6月20日に NVDA ミートアップ東京 2015.2 を開催しました。
多くの人にお集まりいただきありがとうございました。
私の使ったスライドは下記の通りですが、すこし詳しくコメントします。
まず、訂正とお詫びがあります。
過去に「NVDA日本語版の更新チェックのアクセス統計」を紹介したことがありますが、私の作業に間違いがあり、実際のアクセスのおよそ2倍の数字を間違って報告していたことがわかりました。
あらためて今回訂正したグラフをスライドで紹介しましたが、最新のデータは、1日平均386人のユーザーがいらっしゃる、という状況です。
間違った数字を出してしまって申し訳ありませんでした。
しかし、正直なところ「700人以上のユーザーがいらっしゃるわりには手応えがないなあ」とも思っていたので、ある意味で400人弱は妥当な状況だと感じています。
ひきつづき、より多くのユーザーに使っていただけるように努力を続けたいと思います。
NVDA 日本語チーム役員会は2012年より2年の任期で活動し、現在ちょうど3年、つまり2期目の前半1年が終了したところです。
次回はミートアップのかわりに「NVDAワールド2015東京」を9月12日に開催し、年末に「NVDAミートアップ東京2015.4」を開催する予定です。
私はアンカンファレンスの時間を使って3つの話題を紹介しました。
最初は NVDA Remote Access の実演をしました。
このアドオンは現在は出資者向けのベータ版という状態で、一般のユーザーはまだ入手できません。
まだ未完成なところも多いのですが、実際に会場で2台のコンピュータを使って実演しました。
遠隔サポートやサーバー管理、仮想マシンの操作などに使えるのではないか、という意見を聞くことができました。
2番目は 2015.2 の新機能の紹介と、翻訳しながら私が考えたことをお話しました。
ウェブページのCSSで指定された色の読み上げが改善されたので、「書式情報」で色の通知を有効にして実演しました。
色の名前の翻訳では「日本語としての自然さ」よりも「ウェブ制作者の意図」を重視することにしました。
例えば「Dark Goldenrod」を選んだウェブ制作者は「ダーク・ゴールデンロッド」という名前を意識しているはずで、スクリーンリーダーのユーザーから「この金色みたいな色の画面要素が」などという問い合わせを受けると、かえって困ってしまうのではないか、と考えました。
現在の NVDA では「Dark Goldenrod」は「暗いゴールデンロッド色」という翻訳にしてあります。
実際にブラウザで読み上げて動作を確認していると「暗いゴールデンロッドの色」のように「の色」で統一するのがよいかと思い始めています。
Excel のグラフと数式はスライドで紹介したとおりなのですが、Excel で NVDA+F7 を押すと要素リストが表示されないで「スペルチェック」が実行されてしまうことがあります。
他のユーザーから報告されていない現象なのですが、気になっているので、情報をお待ちしています。
最後に Windows 10 の実演。
NVDA をメインのスクリーンリーダーとして、Firefox をデフォルトのブラウザとして使える人であれば、現状でも Windows 7 からの移行は可能なのではないかと思います。
ただ Windows 10 のナレーターの日本語の読み上げはまだ私はきちんと動作確認できていません。
もちろん NVDA 以外のスクリーンリーダーが Windows 10 に対応するまで移行できないという人も多いでしょうから、「壊れてもよい環境」を用意して、自己責任でお願いします。
仮想デスクトップはキーボードだけで操作でき、ほぼスクリーンリーダーで読み上げできています。
スタートメニュー、新しいタスク切り替え、新しいウェブブラウザがきちんと対応するのは NVDA 2015.3 からです。
おそらくリリースは9月上旬のイベントの時期になるでしょう。
Windows 10 がリリースされる7月29日前後には、本家の master ブランチに基づく日本語公開ベータ版をリリースして、日本からも 2015.3 正式版に対して積極的なフィードバックをしていきたいと思い始めています。
追記:Windows 10 紹介の録音を公開しました。
投稿者: nishimotz
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NVDA ミートアップ東京 2015.2 の報告
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NVDA 2015.2 の数式対応
NVDA 2015.2 の数式対応について、ミツエーリンクスさんのブログで解説されています。
http://www.mitsue.co.jp/knowledge/blog/a11y/201506/17_ 1000.html
NVDA 2015.2 ユーザーガイドにも上記記事にも書かれているとおり、MathPlayer 4 ベータ版をインストールしないと、数式の読み上げは動作しません。
http://www.dessci.com/en/products/mathplayer/download. htm
この機能に関して、NVDA 日本語版は独自のオプションを追加したので、コメントしておきたいと思います。
NVDA 日本語版の説明
https://www.nvda.jp/nvda2015.2jp/ja/readmejp.html#toc26
からまず引用します:
5.2.14. 数式を英語で読み上げる
「数式を英語で読み上げる」オプションの初期値はチェックされています。
MathPlayer がインストールされていて、このオプションがチェックされている場合、コンテンツの言語属性や NVDA の設定に関わらず MathML で記述された数式は英語で読み上げます。
このオプションをチェックなしにすると、コンテンツや設定によって MathML の数式が日本語で読み上げられる場合があります。
しかしこのとき、数式の対話的ナビゲーションを実行すると
“No navigation files for this speech style in this language”
と通知されて操作ができない場合があります。
この問題についての詳細はチケット35208 および本家チケット #5126 を参照してください。
日本語チームチケット 35208
https://osdn.jp/ticket/browse.php?group_id=4221&tid=35208
本家チケット 5126
http://community.nvda-project.org/ticket/5126
