOffice (バージョン4.1.4.2で動作確認済、Java Access Bridge 設定が必要)
    • Skype for Windows (バージョン6.11で動作確認済)
    • Apple iTunes for Windows
    • Twitter クライアント Tween
    • 日本語入力システム(Microsoft IME, Microsoft Office IME および ATOK を推奨、Google 日本語入力にも対応)
    • Adobe Reader によるアクセシブルな PDF 文書の読み上げ
    • Adobe Digital Edition によるアクセシブルな EPUB 書籍の読み上げ
    • AMIS によるオーディオ DAISY およびマルチメディア DAISY 書籍の読み上げ

    以下は利用できる点字ディスプレイの一部です:

    • ケージーエス ブレイルメモシリーズ(ブレイルテンダー、ブレイルメモポケットを含む)
    • ケージーエス ブレイルノート 46C/46D/46X
    • HIMS ブレイルセンス・オンハンド(日本語版を含む)
    • 日本テレソフト 清華シリーズ

    オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
    NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
    2013.3 の更新内容は、キーボード設定「すべて読み上げで流し読みを許可」オプションの追加、NVDA制御コマンドのカスタマイズのための入力ジェスチャーダイアログの追加、設定プロファイル切替機能の追加などです。
    NVDA は世界40以上の言語に対応していますが、音声エンジンと点訳エンジンは日本語に対応していません。
    そこで NVDA 日本語チームは、日本語音声エンジンと点訳エンジンを搭載した NVDA 日本語版を独自にリリースしています。
    2012.3.1jp 以前のバージョンから上書きインストールしたときは点字設定の出力テーブルを「日本語6点情報処理点訳」に設定してください。
    以下は 2013.3jp での変更点についてのご案内です。

    1. アップデート通知
      2013.3jp をお使いの場合は 2014.1jp 以降のリリースを自動通知します。この機能を有効にするには、一般設定「更新の自動チェックとNVDAのアップデート」を有効にしてください。過去にNVDA日本語版が使用されていた環境では、このチェックボックスは無効になっています。
    2. 日本語入力
      日本語設定「日本語版の文字入力拡張」がチェックありのときには ATOK 対応やカナ文字の説明に関する改良を行います。
      「入力単語の読み上げ」は無効に、入力メソッド設定「候補リストの自動通知」は無効にしてお使いください。
      キーボード設定「入力文字の読み上げ」が有効でも無効でも日本語入力の変換操作を読み上げるようになりました。
      エスケープキーを押して候補文字列がクリアされるときに「クリア」と通知するようにしました。
      Microsoft IME および ATOK の候補コメントの読み上げに対応しました。(一部のバージョンは非対応)
      ATOK の候補コメントの読み上げの使い方
    3. 音声合成エンジン
      JTalk2 ドライバーを廃止して、JTalk2 で提供していた言語自動切り替え機能を JTalk で利用できるようにしました。
      JTalk mei の声の高さを設定値で10相当低くしました。これまで高さ40にしていた場合は50にすると以前の声の高さになります。
      eSpeak ドライバーに簡易的な日本語の読み上げ処理を追加して、以前のように Chinese Letter Japanese Letter と読み上げないようにしました。
    4. 点字ディスプレイ対応
      文字説明の点字ディスプレイ出力、文字コード説明の16進数出力の最適化などを行いました。
    5. フリーズ対策
      Windows 7 でエクスプローラーやタスクトレイを操作しているときにNVDA がフリーズする現象への対策を行いました。
    6. 寄付のご案内
      NVDA への寄付についてのご案内を、NVDA 日本語チームからのご案内のサイトに変更しました。

     
    詳細はNVDA日本語版の説明をご覧ください。
    NVDA日本語版の不具合やご要望は新規チケット登録またはメールアドレス nvdajp@nvda.jp でお知らせください。
    NVDA日本語チームはNVDA日本語版の開発について公開で議論をしております。
    メールでいただいたご意見は、個人を特定できないように修正して公開させていただくことがあります。
    NVDA 日本語版の情報
    NVDA 日本語チーム活動報告

