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nishimotzの日記

  • YAPC初登壇、初スポンサー

    YAPC::Hiroshima 2024 中の人としてのブログ2本目です。

    スライド

    What You Like May Not Be for Someone オープンソースとアクセシビリティ

    YAPC::Hiroshima 2024
    2024/02/10 10:30〜
    bitRiver/カナル・ウェブ会場(コスモス)
    トーク (20分)

    「障害者差別解消法とウェブアクセシビリティ」のこと
    「WAI-ARIAを使え」「HTML標準を素直に使えばアクセシブル」どっちも正しくなくて「支援技術で実際に確認してください」だけを言い続ける人になります
    日本のウェブアクセシビリティの実装に必要な情報の整備──ウェブアクセシビリティ基盤委員会作業部会2
    みたいなことを話しました

    AIにイラストを書かせたらPPTXファイルが重くなりすぎて、PDFでプレゼンしましたが、それをDocswellでうまくテキスト抽出できず、あまりアクセシブルになっていないことをお詫びします。

    ウェブアクセシビリティ実装入門

    今回のトークのリハーサル的に1月末に喋ったスライドです。テキスト抽出が比較的マトモなので、合わせて紹介しておきます。

    NVDAチートシート

    株式会社シュアルタがご当地スポンサーとして配布できるものが、すぐに増刷できる「NVDAチートシート」だったので、これを紹介する内容としました。

    過去の経緯は アクセシビリティの祭典 2018 と NVDA チートシート に書きましたが、実はこのチートシートそのものをちゃんと説明した執筆や登壇をしたことがありません。いずれやろうと思っていることの「頭出し」をさせていただきました。

    合理的配慮と環境の整備

    多くの誤解があり、正しいことを伝えようとしている人が増えている中で、私もまた、ウェブアクセシビリティが何にあたるのか、本当に義務化されるのは何なのか、エンジニアの人に向けたメッセージを伝えようとしました。

    情報処理試験の特別措置が合理的配慮で行われている、いう根拠はありません。私が個人的な見解として紹介しました。

    質疑応答ふりかえり

    Q: アクセシブルなサイトの事例は?

    A: たとえば aaa1y.com が参考になります。

    Q: 他のプラットフォームでNVDAを動かせるか?

    A: Windows 専用です。Linux には ORCA があり、日本語対応が進んでいません。ですが Python でスクリーンリーダーを実装した事例であり、NVDA のヒントになったとされています。

    Q: どういうプロダクトにアクセシビリティ確保の必然性があるか?

    A: チームで仕事をする手段としてプロダクトを選ぶときに、ひとりでも使えない人がいるとチーム全体がそれを選べない、といった判断があり得ます。そういう思いでいくつかの会社がプロダクトのアクセシビリティ確保に取り組んでいます。

    つけくわえると、助かるのは将来の自分かもしれない、みたいなことは、よく出る話です。技術やノウハウをオープンソースにしたり登壇やブログで公開すると、転職や事業譲渡などで失われるリスクが減る。そういう話と似ていて、自分がアクセシビリティ確保をしていたから、将来の(なんらかの困難を抱えることになった)自分が助かる、みたいなことがありますよね。きっと。。。

    シュアルタのこれから

    株式会社シュアルタとして配布したNVDAチートシートが、何かのきっかけになると嬉しいです。

    ウェブアクセシビリティ基盤委員会の会員組織として、NVDA日本語チームの裏方として、またNVDA日本語版にコード署名を提供し、NVDAを組織でお使いになる場合の(セキュリティを含めた)技術支援者として。

    さらには、アクセシビリティチェックの教育コンテンツ作成、ウェブアクセシビリティそのもののコンサルティング、など、これから頑張っていくつもりです。

    この分野での登壇が今年も何度かありそうです。またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。よろしくお願いします。

  • YAPC初参加、初運営

    やってもやっても果てしなくやることがあって、終わらないと思っていたのですが、前々日になり、前日になり、当日になり、アフターイベントがあり、YAPC::Hiroshima 2024 が終わりました。