数式を読み上げるためのテキスト化の処理は NVDA ではなく MathPlayer に実装されています。
実は MathPlayer 4 自身が音声エンジンと点訳エンジンを内蔵しており、スクリーンリーダーがなくても動作します。
点字は MathPlayer が Nemeth コードへの変換を行っているようです。
ただし NVDA と組み合わせて使う場合は MathPlayer 内蔵の音声エンジンは使われません。
MathPlayer は Internet Explorer のプラグインとして動作しますが、Firefox で MathML を読み上げるときにも、NVDA は内部的に MathPlayer のエンジンを呼び出しています。
MathPlayer をインストールすると Windows のコントロールパネルに MathPlayer の設定をするダイアログが現れます。
そこに数式を読み上げる言語の設定オプションもあります。
しかし NVDA が MathPlayer を通じて数式を読み上げるときに、数式をどの言語で読み上げるか、という設定は、私が確認したかぎりでは、あまりうまく制御できません。
HTML で言語属性がどのようにマークアップされているか、
あるいは NVDA の音声設定
「自動言語切り替え」
「記号と文字の説明に音声の言語を使用」
などのオプションが、数式の読み上げに影響を与えるようです。
日本語 Windows で NVDA を使っていれば、 MathML コンテンツは通常、日本語で読み上げられます。
しかし、上記に引用した説明にも書いたとおり、 MathPlayer の制約で「対話的なナビゲーション」(NVDA+Alt+M)が正しく動作しない場合があります。
これは私が頑張って追求したのですが、 NV Access の判断は MathPlayer の不具合なので NVDA は直さない、ということでした。
2015.2 の重要な新機能のひとつが日本語環境でうまく使えない、という事態を避けるために、NVDA 日本語版においては、「数式を英語で読み上げる」オプションを提供して、デフォルトでは
「数式は英語で読み上げるけれど NVDA+Alt+M は確実に使える」
という状態にしました。
例えば JTalk で音声設定「自動言語切替」を有効にしていると、数式の部分だけ eSpeak の英語の声で読み上げる、という状況を確認していただけるはずです。
一方で、NVDA+Alt+M の動作は不完全かも知れないが、日本語環境では数式も日本語で読ませたい、という場合は、この日本語設定「数式を英語で読み上げる」をチェックなしにしていただくと、本家版 2015.2 と同じ動作になります。
ミツエーリンクスさんのブログには、数式の日本語での読み上げには不自然なところがある、というご指摘も書かれています。
これは MathPlayer 自身に「数式を日本語でどう読み上げるか」という処理が入っているため、 NVDA 側では改善できません。
数式の日本語での読み上げをもっと自然にすること、日本語でナビゲーションが使えるようにしていただくこと、などの件について MathPlayer 開発元である Design Science へのフィードバックも重要と思います。
MathPlayer の開発チームには日本の数式アクセシビリティ研究者のお名前も挙がっているので、きちんと問題提起すれば改善されるのではないかという期待もあります。
http://www.dessci.com/en/products/mathplayer/tech/ credits.htm
NVDA の数式対応についての Design Science と NV Access の協業は、今年3月に正式発表されましたが、現在もまだ MathPlayer 4 がベータ版として配布されている状態なので、今後も状況が変化していくと思います。
まずは日本のコンテンツ制作者の皆様にアクセシブルな MathML コンテンツのブラウズ環境を体験していただき、適切なマークアップ方法についてご議論いただくために、NVDA 2015.2 の新機能を体験していたければ幸いです。
追記
https://osdn.jp/projects/nvdajp/wiki/MathML に私が検証に使っているMathMLコンテンツのリンク集を作りました。ご利用ください。 -
NVDA 2015.2jp リリースおよび NVDA 関連イベントのお知らせ
NVDA 日本語チームから NVDA 2015.2jp のリリース、NVDA ミートアップ東京 2015.2 の再度のご案内、そして NVDA ワールド 2015 東京 開催決定のお知らせです。
無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の日本における開発コミュニティである NVDA 日本語チームは、2015年6月15日に NVDA 2015.2jp をリリースしました。
ダウンロード
http://i.nvda.jp/
NVDA日本語版 ダウンロードと説明
https://www.nvda.jp/
Windows 8.1, 8, 7, Vista, XP(SP3) の32ビット版および64ビット版に対応しています。
Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。
NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。
オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA 本家版は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
NVDA 日本語チームがリリースする NVDA 日本語版は、NVDA 本家版に日本語の音声エンジンと点訳エンジンを追加するなど、日本語 Windows 環境のための改良を行っています。
NVDA 日本語版 2013.3jp 以降がインストールされ、「自動的に確認してNVDAを更新」を有効にしている場合は、このリリースを新しいバージョンとして通知します。
このリリースは NVDA 本家版 2015.2 に基づいています。
2015.2 の改良点は、Microsoft Excel のグラフ読み上げ対応、数式コンテンツ(MathML)への対応などです。
以下は日本語版 2015.2jp での変更点の概要です。
(1)
日本語入力で変換前文字のキャレット移動が「空行」と通知される不具合への対応
(2)