  • NVDAとAudacity

    昨日の午後2時から4時まで、BLPC FAIR ON THE WEB というインターネット放送に「NVDAにチャレンジ」というテーマで出演しました。
    どうやら200人近い人が聞いてくださったようです。ありがとうございました。
    オープンソースのオーディオ編集ソフト Audacity をすこし実演しました。
    このソフトが無料であり、日本語化されており、かなりアクセシビリティに配慮して作られているからです。
    準備したことをすべて喋れなかったので、私が事前に作ったメモを以下に紹介します。
    参考にしたのは Audacity 2.0.5 を JAWS で使う方法を解説した英語のサイトです。
    JAWS 用の説明がほぼ NVDA でも使えるようです。
    私はいろいろなオーディオ編集ソフトを使ってきたのですが Audacity はほとんど使ったことがなく、複数のトラックを使う作業はまだ勉強中です。
    いずれ丁寧な解説記事を書ければと思います。
    (追記:Audacity は Microsoft のアクセシビリティAPIを素直に実装しているようなので、NVDA 以外のスクリーンリーダーでも使えると思います。NVDA の強みとして紹介したのは「無料・オープンソースのアプリケーションへの対応に積極的であることの一例」とご理解ください。)
    R 録音開始
    「マイクテスト、12345」
    スペース 停止
    Ctrl+A すべて選択
    スペース 再生(停止)
    P 再生のポーズ
    コンマ ちょっと戻す
    ピリオド ちょっと進める
    選択範囲再生中の操作
    大かっこ [ 選択の開始
    大かっこ閉じ ] 選択の終了
    Shift+スペース ループ再生
    Shift+左右 選択範囲を前・後に広げる
    Shift+Ctrl+左右 選択範囲を前・後に狭める
    C 切り取りプレビュー(選択の前後を連続して再生)
    Z 選択範囲をゼロ交差点に合わせる
    Ctrl+X 切り取り
    Ctrl+L 選択範囲を無音にする
    Shift+A 再生・停止と再生位置(カーソル)の移動
    Home 再生位置を先頭に移動
    NVDA+L で「トラック1」と通知
    Shift+M (アプリキー/Shift+F10) コンテクストメニュー
    「名前」でトラックに名前を付ける
    NVDA+L で名前を読み上げるようになる
    Shift+J 選択範囲をトラック先頭からに広げる
    Shift+K 選択範囲をトラック最後までに広げる
    J カーソルを選択中トラックの先頭に
    K カーソルを選択中トラックの最後に
    再生していないとき
    大かっこ [ 選択範囲の開始を数字で入力
    大かっこ閉じ ] 選択範囲の終了を数字で入力
    Ctrl+F6 でツールドックに移動(選択バー、トラック、ツールバーの移動)
    Tab でツールドックの中を移動
    Ctrl+Shift+F6 でトラックビューに戻る
    Shift+R 追加して録音
    Alt T V トラック削除