    公式発表で参加者が448人とのことで、広島でこの規模のITエンジニアのお祭りを、無事に開催できたことをあらためて嬉しく思います。

    広島の組織、企業、エンジニア、学生の皆さんに届けようと必死でしたが、実は私自身が初参加でした。こんなイベントになるに違いない、と信じて伝えてきましたが、ふりかえると「エンジニアであれば誰でも楽しめるお祭り」でした。

    広島にPerlコミュニティがないのにどうして開催できたのか、とアフターイベントでも質問があったので、私の立場で書いてみます。

    広島開催の立役者 chanyou0311 さんと出会ったのは、私が PyCon mini Hiroshima を立ち上げて、同時にそれを PyCon JP でアピールしはじめたころでした。

    以来、広島と東京のイベントでご一緒したり、参加していただいたり、オープンセミナー2022@広島では登壇していただいたりしました。

    YAPC::Kyoto 2023 で「次は広島?」という話が出て、中の人がちゃんゆーさんだとわかり、私に声がかかって巻き込まれることになりました。

    私は「巻き込まれ力の高い人」だと言われたことがあり、今回も見事にそうなりました。YAPCはいままでノーチェック。ライトニングトークの発祥の場らしい、と知りましたが、現在のこのイベントの魅力は、記録やクチコミから判断するしかありません。

    とにかく広島にすごいものがやってくる、地元の人に気づかれずに終わってしまうのはもったいない、ぜひ「オール広島で歓迎」したい、と思いました。

    広島チームのもうひとりのキーパーソン mu2in さんとは、現在は「すごい広島 IT 初心者の会」という(最初はテーマがPythonだったのですが)月末水曜日の勉強会を共同で開催しています。ちなみに次回は2月28日、ハイブリッド開催です。

    長年のコアチームの皆様と、広島現地組は、打ち合わせを重ねながら、すこしずつ「仲間」になれてきたと感じます。不採用になった候補地も含めて、下見にきていただいてご一緒したり、リモート会議でエンドレスな話し合いを重ねたり、よい思い出です。

    準備の初期段階で「そんなキャパの会場では開催できない」という指摘があり、「いやいや、そんな大規模になるわけがない」と疑いながらも、広島観光コンベンションビューローさんを頼る提案をしました。私は RubyKaigi 2017 運営メンバーだったご縁で、この組織とつながりがあり、あっという間に400人が集まれる本編と懇親会の会場が決まりました(その時点でもう他に選択肢がない、という状況でもありました)。

    以来、広島国際会議場と広島市文化交流会館のご担当の方々とは、当日まで、本当に膨大で細かいやりとりをしました。前夜祭の飲食は広島国際会議場1階のバッケンモーツアルトカフェさんにお任せしました。Sさん、Yさん、Mさん、Uさん、Sさん、ご丁寧に御対応いただいて感謝しております。

    一方で、広島でYAPCを盛り上げる、ということについては、私は「どぶ板営業」しかないと覚悟し、実践を続けました。

    そんなもの役立つのかと言われながらもハガキサイズのチラシを作り、地元のウェブ系の勉強会で配布したり、コワーキングスペースなどに配布を依頼しました。実はチラシ配布をお願いできる方々は、スポンサー企業を紹介してもらえたり、学生さんと接点のある方々であることも多く、そういう意味で、地道にイベントの周知に繋げられた可能性もあります。

    私がLTなどでYAPCを紹介するときは Perl をわざわざ伏せ字にして、●●●●が何であれ、みなさんが誰でも楽しめるすごいお祭りです、という紹介をしていました。まあ裏切られたと思った人はいないはず。。

    広島の勉強会コミュニティの中心メンバーは「オープンセミナー」という中四国地方のゆるやかな勉強会ネットワークに関わっており、オープンセミナー2022@岡山でオンライン登壇された とほほ さんのことも話題になりました。そのときは「広島のイベントでご紹介できればよかったのに」という思いもありました。今回「リアル登壇としては初めて」のお願いを広島で実現できたことを嬉しく思います。ここまで喜んでもらえたとは。。