BrailleNote 46C/46D でタッチカーソルを押すとエラーになる不具合への対応
(3)
更新チェックの安全な通信(HTTPS)への移行
(4)
日本語設定「ヘルプを独自のウィンドウで開く」を無効にできるオプションの追加
(5)
音声設定の既定値「大文字にビープを付ける」をチェックなしにして「大文字の前に大文字と読む」をチェックする変更
(6)
日本語点字出力の改善
(7)
ユーザーガイドの日本語表記の改善
(8)
日本語設定「数式を英語で読み上げる」オプションの追加。
これは NVDA 本家版および MathPlayer の実装で、NVDA の言語が日本語のときに数式コンテンツの操作ができない問題に対応するための変更です。
詳細は「NVDA日本語版の説明」をご確認ください。
NVDA日本語版の説明 バージョンごとの変更点
https://www.nvda.jp/nvda2015.2jp/ja/readmejp.html#toc64
NVDA最新情報(本家版のバージョンごとの変更点)
https://www.nvda.jp/nvda2015.2jp/ja/changes.html
NVDA ミートアップ東京 2015.2 では今回リリースした NVDA 日本語版 2015.2jp の概要とNVDA 日本語チームの活動報告、アンカンファレンスを行います。
NVDA と Windows スクリーンリーダーの情報交換の場としてぜひご参加ください。
日時:2015年6月20日(土曜)13時から17時
場所:東京都新宿区 日本盲人会連合 日本盲人福祉センター
詳細と参加のお申し込み方法は下記でご確認ください。
NVDAミートアップ東京 2015.2 (connpass)
http://nvdajp.connpass.com/event/12178/
最後に、NVDA 日本語チームは、2013年、2014年に続いて、2015年も下記の通り「NVDAワールド」を開催することをお知らせします。
イベント名:NVDAワールド 2015 東京
日時:2015年9月12日(土曜)10時より
場所:東京都港区虎ノ門で調整中です。
詳細は下記のサイトでお知らせします。
NVDAワールド 2015 東京
https://www.nvda.jp/2015/nvda-world-2015-tokyo.html
(以上) -
すごい広島 95 と NVDA 日本語版のソースコード管理
すごい広島 95 に参加してきました。
事前に呼びかけてみたら、NVDAユーザ会広島の関係者が、私を含めて3人集まりました。
やること宣言した作業は NVDA 日本語版の点訳エンジンに関する下記の検討でした。
日本語点訳で (日) と (火) の区別がつかない
NVDA 日本語版のソースコードは Git で管理されています。
また、NVDA 日本語版に含まれている日本語点訳エンジンにはテストコードが用意されており、なにか修正をしたときに、いままでうまくいっていた点訳の事例を壊さないように作業をしています。
テスト駆動開発の理念を尊重して作業しています。
いわゆる「デグレード」を避けるべき理由はいろいろあるでしょうが、不具合が増えてしまうと、それを嫌って「古いバージョンをわざわざ使う人」が増えてしまいます。
NVDA 本家版はそのようなことがないように努力しているのがわかるので、日本語版もそうしたいと思います。
私がこの日にやった作業は以下のような感じでした。- 点訳エンジンのテストを実行して、既存のテストケースでエラーが出ていないことを確認
- 報告があった「不具合の事例」をテストケースに追加
- 追加されたテストケースで、テストを実行して、そこだけが新しいエラーになることを確認
本当はエラーが出ているのでコミットするべきではないですが、作業手順の説明とバックアップのためにコミットされました。
帰宅して数日のうちにもうひとつのコミットを行い、この時点でエラーの数は0に戻りました。
作業はチケットに対応するトピックブランチ ti34973 で行い、作業が完了してから master にマージされました。
この作業をしたレポジトリは通称 miscDepsJp と呼んでいるもので nvdajpmiscdep という名前で管理されています。
この miscDepsJp レポジトリは nvdajp 本体のレポジトリから submodule として参照されています。
NVDA 日本語版の実行ファイルをビルドすることなく、miscDepsJp のソースだけで点訳エンジンの開発と単体テストが可能になっています。
修正の中身をすこし詳しく説明しておきます。
日本語点訳において(日)(火)などの曜日表記が、読み付与が間違っているためにどちらも「ヒ」になっていて、区別がつかない。
このような事例だけでも個別対応をして修正できないか、というのがいただいた要望でした。
日本語点訳の読み付与は Open JTalk の処理系に合わせて MeCab で行っています。
一般的には「日」や「火」という文字が出てくるたびにすべてを「ニチ」「カ」のように変換してしまうわけにはいかず、本来は文脈に応じた処理を行う必要があります。
もし文脈に応じた処理をしないと、たぶん既存のテストケースのどこかが壊れてしまうでしょう。。
今回はメーリングリストでいただいたアイディアを参考に、「(日)」のように「前後にカッコ、カッコとじがついている場合」だけ特別な対応をするという方針で作業をしてみましたが、実際には「記号」「一般名詞」「記号」という3つの形態素として処理されるべきなので、MeCab の辞書登録に加えて形態素解析結果の後処理で正規化(形態素の分割)を行って、なんとかつじつまを合わせています。
MeCab の辞書に単語を追加したので JTalk の読み上げにも影響が及ぶのですが、今回の作業の結果 JTalk の読み上げで「(日)」「(火)」は「ヒ」「ヒ」のままになっています。
音声読み上げについては音声合成に送られる前に句読点記号辞書が適用されるので、音声エンジンが受け取る前に「カッコ 日 カッコトジ」「カッコ 火 カッコトジ」のような文字列になってしまいます。
なので「(火)」のような単語を MeCab 辞書に追加しても、点訳エンジンに対してしか効果はありません。
以上、やった作業の簡単な報告でした。
NVDA 日本語チームのメーリングリストにおいて、日本語テキスト解析に関する開発には多くのひとが興味をお持ちのようなので、この部分に特化した開発をしていただくために、ソース、ドキュメント、ツールなどを整理したいと思っています。
複雑な作業であることにはかわりないので「誰でも開発に参加できるようになる」と期待されるとつらいですが。。
