投稿者: nishimotz

  • 参加型授業を目指して

    9月末から半年間、東京女子大学で非常勤講師をしています。4年ぶりに機会を与えていただきました。
    情報福祉とコミュニケーションをテーマに、視覚障害、聴覚障害のある方々を支援する技術や現場の実情をお話ししつつ、私が東京女子大学の先生方や学生さんと続けてきた研究(音声による視覚障害者の支援技術)も紹介しています。
    そして問題の本質に迫るために「ヒューマンインタフェースの原則」を考える必要があることを、少しずつ伝えていきたいと考えています。
    (さらに…)

  • NVDAjp 2010.2に向けて

    NVDAjp 2010.2に向けて開発メンバーは作業を進めています。
    ここでは私の作業状況を簡単にお知らせします。
    2010.2 ベースの JTalk の話速を速くする実装の目処は立っており、 bazaar のレポジトリ
    lp:~nishimotz/nvdajp/with_jtalk
    rev.3531 として launchpad.net に置いてあります。
    ただし、このレポジトリには zjtalk.py と jtalk.py の2つのエンジンがあり、(内部の実装はどちらも _jtalk.py です)zjtalk のほうは音声設定で話速のスライダーが出てきます。
    jtalk.py のほうは話速設定がうまくできません。話速設定のために supportedSettings をいじると espeak が起動時エラーで落ちます。
    なぜ espeak に影響が及ぶのかいまだに不明なのですが、zjtalk.py にリネームしたら解決したので、クラスを読み込んで初期化する順序に依存する問題と思われます。この現象は silence.py で試しても同じでした。
    それから NVDAjp そのものではないのですが、10月の開発ミーティングの後の交流会の議論を踏まえて
    「読み上げの改良のための情報を集めるサイト」
    を試作しました。
    Python でなく Ruby on Rails で作ってますが(笑)
    こちらについても時間ができたら改良に取り組みたいので、御意見を伺えれば幸いです。
    追記(11月15日)
    10月30日に 2010.2j がリリースされています。
    話速設定については将来のバージョンで追加される予定です。

  • NVDA jpdev100909

    やっと NVDA に音声合成エンジンが搭載され、開発版としてリリースされました!!
    今日と明日はオープンソースカンファレンスというイベントでデモをしています。私は明日参加して、夕方のライトニングトークに出ます。
    メーリングリストでさっそく動作報告、御要望などいただいています。1週間前にやっと最低限の動作をするようになったエンジンが、皆様のマシンで動いているとお知らせいただき、大変嬉しく思っています。
    読み上げが始まるまでの遅延や、速度などの設定変更がない、という問題は私も承知しています。すこし時間をいただければ幸いです。
    音声エンジン以外の機能との役割分担を整理する必要がある部分は、開発メンバーで話し合って検討したいと思います。
    この機会に、特に、音声エンジンに関する作業方針について、私自身の考えをお伝えしておきます。
    私自身はアクセシビリティや音声技術の研究を本業としております。今回組み込んだエンジンはもともと Open JTalk(New BSDライセンス)というもので、音声技術に関するプロジェクトでご一緒してきた研究グループの最新成果(GalateaTalkの関連技術)です。私は本家のメンバーと連絡を取りながら今回の作業を進めています。ちなみに現在使っている声はその研究室の卒業生の方の音声とのことです。
    限られた作業時間の中で、商用ソフトウェアのように多くの御要望にお応えすることは難しいかも知れません。しかし、いただいた御要望、不具合報告、御提案をきちんとデータベース化して、なるべく対応したいと思っています。
    音声エンジンについては、何か読みのおかしいところを場当たり的に修正すると、これまで正しく読めていた部分に悪影響が及ぶ、ということがあります。テストの手順をまとめて環境を整備することは重要です。
    矛盾が起こらないように時間をかけて慎重に作業させていただく場合もあります。「簡単なことが、なぜすぐに直せないのか」とお思いのことも
    あるかも知れませんが、もし疑問があればご説明しますので、御了承いただければ幸いです。
    私からなにか NVDA に関する改良の提案をさせていただき、ユーザの皆様にご評価いただき、私の研究に御協力いただく、といったお願いをすることがあるかも知れません。もちろん、その場合は事前にお許しを得たいと思います。
    それから、デイジー書籍の作成支援ツールに使える音声合成が欲しい、という問い合わせも、私個人に対していただいています。今年の春にスタートしたサピエというシステムの立ち上げを、私もすこしだけお手伝いしています。JTalk エンジンを NVDA で鍛えていただいて、いずれデイジーでも活用していただけるように、と考えております。

    • 2010-09-11: OSC参加は無事に終了しました。なお、Open JTalk に関する記述を一部訂正しました。