  • タッチ操作での NVDA の利用

    NVDA 日本語版 のタブレットパソコンでの利用についてお問い合わせをいただいたので、メーリングリストでお答えしたことを紹介します。
    タブレットPCへの対応について、私自身は Windows 8.1 と iPad (iOS7) 用のリモートデスクトップアプリを使って、NVDA の動作検証を行っています。
    ひとつは Splashtop の Win8 Metro Testbed というアプリで、最初に買ったときは 4000 円くらいしましたが、いまは安くなっているようです。
    Windows 側に専用のソフト(Streamer)をインストールします。
    接続は比較的簡単にできます。
    もうひとつはマイクロソフトが最近公開した Microsoft Remote Desktop という無料の iOS アプリで、これは Windows 8 Pro が必要です。
    (Windows のリモートデスクトップサービスを使うため)
    接続の設定は IP アドレスを調べたり、Windows のログオン用パスワードを設定したり、とちょっと面倒です。
    また、リモートからの接続中は、PC 側の画面は使えません。(リモートデスクトップという機能の制約)
    スクリーンリーダーで環境設定ができるかどうかは確認できていません。
    どちらも、マルチタッチ操作や、iPad 側への音声出力ができます。
    これらの環境で評価したことを、ざっとご紹介すると、まず、 NVDA は起動するときに Windows のディスプレイ出力がマルチタッチ対応かどうかを判断して、NVDA が自動的に「タッチモード」で動作するようになります。
    タッチモードの NVDA は、いわゆる iPad の VoiceOver と似ていて、画面に触ると触った場所のオブジェクトを読み上げる「ダイレクト操作」と、左右フリックでレビューカーソルをひとつずつ移動する「シリアル操作」ができます。
    「フォーカスハイライト」アドオンを使えばわかるのですが、これは「レビューカーソル」「オブジェクトナビゲーション」の機能が、そのまま使われています。
    なので、タッチ画面によって、レビューカーソル、オブジェクトナビゲーションが使いやすくなるのではないかと思います。
    選択されたオブジェクトはダブルタップで実行(アクティベート)できます。
    フリックでの移動は、テキスト(文字)単位とオブジェクト単位の2種類のモードがあります。
    このタッチモードの切り替えは3本指タップです。
    タブレットのソフトウェアキーボードも、この作法で操作することになります。
    例えば画面を触ってダイレクト操作でキーを探して、ダブルタップで決定(文字入力)します。
    日本語のソフトウェアキーボード(Microsoft IME)の場合は、iPad の文字入力に似ていますが、文字を入れていくと予測候補がソフトキーのすこし上に表示されて、それを実行、というやりかたになります。
    現状(NVDA 2013.2jp)で問題になりそうなことは、ソフトキーボードの日本語の変換候補を普通に読んでしまう(詳細読みしない)、ということです。
    これについては調査中です。
    ユーザーガイド「4.3 NVDA タッチジェスチャー」もご参照ください。
    また、コマンドクイックリファレンスにはコマンドによっては「デスクトップ、ラップトップ、タッチ」のそれぞれの操作が記載されています。
    例えば 2本指2回タップでNVDAメニューを開く、などです。
    参考までに フォーカスハイライト のアドオン
    なお、NVDA はインストールされた環境でのみタッチモード動作します。
    もしお気づきの点があればお知らせいただければ幸いです。

  • BLPCフェア(11月10日)出演と点字毎日の記事のご報告

    11月10日(日曜)「BLPC FAIR ON THE WEB」というインターネット番組で NVDA 日本語版の紹介をします。
    私の出演は14時から16時の「NVDAにチャレンジ!」です。
    生放送でお届けしますので、多くのかたにお聞きいただければ幸いです。よろしくお願いします。
    それから、毎日新聞社の「点字毎日」にて NVDA 日本語版を紹介していただいたのでご報告します。
    wpid-IMG_20131025_225736.jpg
    点字毎日 2013年10月20日号(第4462号)「ものづくりの現場から」という連載記事の第63回として NVDA 日本語版が紹介されました。
    掲載紙が届いたので、点字を読むのは得意ではありませんが、頑張って読んでみます。。
    実は点字毎日には活字版もあり、こちらでは2013年10月24日号(第787号)の第3面で同じ内容が掲載されました。
    また、ちょっと前のことになりますが、点字毎日活字版2013年9月5日号(第780号)の第2面では、「スクリーンリーダー『NVDA』に高い関心 横浜の説明会に100人超」という見出しで、「NVDAワールド2013横浜」の記事が掲載されました。点字版でもたぶんお読みいただけたと思います。