なお NVDA 日本語版のソースコード管理システムを github にまとめる作業を進めているところです。
ソースを github にコミットすると点訳エンジンのテストを自動実行する、いわゆる「継続的インテグレーション」などもやりたいと思っています。 -
Michael Curran さん来日対応の報告
2月28日から3月2日にかけて、NV Access 代表の Michael Curran さんの来日をサポートしてきました。
写真は3月1日に行った打ち合わせの様子です。奥の方、写真では真ん中に座っているのが Mick さん。多くのかたにご参加、ご協力いただきました。
最終日に日本財団で行われた打ち合わせや講演会には私は同席しませんでしたが、その他のスケジュールで話し合ったことや聞いたことを、簡単にまとめます。
(1)NVDA本家版における日本語対応の課題
文字入力:- IMEから「文字アトリビュート」を取得する必要がある。
- 現在はNVDA日本語版では inputCompositionUpdate で「変換中の文字列」「タブコード」「文字属性を’0′, ‘1’, ‘2’ のように表した文字列」を送るように C++ 側を拡張している。IMM32 と TSF それぞれ実装が必要で、TSF 側を実装したのは日本語版で 2014.3jp 以降。
- ユーザーから見ると範囲(選択中のかな文字、選択中の文節)という概念になるが、実際には特定の属性の場所をスキャンすることで「範囲」を取得する。
- 「はいりそうです」という入力を「入りそうです」「はい理想です」のように文節の区切り方を変えたり、注目する文節を切り替えたりしながら変換する例。
- 最初にスペースキーが押されたときに、「はい理想です」という候補は(選択されている第一文節の)「はい」だけを通知するか、「はい」「理想です」の全体を通知するか。選択範囲が常に通知されるべきというNVDA全体の仕様からは、前者がよい?だが日本語版は現在は後者の実装になった。最初のスペースキーを押したときに妥当な結果が得られている可能性は高いので、文節の区切られ方よりも全体の文字説明を知ることのほうが効率的であるため、という考察。もしかすると「はい理想です」全体の詳細説明に続いて「はい」が選択中であることを通知するのがよいのでは。。
- 入力コンポジション設定の「読み文字の通知」は「エイチ」「ハ」「イ」「アール」「リ」のようなローマ字入力のキーエコーを制御するべきではないか。現在はキーボード設定の「入力文字の読み上げ」で制御している。
- Enter と Esc は日本語入力中とそれ以外の場合でまったく違う役割を持つので、この2つのキー入力の結果を分かりやすくする必要がある。現在の日本語版では IME の確定でない場合のEnterは「改行」と通知できる。また IME 作業中のEscは「クリア」と通知する。
- 日本語版では、いくつかの処理のためにキー入力フックに手を入れて直前の状態を取得している。なるべくIMEからAPIで取得した情報(文字アトリビュート)を前提とした実装に置き換えるべき。
文字説明:
- レビューカーソルやキャレットの左右移動で常に文字説明を行う「説明モード」はアジア言語圏の開発者が本家版に取り入れつつある。特定の言語で自動的に有効になる、という実装の見込み。
- 日本語版では文字説明のときに「カタカナのピッチを下げる」「半角文字のピッチを上げる」という実装を追加している。
- 辞書候補アイテムについては、特別な通知方法が必要。「カタカナ シ」「カタカナ オ」を「カタカナ シオ」のようにまとめる。iOS の VoiceOver でもこういう実装はすでにできている。
- フォネティック読みや半角全角などの文字の種類を通知したい場合とそうでない場合がある。UnicodeData のような国際化の枠組みを使うと一般化できそう。
点字ディスプレイと日本語点字:
- 日本のケージーエス社の点字ディスプレイを紹介。
- BT接続なら追加でドライバーをインストールする必要はない。
- NVDA用のドライバは本家版へのアドオンとして提供できる
- メンテナーがいれば本家版に統合は可能
- liblouis での日本語対応が困難であることについて。
- 逆変換でドットからかな文字への変換には曖昧性はないはず。これができれば、点字ディスプレイからの文字入力はできるのでは。
- 点字出力にフォーカスモードとレビューモードがある。フォーカスモードは出力が冗長で使いにくいという意見が日本にある。
- NVDA コアでの数式(MathML)サポートが進んでいる。これにより、点字を適切に仮想バッファで処理する枠組みが整備される見込み。
- 仮想バッファが点字を適切に処理できないため、点字メッセージ出力を使ったアプリや処理が必要。例えば仮名漢字変換候補を点字に出力するために「メッセージ表示待ち時間」を無効化するオプションを日本語版につけている。「待ち時間を負の値にする」という仕様なら本家版に取り入れられるかも知れない。
- 日本語に通常の6点点字、漢点字、6点漢点字というシステムがあることの紹介。
(2)NV Access の状況
- 日本財団、Google, Adobe からの支援、ユーザーの寄付。
- Microsoft Office サポート、特にビジネスで使われる機能に注力して、学生や企業の利用が増加。寄付も増えた。
- Web 標準への対応、WAI-ARIA と IE 対応
- Skype 対応の改善
- Google の支援。Webアプリケーションがどんどんアクセシブルに。YouTube でアクセシビリティ機能が紹介されている。現在は Firefox 推奨だが Chrome もこれからよくなるはず。
- インドの Sapient 社がフルタイムの NVDA 開発者を雇用している。Excel 対応の改善、言語の自動認識、インド国内の様々な言語や文字への対応。NV Access とインドのチームは定期的に電話会議をしている。
- ディストリビューション。ダウンロード数はバージョンごとに78,000件。ユーザ数は一日あたり21,000人。
- 各種の会議やイベントへの参加
- 企業向けの有償サポート
- フィリピンの eyRead 社によるエンドユーザ向けサポート事業の支援
- 教材を作成中
- 国際アドバイザリ委員会を立ち上げ準備中(西本も参加予定)
日本からの質問とその回答:
- タブレットについて。Windows アプリケーションの操作は一般的に複雑なので、キーボードがまったく不要になるほどタッチ操作を拡張することには懐疑的。
- アプリケーション開発者に対してNVDAへの対応をどう伝えていくか。「ナレーターで使えるようにしてほしい」は悪くないメッセージ?
