投稿者: nishimotz

  • スクリーンリーダーはどうやってライブリージョンを読み上げるのか?

    いま話題の ChatGPT に質問したらこういう答えが返ってきました。

    スクリーンリーダーは、画面上に表示されている文字列や画像を解析し、それらを音声として読み上げることができます。また、ライブリージョンと呼ばれる特定のタグや属性を持つ要素を検索し、優先的に読み上げることも可能です。これにより、スクリーンリーダーは目的のコンテンツを効率的かつ正確に読み上げることができます。

    なるほど。。今年はアドベントカレンダーの記事を Qiita に書きました。私が書いてみた解説をそちらでどうぞ。

  • オープンセミナー2022@広島

    オープンセミナー2022@広島

    はじめに

    2022年6月25日 オープンセミナー2022@広島「Re: エンジニアのための統計・データ分析入門」の開催に多大なご協力をたまわり、誠にありがとうございました。

    会場を後から写した写真。参加者が座っていて、会場の一番前がスクリーンや登壇者。

    当日は会場参加者 53名(関係者を含む)、オンライン参加者 約100人でした。(オンライン枠の事前申込者に加えて、一般で申し込みをされて当日 YouTube 参加に切り替えた方もいらっしゃいました。また当日は SNS でも YouTube URL を告知しました。これらを踏まえて YouTube の記録から上記のようにオンライン参加者数を推測しています)

    参加者・関係者から新型コロナウイルス感染の報告はありませんでした。

    本イベントが無事に終了したことを宣言させていただき、実行委員長だった立場で振り返ります。

    ミルクボーイ的説明

    開催数日前に OSH Slack にこんな投稿をしました:

    「うちのオカンが好きなIT勉強会の名前を忘れた言うててね」
    「特徴おしえて」
    「広島で2番目に大きな規模の勉強会らしいわ」
    「それオープンセミナー広島。その特徴はオープンセミナー広島に間違いない」
    「でもオカンが言うには、毎年2月に開催されるらしいわ」
    「ほなオープンセミナー広島ちゃうなあ」

    「他の特徴おしえて」
    「広島の技術者コミュニティがボランティアで運営してるらしいわ」
    「その特徴はオープンセミナー広島」
    「でもオカンが言うにはオンラインで配信したことがないらしい」
    「ほなオープンセミナー広島ちゃうなあ」

    「他の特徴おしえて」
    「実行委員長がこだわりのテーマで一日のシングルトラックを企画するらしいわ」
    「その特徴はオープンセミナー広島」
    「でもオカンが言うには、懇親会LTが盛り上がるらしい」
    「ほなオープンセミナー広島ちゃうなあ」

    「んでオトンが言うにはな」「オトン?」「フラワーフェスティバルちゃうか」

    経緯

    • オープンセミナーは2003年より中四国地域で開催されているIT技術者向けの非営利の無料セミナー。広島地域では、企画と運営は技術系ユーザコミュニティのボランティアによって行われている。
    • オープンセミナー2020@広島 (OSH2020) を2020年2月に開催。このとき、自分は副委員長(次期実行委員長)だった。新型コロナウイルス感染症の第一波の直前に駆け込み開催。
    • 2020年夏から2021年夏にかけて、何度か次回について話し合う。オンライン化せず、オフラインで開催できるまで待つという話になる。
    • 2021年9月のオープンソースカンファレンス@広島でライトニングトーク。
    • 2021年10月 すごい広島 with OSH 2021.10 をオンラインのアンカンファレンスとして開催。 OSH の歴史を振り返って、データベースの技術コミュニティがルーツであることなどを紹介。
    • 2021年12月 OSH Talks 2021.12 をオンライン開催。
    • 2022年1月から3月にかけて、企画と日程と会場を固める。
    • 2022年4月、広島県さん(ひろしまQuest)との話し合いを始める。
    • 2022年4月「すごい広島 with Python」コラボ企画 第1回。斎藤友樹さんの登壇を発表。
    • 2022年5月「すごい広島 with Python」コラボ企画 第2回
    • 2022年6月25日 オープンセミナー2022@広島 開催。いま振り返ると第七波の前の駆け込み開催だった。当日行ったコロナ対策は connpass イベントの「参加方法(会場参加)」の項目に記載。
    • 2022年6月29日 コラボ企画 第3回が「すごい広島 with Python[63] x「ひろしまQuest」スタートダッシュ」としてハイブリッド開催
    • 2022年7月6日、13日、20日「すごい広島」もくもく会を「ひろしまQuest」スタートダッシュ コラボとする
    • 2022年7月27日 コラボ企画 第4回 すごい広島 with Python[64] x「ひろしまQuest」スタートダッシュ 報告会(コロナ感染拡大でオンラインに切り替え)
    • 7月29日、実行委員会としての2022の作業を終了