    前夜祭LTの直後に、面識のなかった若い人に、インターンしている会社から紹介されてきました。(西本がLTで紹介した)「すごい広島IT初心者の会」に興味があります、と声を掛けられました。

    前夜祭、本編、懇親会の間、「以前は広島の勉強会コミュニティで顔を合わせていた方々」と久しぶりのご挨拶をすることも多々ありました。

    前夜祭と本編での私の担当は会場、飲食、スポンサーブース、懇親会などで、ほとんどセッション会場に入ることがなく、コンテンツは私もこれからじっくり楽しもうとしているところです。ですが X でずっとタイムラインを追いながら、皆様が楽しまれているようすを楽しんでいました。

    私は最近は地域の町内会の運営なども手伝っており、改めて感じることがあります。

    「お祭りを続けるためのコミュニティ」なのか。

    「コミュニティを続けるためのお祭り」なのか。

    それが、どちらかわからなくなるくらい成功すると、いわゆる「弾み車の法則」が回り始めるのだ、と。

    YAPCという素晴らしいコミュニティと出会えたことに感謝します。

    自分の登壇者、スポンサーとしてのコンテンツについては、別の記事で書きます。

  • 2024年2月

    YAPC::Hiroshima登壇予定

    いよいよ今日が前夜祭、明日が本編です。

    いろいろ忙しかったですが、ついにこの日が来たなあ、という感じです。

    2024/02/10 10:30〜
    bitRiver/カナル・ウェブ会場(コスモス)
    トーク (20分)

    What You Like May Not Be for Someone オープンソースとアクセシビリティ

    いろいろな人から発言が増えてきた「障害者差別解消法とウェブアクセシビリティ」のこと、そして、なぜか「いいね」がたくさんついた

    「WAI-ARIAを使え」「HTML標準を素直に使えばアクセシブル」どっちも正しくなくて「支援技術で実際に確認してください」だけを言い続ける人になります

    あるいは

    日本のウェブアクセシビリティの実装に必要な情報の整備──ウェブアクセシビリティ基盤委員会作業部会2

    みたいなことを話します。

    オルタナティブとa11y

    a11yは「アクセシビリティ」のことです。

    上記のトークのプロポーザルで私は

    オルタナティブな視点や興味がなければ、この分野には足を踏み入れることもなく、継続もしなかったでしょう。そんな自分自身の経験を振り返りつつ、情報アクセシビリティの世界をご紹介します。

    と書いていました。これを書いたころ、私はまだ「オルタナティブとアクセシビリティ」の関わりにこだわっていました。

    簡単に言えば、大多数の人と違うコンピューターの使い方をするのが楽しい、大多数の人が使わない方法でウェブを使ってみると、思いがけない発見がある、みたいなことです。

    ですが、HTMLやWCAGについて丁寧に考え直して最近、私は「オルタナティブよりも大事なこと」 に気づきました。

    なぜ WAI-ARIA には labelledby や describedby といった「相互参照」の機能があるのか。

    なぜ代替テキストの文字数が多いと miChecker は警告をするのか。

    「スクリーンリーダー用の代替コンテンツ」そのものが非推奨だから。

    スクリーンリーダーユーザのために補いたいことがあるなら、それは「すべてのユーザーに読めるように作れ」である。

    「テキストによる代替」が必要なのは「非テキストコンテンツ」だけなんですね。。

    ということで、「試して遊ぶ!」のときには言っていた「オルタナティブ」→「代替テキスト」→「アクセシビリティ」という言葉遊びをやめました。

    明日の登壇の前に、あらかじめ言い訳をしました。

    ARIA-Barriers

    aria-live がうるさい

    12月にデビューしてそれっきりのバンドみたいですが、新作を発表できるべく、メンバー一同頑張っています。

    温かく見守ってください。