- 日本におけるNVDAの位置づけ。国産スクリーンリーダーの普及率の高さや使いやすさは変わらない。新しいことにチャレンジできるのがNVDAのメリット?
- NV Access はどこかに買収されたりしないのか? 現在の非営利法人の法的な位置づけの制約で、営利企業に買収される可能性はない。非営利団体に吸収される可能性は過去に検討されたことはある。
- Microsoft には競争相手としての「ナレーター」の存在に期待する。ナレーターは点字をサポートしないので、視聴覚の重複障害に対応できない。
(3)NVDA 日本語チームの状況
- 日本語版は本家版が出るごとにちゃんとリリースしてきた。
- リリースごとのダウンロードは2000から3000。
- 一日あたりのユーザは650(先週700を超えたばかり)。
- コードサイニング証明書を独自に手配している。2014.4jp からはNVDA用音声合成エンジンを販売するナレッジクリエーション社が提供。
- 用語の一貫性に配慮してきた。例えば「クイックナビゲーション」を「一文字ナビゲーション」に統一したり、「マウス」「マウスカーソル」「マウスポインタ」といった揺らぎを解消したりしてきた。教材を作る以前の作業として、開発者が行うべき「学習しやすさ」の改善と考える。
- NVDA日本語版ガイドブックを執筆した。まる2日間の実習で使える内容になっている。ブラウズモードとオブジェクトナビゲーションを具体的に説明している。ユーザの環境や使っているアプリに依存しないように、なるべくNVDA自身の操作画面を使うように配慮している。また開発者の立場から技術的に正確な説明を心がけている。
- NVDAワールドというイベントを毎年開催。展示ブースを作ってスポンサーを募った。
- 企業の社会貢献活動、個人、ボランティア団体からの寄付を受けた。
- ミートアップという新しいイベントの定期開催を始めた。
この他に、食事しながら雑談したことなどは、また機会があればご紹介します。
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NV Access 講演会, NVDA日本語版 2015.1jp, NVDA ミートアップ東京 2015.2
NVDA 開発者 Michael Curran さん(NV Access)の東京での講演会のお知らせです。
日時:2015年3月2日(月)13:00~15:00
場所:日本財団 2階第1会議室(東京都港区赤坂1-2-2)
参加費は無料、前日までに申し込みが必要
NVアクセス、創設者クラン氏講演会の詳細
この講演会は NVDA 日本語チームの行事ではありません。
西本はこの週末、東京で NVDA に関する打ち合わせに参加する予定ですが、 Mick さんの滞在が非常に短いため、NVDA 日本語チームとしては公開の行事を行わないことをご理解いただければ幸いです。
以下は NVDA 日本語チームからのお知らせです。
NVDA 日本語チームから NVDA 2015.1jp のリリース、および NVDA ミートアップ東京 2015.2 の開催日が2015年6月20日(土曜)に決定したことをお知らせします。
無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダーNVDA (NonVisual Desktop Access) の日本における開発コミュニティである NVDA 日本語チームは、2015年2月25日に NVDA 2015.1jp をリリースしました。
ダウンロード
http://i.nvda.jp
Windows 8.1, 8, 7, Vista, XP(SP3) の32ビット版および64ビット版に対応しています。
Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。
NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。
このリリースは NVDA 本家版 2015.1 に基づいています。
2015.1 の主な改良は、Microsoft Word および Outlook のドキュメントでのブラウズモード、Skype (Windows デスクトップ版) および Microsoft Internet Explorer への対応の強化です。
オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA 本家版は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
NVDA 日本語チームがリリースする NVDA 日本語版は、NVDA 本家版に日本語の音声エンジンと点訳エンジンを追加するなど、日本語 Windows 環境のための改良を行っています。
NVDA 日本語版 2013.3jp 以降がインストールされ、「自動的に確認してNVDAを更新」を有効にしている場合は、このリリースを新しいバージョンとして通知します。
以下は日本語版 2015.1jp での変更点の概要です。
(1)特定の音声デバイスで JTalk の読み上げが途中で停止してしまう不具合への対応
(2)連続読み上げで JTalk が最後まで読み上げを行わない場合がある不具合への対応
(3)ケージーエス 点字ディスプレイドライバの改善
ブレイルメモスマートを含むケージーエス社製点字ディスプレイのドライバーにおいて、機種や接続方法によって自動接続が利用できなかった不具合を改善し、自動選択の処理時間を短縮しました。
自動接続に成功した場合に接続ポートを設定情報に保存しないようになりました。
BMユーティリティがインストールされていない場合も動作するようになりました。
BMユーティリティは Ver. 6.2.2 で動作検証を行っています。
(4)「レビュー内の現在の文字を通知」の仕様変更
「日本語設定」でかな文字とアルファベットのフォネティック読みを有効にした場合に、「現在の文字を通知」2回押しの場合にのみフォネティック読みを行うように変更されました。
(5)bullet に対応する日本語の変更
サポート対象の文字を追加し、「バレット」から「ビュレット」に読み方を変更しました。
(6)日本語表記の変更
「保存された設定の復元(R)」→「前回保存された設定に戻す(R)」
「大見出し」→「バナー」
などの表記変更、語尾の「する」の省略に関する表記の統一などを行いました。
詳細は「NVDA日本語版の説明」をご確認ください。