    アーカイブ

    司会や配信は実行委員の皆さんが本当に頑張ってくださって、協賛企業のご支援もあって、こうして録画を残すことができました。

    YouTube のチャンネル登録をお願いします!

    まず着地点を決めた話

    まず、あまり余裕のないタイミングでお願いをして、登壇を快くお引き受けいただいた斎藤友樹さんに感謝しています。ご自身の note に下記を書いてくださっています。

    飲み物の準備ができず申し訳ありませんでした。

    気づいた人はアンケートで指摘しておられますが、このイベントは、本当はもっと「統計とデータ分析の入門者向けの講義」みたいな企画案でした。

    ですが、どんな人にどんなトークをお願いしても、1日でそういう内容をゼロから学んでいただくのは無理だ、となり、計画は行き詰りました。そういう勉強は例えば後述する「ひろしま Quest」でできる。。

    エンジニア向けのイベントとして幅広く役立つ知見、全体を見通せる内容、一日の学びの最後にたどり着くべき「着地点」を探しました。そんなときに出会ったのがこの本でした:

    手に取って最初の感想は「単著でこの本が書けるのはすごい」でした。

    ページをめくって、なるほどデータ分析基盤は「統計」「データ分析」「機械学習」などの分野の「全体を見通せる」テーマだと気づかされました。

    この本が「データを活用する」という目的にフォーカスしていて、「人の問題」につながっていくのも、いろいろな立場の聞き手に届くお話になると期待できました。

    ベンダーのクラウドサービスやプロダクトではなく、オープンソースソフトウェアを起点に、幅広く手法やツールの名前が紹介されているのも、「用語を追うだけで右往左往」した自分の経験から、ありがたい技術書だなと感じました。

    データ分析、あとで触れる「データサイエンスをやってみましょう」の話と同じくらい、「データを整える」「データを扱うチームを整える」が大事だ、ということには、とても勇気づけられます。

    斎藤さんには広島に来ていただいたのですが、念のために、数日前にリハーサルを録画していただき、事前に共有をお願いしました。結果的に、会場でライブでお話をしていただけてよかったです。

    ご家族のご事情だったことは上記を読んでわかりましたが、今回、本当に直前にいらっしゃって、終了後すぐにお帰りになったので、会場でしかご一緒していません。またどこかでお会いできることを楽しみにしております。

    行動を促す話

    以前から「ひろしま Quest」は知っていたのですが、データ分析コンペの勉強会があって、eラーニングが無償で提供されていて、という具体的な話は、参加者として申し込みをしてみるまで分かりませんでした。

    どうやら大学の先生方が学生さんに参加を勧めたりしていて、若い世代の人には知られてきているようでした。もったいないので「広島の Python コミュニティ」がもっと活用したらいいのではないか、という素朴なアイディアで、今回のイベントの「もう一つの目玉」に決めました。

    さらに「データ分析コンペを活用した人たち」を私のまわりで見つけて、合わせて登壇をお願いしました。私自身が「ピンとこなかった」経験があるので、そういう人は多いのだろう、と想像したからです。

    けっきょく OSH 2022 参加者から「広島県がやっていたことを初めて知った」とか「自分も登録してやってみたい」といったリアクションを多数いただき、6月29日のコラボ企画ではオンラインと会場を合わせて40人くらいの人が集まり「ひろしま Quest がんばります」と言ってくださいました。

    1か月後、報告会に参加してくださった人はそれほど多くはなく、「ここまでやりました」とアピールしてくださる人も多くはなかったので、それはまた次の仕掛けが必要なのだな、と私たちと広島県の担当者さんで振り返って感じました。