  • NVDA 日本語版の設定

    すごい広島#23に参加して、NVDA 日本語版チュートリアル(導入から入力ヘルプまで)の続きを書きました。
    (2) NVDA 日本語版の設定
    NVDA を使うときに知っておくとよい設定を紹介します。
    以下、NVDA制御キーはInsertや無変換キーなど、「ようこそ画面」で説明されたキーを使います。
    ここでは NVDA 制御キーを押しながら N を押すことを NVDA+N のように表記します。
    NVDA+N を押すと NVDA メニューが開きます。
    下矢印キーを1回押すと「設定」という項目にフォーカスが移動します。
    nvda-menu-01
    このメニュー項目にはサブメニューがあるので、右矢印キーを押すと「一般設定」という項目にフォーカスが移動します。
    nvda-menu-03
    下矢印を何度か押して「キーボード設定」を見つけて、Enter キーを押してください。
    「キーボード設定」ダイアログが開きます。
    nvda-menu-04
    nvda-menu-05
    ダイアログの最初の項目にフォーカスが移動して、
    「キーボードレイアウト(K) コンボボックス デスクトップ クローズ Alt+k」
    と読み上げられます。
    このチュートリアルでは「ラップトップ」配列を使うので、選択項目を変えてみます。
    下矢印キーを押すと「ラップトップ」と読み上げます。
    この状態でEnterキーを押すと選択項目が保存されますが、Escキーを押すと選択の変更がキャンセルされて設定は「デスクトップ」のままになります。
    しかし、選択を保存する前に、もう少し「コンボボックス」の操作を確認しましょう。
    「ラップトップ」に選択項目が変更された状態で、さらに下矢印キーを押すと、何も読み上げされません。これは、さらに下にはもう選択肢がないことを意味します。
    逆に、上矢印キーを押すと「デスクトップ」に戻り、さらに上矢印キーを押すと、何も読み上げません。これは、さらに上にはもう選択肢がないことを意味します。
    つまり、このコンボボックスには2個の選択肢だけがあるわけです。
    コンボボックスには折り畳まれた(クローズ、閉じている)状態と展開された(オープン、開いている)状態があります。
    マウスやタッチの操作ではコンボボックスを展開して選択肢の一覧を確認してから項目を選べますが、キーボードではコンボボックスが折り畳まれた状態のまま矢印キーで操作できます。
    NVDA+Tabキーで、現在のコンボボックスの状態を確認できます。
    コンボボックスの状態の説明でAlt+kと読み上げていましたが、これはアクセラレーターキーと呼ばれる操作方法のヒントです。
    Tabキーでひとつずつ移動する代わりに、ダイアログボックスの中の項目にジャンプしたりチェック状態の変更ができるのですが、慣れるまでは覚えなくてもかまいません。
    ダイアログボックスの項目は Tab キーで移動できますが、この順番はソフトウェアの開発者が決めた順番です。ふつうは画面の上から下、左から右に決められています。そろそろ Shift+Tab キーで逆方向に移動できることを覚えると、行き過ぎたときに戻ることができるし、先頭の項目から一番最後の項目に移動するときにも便利です。
    読み上げの中止は Ctrl キーで、中断は Shift キーでできます。
    中断したあとでShiftキーをもう一度押すと、続きを読み上げます。
    ラップトップレイアウトを選択してEnterキーを押すか、フォーカスをOKボタンに移動してスペースキーを押しておいてください。
    今度はNVDAメニューから設定「音声設定」を確認していきます。
    nvda-menu-06
    nvda-menu-07
    「速さ」などは「スライダー」という形式の項目で、数値を視覚的に表現して、値を変更できるようになっています。
    スライダーという名前のとおり、マウスでつまみをスライドするような操作ができるのですが、キーボードでも操作できます。
    キーボードでは左右または上下矢印キーやPage Up, Page Downキーで値を増やしり減らしたりできます。EndキーとHomeキーで最小値や最大値に変えることもできます。
    キーを押すたびに数値を読み上げます。
    この音声設定のスライダーでは、変更した結果がどんな音声になるのかを確認しながら操作できます。
    コンボボックスの「記号読み上げレベル」は読み上げる情報に含まれる句読点やカンマ、ピリオド、カッコなどの読み上げかたの指定です。
    記号読み上げレベルを「読まない」にしたら、比較のためにNVDAメニューからヘルプ「ようこそ画面」を開いてみてください。
    設定によって例えば「NVDAへようこそ」のあとの「感嘆符」を読んだり読まなかったりすると思います。
    記号読み上げレベルは NVDA+P でも変更できます。
    NVDAメニューから設定「オブジェクト設定」で「オブジェクトのショートカットキーの通知」をチェックなしにすると、アクセラレーターキーを読み上げなくなるので、説明がすっきりします。
    nvda-menu-08
    nvda-menu-09
    繰り返しの説明になりますが、チェックとチェックなしの状態を切り替えるにはスペースキーを押します。
    備考:2013年10月24日 画面キャプチャーを追加しました。