NVDA日本語版の説明 バージョンごとの変更点
NVDA最新情報(本家版のバージョンごとの変更点)
NVDA 日本語版の情報
NVDA 日本語チーム活動報告
バグ報告やお問い合わせは
チケットシステムへの新規チケット登録
メーリングリスト
にお願いします。
なお、NVDA 日本語チームは NVDA のリリース周期に合わせて3ヶ月ごとにアンカンファレンス形式のイベントを開催することになり、第1回目は2015年2月7日に開催されました。
第2回目の「NVDA ミートアップ 東京 2015.2」は2015年6月20日(土曜)に東京都新宿区の日本盲人会連合 日本盲人福祉センターで開催します。
詳細と参加のお申し込み方法は下記でご確認ください。
NVDAミートアップ東京 2015.2 (connpass) -
NVDAミートアップ東京2015.1 & OSH2015
主催イベントと参加イベントの2件のご報告です。
2015年2月7日(土曜)に、東京都内にて NVDA 日本語チームによる初めてのミートアップを開催しました。
私は最初に「2015年のNVDAとWindows環境」という講演をしました。
Windows に限らずコンピューターやインターネットに関する技術の変化が速くなっています。
国際的な NVDA のコミュニティが目指す世界を日本の皆様に共有していただけるように、また日本のスクリーンリーダーの状況を世界に発信し、海外の NVDA ユーザーに対する貢献に繋がる活動を心がけたいと思います。
私たちが確保した時間の大半は「アンカンファレンス」と呼ばれる形式で進められ、その場で決まったテーマで3個ないし4個のグループに分かれて議論したり作業したりしました。
議論の一部は以下にて報告されています。
NVDA ミートアップ東京 2015.1 基調講演、翻訳、本家チケット、アプリ開発
Windows タブレットでNVDAを使う (2015.1 #2)
Webアクセシビリティの現状 (2015.1 #3)
タブレットタッチ操作
地域コミュニティの活性化とお互いの協力
2015年2月14日(土曜)に広島市内にて開催された オープンセミナー2015@広島 に参加してきました。
こちらは私は参加者として勉強してきたのですが、参加者も集まり、なによりも貴重な内容が多々あって非常に有益でした。
懇親会と同時開催だった勉強会「LT駆動開発11」にて「地域 PyCon mini を広島で」という提案のライトニングトークをしました。
NVDA 日本語チームの活動と並行して広島での地域コミュニティの方向性を模索してきましたが、まずはプログラミング言語 Python という大きな(とは言っても大きすぎない)枠組みで、広島とそのご近所の地域コミュニティ活性化を、というのが私の今年の目標になりそうです。
ぜひご理解、ご協力いただければ幸いです。 -
すごい広島89の覚え書き
すごい広島の毎週水曜日の活動にひさしぶりに参加してきました。
github でプルリクエストをするというルールのある勉強会(ミートアップ)です。
まだ完了していませんが、私の手順を記録しておきます。
(ふだんターミナルやコマンドプロンプトから git/github を使っているので、こういう操作は久しぶり)
下記は「ブラウザだけで作業が完結する手順」のはずです。
事前に Doorkeeper で参加登録をしていました:
http://great-h.doorkeeper.jp/events/20004
github の great-h/great-h.github.io の issues 画面:
https://github.com/great-h/great-h.github.io/issues
から右上の緑色のボタン New issue を押して、issue を作ります。
前例にならって「すごい広島 89 – 24motz NVDAの翻訳をする」のようにタイトルを入力します。
ちなみに私の場合 24motz は Twitter のアカウント名で nishimotz は github のアカウント名です。
説明も適当に書いておきます。
右側の「今日やること宣言」という赤いラベルを有効にします。
Milestone をその日の日付のマイルストーンに設定して、 “in progress” というラベルもつけておけばよいようです。
親切な人があっという間につけてくれましたが。。。
作った issue には通し番号がつけられます。
今回私の作ったものは 1507 になりました。
最後にプルリクエストを出すのですが、まずブランチを作っておきます。
開発でソースコードをいじるときにも、先にブランチを作ってから作業をするんですよ。。
本当は赤の他人はブランチを作る前にリポジトリそのものをフォークしておきます。
ただし「すごい広島」はフォークではなく参加者にブランチ作成権限を与える流儀になっているそうです。
「マージする前に管理者がブランチを直したいことがあるから」らしいです。
github のユーザ nishimotz は https://github.com/great-h/great-h.github.io の画面で、左上の「 branch: source 」というボタンを押すとブランチを作ることができます。
Switch branches/tags
と書かれていて、その下にブランチのリストが並んでいます。
上にあるテキストエディットは検索ボックスのようですが、よくみるとプレイスホルダーに
Find or create a branch…
と書かれています。ここに新しいブランチ名を書き込むと、いきなりブランチが作れてしまうわけです。
慣例に従って、issue 番号を入れて 1507-24motz ブランチを作りました。
このブログを更新したら、この記事のURL(固定リンク)が決まるので、実際に更新作業をしてプルリクエストを出せるわけです。
書いていて気づいたのですが、ここに全部(しかも画面キャプチャ入りで) すでにまとまっていた。。
そうですね、_posts の中の「その日の記事の .markdown ファイル」を edit して、commit して、メッセージに #issue番号 を入れてプルリクエストですね。。(泣)
追記:いま、この手順をやってみたら、 edit したときのコメント欄の下に
「このブランチにコミットするか、新しいブランチを作ってプルリクエストを出すか」
(Create a new branch for this commit and start a pull request.)