    私が大学にいたときには、研究生活そのものが機械学習コンペのようだったし、コンペが音声認識や画像認識などの進歩に寄与した、という歴史も頭の中にはあります。こうやって他の人にお勧めしながら、私も腕が鈍らないように、日々の鍛錬を続けます。

    盛り上がってるように見せる話

    着地点やねらいを絞ったので、あとは私が選んだ登壇者とスポンサードセッションを合わせて1日分のボリュームに整えればいいのですが、ギリギリまで見通せないところがあったりして、「偶然」うまく収まった、というのが結果です。

    いや、スライドの進捗を見せてくださいね、と声をかけて、いろいろ内容をチューニングしていただいたか。。登壇者の皆様に感謝です。。

    本当に会場でリアル開催できるのか、これもずっと見通せなかったので、広島で、私がいつもお世話になっている人、以前お話をお聞きしたことがある人、「すごい広島 with Python」に参加してくださっている人、など、私は「楽をして」登壇者とお願いする話題を決めました。

    会計の立場からは懇親会もしなかったし、旅費もあまり使わなかったね、ということになりますが。。

    裏の狙いとしては、広島からオンラインで配信するのだから、広島に縁のあるエンジニアの皆様を全国にご紹介したかった、です。

    有名な方々のすごいお話を、広島にいながら聞くチャンスもいまやたくさんありますからね。。

    後日「なんか広島の Python コミュニティが頑張っていて、それがオープンセミナー広島でも可視化されてた」みたいなことを言ってくれた人がいましたが、「コツコツ続ける」に尽きますね。。

    斎藤友樹さんを着地点に決めたので、「一日でこの分野のことが全部学べる入門」にはならないけど、予備知識がない人が最初から順番に話を聞いて、ちょっとずつ技術や問題設定になじんでいって、「データ文化」を論じる前提が身についた状態で最後のお話を聞いていただく、という計画でした。そうでないと「データ分析基盤入門」は、データ分析の分野の入門者には早すぎる。。

    録画からは外してますが、私はクロージングで「放送作家の種明かしタイム」「伏線の回収」という言い方で振り返りました。「うまくいって私自身が本当に喜んでいます」と本心から皆様に感謝しました。

    これから

    こういう技術や知見が、この先どのくらい通用するのか、流行るのか、重要だと言われ続けるのか、よくわからないのですが、エンジニアが日々学び続ける、あるいはリスキリングをしていく、ホットな対象の一つだったと思います。

    例えば、NVDA日本語チームについての前回のブログで、私はユーザー数の統計の分析について書きましたが、実は「分析ができるなら予測モデルが作れるはずだ」というのは、こんな話にも、例外なくあてはまる。そういう視点は、私も今回のようなことをやっていて気づきました。

    NVDA日本語版のユーザー数の予測になんの意味があるのかはわからないし、説明変数をちゃんとデータとして残せているかは怪しいですね。。

    でも「予測できる」ということは、「日本のNVDAユーザー」という漠然としたものを「手中に収めた」ような不思議な感覚があります。

    もっと別の例で、私がよく紹介する「うちの犬が吠えた回数」のデータだと、これはある視点で「愛犬のシミュレーター」あるいは「デジタルツイン」を作ったと言えるのでは。。

    そんなこんなで、楽しんだり役に立ったりしそうな何かを、頑張って続けていきたいと思っています。

    一方で、オープンセミナー広島の次回も気になりますよね。来年できるのか、2年後になるのか、コロナ対策はいつまで続くのか。。

    これから次の実行委員長と実行委員の皆さんが準備を進めていくのを「無理はするな」「過去にとらわれるな」と思いながら支えていくつもりです。

  • NVDA日本語チームの10年とこれから

    はじめに

    2022年7月に NVDA 日本語チームの代表が西本から辻 勝利さんに交代しました。

    このような発表をしたためか、ご無沙汰していた方からご連絡をいただいたり、お世話になっている方にご報告したり、ということを繰り返しました。その結果、ここにちゃんと書いておこう、という気持ちになりました。