  • OSC2013広島 終了しました

    オープンソースカンファレンス 2013 Hiroshima に参加してきました。
    NVDA ユーザ会広島 として NVDA 日本語版のブース展示を行いました。
    来場者数は正確には聞いていませんが約200人という話もあり、特に最初の数時間はにぎやかでした。
    わざわさ NVDA のためにきてくださったかたもおられました。ありがとうございます。
    (さらに…)

  • NVDA 日本語版の導入から入力ヘルプまで

    広島のエンジニアやウェブデザイナーの活動 すごい広島 #20 に参加して、私の NVDA 講習会の資料を、文章にしてみました。
    いままでメモ程度に書いていたものの、ちゃんとしたチュートリアル版です。3時間かかって(1)を書くのがせいいっぱいだったので、(2)と(3)は次の機会に書きます。
    公開したあとで画面キャプチャーを追加して加筆しました(10月3日 0時20分)。
    (さらに…)

  • NVDA 2013.2jp の公開と OSC 広島(10月6日)など

    8月17日の「NVDAワールド2013横浜」を終えて、あっという間に1か月が過ぎました。
    開催の記録ページから録画などをご覧になれます。
    NVDA日本語チームのWebサイトでは写真を公開しています。
    NVDA日本語チームが行ってきたSkype会議は9月からSkype交流会として運営方法を改めました。
    9月13日にNVDA日本語版2013.2jpを公開しました。
    ダウンロードは i.nvda.jp から可能です。詳しくは NVDA 日本語版のサイト をご覧ください。
    10月6日(日曜)には広島市中区のサテライトキャンパス広島(広島県民文化センター)で開催されるオープンソースカンファレンス2013Hiroshimaに、「NVDAユーザ会広島」として参加します。
    13時00分からセミナーで登壇します。
    事前申し込み受付中です。
    ブースでの紹介もさせていただきます。(展示は16時終了です)
    8月のイベントでもお話しましたが、NVDA本家版はこれから1年間に4回のリリースを確実に行っていこうとして、システムがいろいろ見直されました。
    このバージョンアップに、日本語チームが継続的に参加することは、日本語独自版を継続してリリースする土台を作るために、大事なことです。
    去年から海外のNVDA関係者といろいろ交流してきましたが、多くの国や言語で、私のような晴眼者ではなく、NVDAを必要としているユーザーたちが、NVDAの発展を支えています。
    日本で NVDA ユーザー自身が NVDA の翻訳を担当してくださる状態を作ることは、日本のNVDAコミュニティを世界の常識に合わせる(本当は「戻す」なのですが)ためにも、私が次のステップの活動に専念するためにも、必要と思っています。
    他の国では、ひとつの言語について翻訳チームの担当者が2人か3人いて、ユーザーインターフェースの po ファイルを翻訳する人、ユーザーガイドを担当する人、新機能 (changes) を担当する人、といった感じで分担をすることが多いようです。
    このように分担ができれば、1年に4回バージョンアップしても、1人の負担は小さくなります。
    そのような体制をつくるために人材の育成が必要と思いはじめました。
    いわば「NVDA 翻訳者養成塾」を開くことを考えています。
    日本のNVDAユーザーに「英語」「バージョン管理ツール」「テキストエディタと poedit の操作」のスキルを持っていただくために何ができるのか、具体的に考え始めています。
    10月6日の OSC 広島は、この「NVDA 翻訳者養成塾」についてお話をする最初の機会だと思い、出展内容のキーワードを「デスクトップ」「翻訳」「教育」にしました。
    皆様のご来場をお待ちしています。よろしくお願いします。