という選択肢が出てきました。
もしかするといまの github だと「ブランチを作る前に edit する」という手順はアリかも知れないです。。
追記2:プルリクエストを作ったら 1514 という番号がついた。
追記3(2月5日)1週間後にissueがクローズされた。
私が「すごい広島 89」でやったことをまとめます:今後の予定ですが、ときどき「NVDAユーザ会広島」の人を水曜夜の コワーキングスペース MOVIN’ON にお誘いして、もくもく会の相乗りができないかと考えています。
2月7日の東京での NVDA ミートアップ東京 2015.1 で「アンカンファレンス」の運営を経験する予定なので、広島での活動に取り入れたいと思います。
今週末の2月1日にはボランティア団体 VIC のステップアップ講習会で NVDA の最近の状況、特に音声合成エンジン KCトーカー の紹介などをさせていただく予定です。
もうひとつだけ、私はただの参加予定者ですが、2015年2月14日に
「オープンセミナー2015@広島」(osh2015)
が開催されます。
テーマは「クラウド時代の構成管理入門」とのことで、いまホットな話題のひとつだと思うのですが、広島でこういう技術に興味のある(しかもバレンタインデーを勉強会に費やすことができる)人に「もっともっと参加を呼びかけたい」状況なんだそうです。
オープンセミナー2015@広島 参加申し込み
NVDA 日本語版の「更新チェック」を集計するのに Ansible を使っている、という話は LT駆動開発08 でしたことがありますが、「NVDA 以外の仕事」でも Ansible を使っており、こういう場で情報を得ないと、つい自己流になってしまうなあ、と思う日々です。
私がいまどういう仕事をやっているか、まだ詳しく書けないことも多いのですが、いつかは人を雇わなくてはいけない日が来ると思うので、こういう勉強会やイベントには、これからもなるべく参加したいと思っています。
追記3(1月30日): 1514のプルリクエストにTravis CI の結果がコメントとしてくっついてますね。markdown にエラーがないかどうかチェックする作業が自動化されているようです。素晴らしいね。。
こういう技術も「クラウド時代の構成管理」ですね。。 -
NVDA日本語版 2014年を振り返って
NVDA日本語版は2013年の終わりから「新しいバージョンの通知」機能を有効にして、この機能についてのアクセス統計を取ってきました。
NVDAは最低でも24時間以上の間隔をあけてこのチェックを実行します。
また「手動で新しいバージョンのチェック」が行われた場合は区別されるので、自動チェックだけを数えれば、比較的正確に「どのくらいのユーザがNVDAを実際に起動して使っているか」がわかると考えています。
2014年の「1日あたりのユーザ数」の値を並べてみます。
これは1週間ごとに、その週の自動チェックの回数を7で割って、一日あたりの平均ユーザ数を求めた値です。
2014年3月 326人
2014年6月 424人
2014年9月 501人
2014年12月 592人
2014年の最初の段階では、更新チェックをしない旧バージョンのユーザも多かったと思われますが、最近の数字では2013.3jpのユーザが3パーセントであり、それ以前のバージョンのユーザはさらに少ないと予想しています。
次のグラフは各バージョンのユーザ数の推移です。
2014年5月から12月まで、2014.1jp から 2014.4jp までのそれぞれのユーザ数が増えては減り、増えては減り、という様子がわかります。
新バージョンが出た直後にぐっと数字が伸びて、さらに次のバージョンが出てしまっても、完全には消えてしまわず、じりじりと減っていく、そんな感じです。
具体的な数字を挙げてみます。
ユーザ数のピークの時期と人数
2014.1jp 5月11日ごろ 351人
2014.2jp 8月31日ごろ 366人
2013.3jp 11月9日ごろ 449人
ピークかどうかはわかりませんが
2014.4jp 12月21日ごろ 404人
バージョンごとのピーク人数は少しずつ増えているようです。
お気づきのとおり、なぜか旧バージョンのユーザが0になりません。
ネットワークにつなげないで使っているユーザの統計はこの数字には出てこないので、「新しいバージョンがあります」と言われながらもバージョンアップを拒否し続けているということですね。。
もし、新しいバージョンに移行してみたけれど、不具合が見つかったので、元に戻してしまった、ということであれば、やむを得ないかも知れませんが、もしそういうことがあるなら、ぜひ私たち(NVDA日本語版の開発者コミュニティ)にお知らせいただきたいと思います。
なぜなら、NVDA に限っていえば、すべてのユーザがいつも最新版を無料で手に入れられるし、すべてのユーザに最新版で使ってもらえるように開発をしているからです。
「新しいバージョンを見送る」ことが習慣になっている状況は理解できますが。。
2014年9月のイベントでは「NVDAの日本語化がいちおう完了した」と宣言しました。
2014年12月21日にナレッジクリエーションから KCトーカー ダウンロード版 が発売されました。
さかのぼると2013年7月から2014年2月まで「NVDAに関する事業の立ち上げ」というテーマで「広島県パッケージ型創業支援業務」(Let’s Begin at SO@R) という制度のご支援をいただきました。