    7月21日に terapyon channnel podcast #62 に出演して2時間くらい喋らせていただきました。お時間があればどうぞ。

    2022年3月のオンラインイベントでも NVDA 日本語チームを作ったころの話をしました。こちらは新代表の辻さんと一緒に喋っています。

    NVDA日本語チーム・ラジオも毎月配信しており、次回は8月11日夜の予定です。

    以下では、これらのポッドキャストや録画の内容と重複しますが、私の立場で補足したいと思います。

    次のバージョンのNVDA

    現在は私がいままでどおり本家版 2022.3 の翻訳作業をしています。

    NVDA 2022.3jp については、まずは開発者ドキュメントの翻訳をしながらソースコードを調査して、それから日本語ベータ版に取りかかるつもりです(本家版は 2022.3beta1 が公開されました)。

    2022年10月に変わること

    西本がNVDA日本語チーム役員会に残るのは2022年9月までという提案が承認されました。2022年10月からは私が意志決定の場から外れて、またすこし新しいNVDA日本語チームが始まります。

    西本が10年間に抱えこんだ作業、作ったアカウント、運用しているサービスなどは、引き継ぎを前提に、いま整理をしています。重要なことから順番に進めます。

    作業を引き受ける気持ちはあるので、新しいNVDA日本語チームに「西本にこれをやってもらいたい」という内容を決めてもらって、やれることをやります。

    新しいNVDA日本語チームが「もっといろいろな人に協力してもらおう」と取り組むことも大事だと思います。

    なぜ交代したのか

    以下の理由です:

    • 自分が10年続けたことは、みんなに変化を受け入れてもらう理由になると考えた
    • NVDA日本語版の開発と普及は順調に行えており、交代してくれる人がいらっしゃるので、体制を変えるのは今がチャンスだと考えた
    • 自分が疎かにしてきたことをちゃんとやる時間を取り戻したい

    達成できたこと

    • 2012年ごろ、NVDAの東アジア言語対応が始まったときに、グローバルなNVDAのコミュニティと日本のユーザーの交流を開始した
    • 2013年ごろから現在まで、実用的な品質と機能を持つNVDA日本語版を、ほとんど遅れることなく、リリースしてきた
    • 2021年のJBICTの調査によると、日本の視覚障害者の56パーセントが「NVDAを使うことがある」と回答し、また14パーセントが「主にNVDAを使う」と回答している。シェアがまったくなかった状態から、10年でこの状況を実現できた
    • 日本でWebアクセシビリティに関わる人が NVDA を検証ツールとして使用してくださる状況となった
    • NVDA日本語チームに多くの個人や団体から寄付をいただける状況となった

    分析

    2014年以降、現在まで、NVDA日本語版の更新サーバーのアクセス数の推移を見てきました。1週間ごとの値を7で割って1日平均のユーザー数としてグラフ化しています。

    2020年以降、700を超えることはあるが、800を超えることがないまま、横ばい、あるいは減少に向かいつつあります。

    NVDAのユーザー数を増やしたい、という目標は、現状のままでは達成は難しいと思われます。

    このグラフには、Windows バージョンごとのユーザー数の変化も重ねて描かれています。

    2015年後半以降、Windows 10 ユーザーの増加はすべての NVDA ユーザーの増加と非常に似た形のカーブになっており、Windows 10 と NVDA がセットで普及してきたと推測しています。

    Windows 7 のユーザー数を Windows 10 が超えたのが2017年前半でした。Windows 8 (8.1) のユーザー数は Windows 7 を超えることがないまま現在に至っています。2021年からは、ほとんどのユーザーが Windows 10 または 11 で NVDA を使っています。

    これから

    NVDAではなく私の「これから」をすこし書きます。

    株式会社シュアルタは NVDA に関連する開発や技術支援などを行っています。しばらく、この分野でやり残したことをやっていきます。

    これからも NVDA にこだわらずに、書いたり作ったり集ったりしていくつもりです。やらなければという緊張感があります。

    ポッドキャストで寺田さんから「お仕事募集中ですか?」と聞かれて「アウトプット模索中です」という返事をしました。わかりにくかったですね。。

    インプットは始めています。

    最近、情報セキュリティマネジメント試験を受験して、先日の発表で合格を確認したところです。

    セキュリティに配慮した情報システム運用を目指している組織でスクリーンリーダー利用者がどのような問題に直面するだろうか、どうすればいいだろうか、と思いを巡らせていました。

    先日のブログ記事で紹介した行動療法やデータ分析やペットの話も、近いうちに続きを書きます。