その期間に着手した仕事が、やっとひとつ製品になった、ということを、この場を借りてご報告したいと思います。
2015年2月7日には NVDA ミートアップ東京 2015.1 というイベントを計画しています。
私が NVDA のために使える時間はこれから減っていくと思われるので、とにかく日本のNVDAコミュニティの後継者を育成しなくてはならない、という焦りがあり、この問題を日本語チーム役員会に共有していただいています。
東京でばかり活動したいわけでもないのですが、日本のどこかでイベントをやるとしたら、全国から人が集まりやすい場所はどうしても東京になる、という理屈は、やむを得ないものと考えています。
アンカンファレンスという形式に私が慣れてきたら、広島でも検討したいと思っています。
まだまだ、終わるべき仕事が終わっていなかったり、しなくてはいけないご連絡やご挨拶が滞っていたり、という状況です。
「よいお年を」と書いてすっきり締めくくれない気持ちなのですが、とにかく、お世話になった方々への感謝の気持ちを込めて、2014年最後のブログ更新とさせていただきます。
ありがとうございました。 -
ゆるい広島 Advent Calendar 2014 14日目
この記事は ゆるい広島 Advent Calendar 2014 の14日目の記事です。
広島市は 3B の街 = Bus, Branch, Bar(あるいは Bridge という説も)なんだそうです。
例えば 「広島観光ナビ」 Q111 にそう書かれています。
(そういえば bus, branch, bar, bridge って、どれもソフトウェア開発に出てくる用語ですね。。)
「広島の路線バス」と言えば、最近こんなことになったそうです:
広島都市圏のバスに路線番号を導入します
路線番号「10」みたいにハイフンがついてないのが「起点行き」で、「10-1」みたいにハイフンが入るのが「終点行き」なのだそうです。
もうひとつ、こちらは広島県のページ:
「ケータイ スマホで カンタン!便利に! らくらく乗換検索!」
大手コンテンツプロバイダに登録されているバス停数のランキングで「広島県は全国第4位」だそうです。
そんな路線バスですが、クルマに乗る人もやはり多い広島という場所では、人によってはまるで縁のない存在かも知れません。
さて、私は広島で視覚障害者の ICT (情報通信技術)ボランティア活動をする VIC という団体に参加しているのですが、先日この団体の忘年会で隣の席に座られたご年配のかたから、こんなお話を伺いました。
自分は白杖ユーザーだが、広島市内ならどこでも自信を持って一人で歩ける。
何十年も前に広島に引っ越してきたときに、一人で自由に歩けるようになるために、市内を走るバス路線に片っ端から乗って、歩く練習をした。
始発からバスに乗って、どんなバス停があり、どのように道を進んだり曲がったりしたかを覚えておく。
そして終点で降りて、バスで通った道を思い出しながら、自分で歩いて戻ってくる。
そんな練習を繰り返したのだと。。。
視覚障害者生活指導員(歩行指導員、歩行訓練士)といった専門家がこういう指導をするのかどうか、私はよく知りませんが、「バスで終点まで行って、歩いて引き返すメソッド」は、晴眼者である私も、出張や旅行のときに使います。
慣れない街で駅前のビジネスホテルに宿泊して、仕事の会場である郊外の大学キャンパスや施設に2日とか3日とか通うときがあります。
初日の朝は案内に従って路線バスで会場に行き、そのときに道のわかりやすさや距離を確認します。
そして、その日の帰りと次の日を、同じようにバスで移動するか徒歩にするかを判断する、といった具合です。
しかし視覚障害者が知らない街を一人で歩くための訓練だと聞いて、この「バスで行って歩いて帰る」メソッドは、もうちょっと深い「なにか」だと思い始めました。
「知らない場所で路線バスに乗って始発から終点まで行ってみる」というのは、言い換えれば「ツールに頼る」ということです。
この片道の経験で終わりにしてもいい場合もあります。
観光地でタクシーや観覧バスに乗って、見たいものが見られて満足、というパターンですね。
しかし「何かを深く理解したい」「何かを自力でやってみたい」のなら、ここが出発点です。
「ツールに頼ってたどり着いたゴール」を「手作業で追体験」したいわけです。
すでにバスの車窓から見える景色を把握していたり、もし景色が見えないとしても「次のバス停の名前」を順番に聞きながら、バスの右折や左折や直進を体で感じながら、周囲の交通量を音で聞きながら、一通りの経験ができている。
そのことが「自分の足で同じ道をたどるための心の準備」だと思います。
パソコンやスマートフォンの選び方、プログラミング、クラウドサービス、バージョン管理ツール、いろいろな知識や経験、勉強について「バスに乗ること」と「歩いて帰ること」が何に当てはまるか、考えてみると面白そうですが、それは別の機会に書こうと思います。
そもそも大事なことは「何の目的もなく、路線バスで終点まで行って歩いて帰れるような日を作ること」なのでしょう。
直接的には「ハンズオン形式の勉強会」になるでしょうが、勉強会のインターネット配信の録画を見たりするのも「片道のバス」に近い経験なのかも知れませんね。。
また広島の勉強会コミュニティに遊びに行ったり「すごい広島」に参加したときには、よろしくお願いします。