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  • NVDA日本語チームの活動のご案内

    オープンソースのスクリーンリーダーNVDA日本語版 2012.3.1jp の公開から1ヶ月半が過ぎ、ダウンロード回数が2100を超えました。
    しかしNVDA日本語版にはまだ開発途上の機能があり、ご意見やご要望がいろいろあろうかと思います。
    NVDA日本語チームの活動と、ユーザーの皆様に開発に参加していただく方法について、ご案内します。
    (1) 日本語チームの概要
    NVDA日本語チームは、2012年7月より、下記の規約のもとで運営しています。
    NVDA日本語チーム 運営規約
    NVDA 日本語チームのメーリングリスト nvdajp-team の参加者を会員として、会員が話し合って物事を決めていく体制です。
    メーリングリスト nvdajp-team の参加方法や過去の発言の公開
    なお、このメーリングリストにはチケットシステムの更新記録も配信されます。
    日本語チームは、月曜日の夜8時30分から定例Skype会議を行っています。
    日本語チームの代表である西本がやむを得ない事情で参加できない場合も、日本語チームのメンバーの交流の時間としてご活用いただいています。
    最近のSkype会議の記録は下記のとおりです:

    私は来週から2週間お休みをいただいて、次回は2月11日に参加します。まだ日本語チームのメンバーでないかたも、お気軽にご参加ください。
    (2) 開発版のテストや翻訳など
    NVDA日本語チームでは、開発スナップショットを作成し、日本語関連機能の改良を進めています。
    2011年の2月から2012年9月にかけて、開発スナップショットを sourceforge.jp からダウンロードできるように公開して、 NVDA 日本語ユーザーのメーリングリストで告知してきました。
    2012年9月のSkype会議の結果、開発スナップショットの公開はやめて、日本語チームのMLに参加しておられるかただけを対象に告知する形式にしました。
    例えば、本家の最近のスナップショットは PowerPoint 対応が完了しており(これは各国の当事者団体からの資金援助で実現されました)、日本語版の開発スナップショットでも PowerPoint 対応のテストが可能です。
    もし日本のPowerPointユーザーから本家の開発にフィードバックすべきことがあれば、日本語チームがお手伝いをさせていただきます。
    また、最近は日本語点訳エンジンについて、なるべく日本語点字の規則に従って処理を行うような改良を進めています。
    仮名づかいや分かち書きの処理の基本ルールにやっと対応できたところで、まだまだやることはたくさんありますが、日本語チームのメンバーにテストをしていただき、仕様を相談しながら進めています。
    この数ヶ月、日本語版の開発と翻訳をほとんど一人でやってきました。
    ドキュメントやアドオンの翻訳など、もっと多くのかたに協力していただきたい作業もあります。
    NVDA 日本語版をもっとよくしたいというかたに、日本語チームへのご参加をご検討いただければ幸いです。
    (3) チケットシステム利用などのご案内
    バグやご要望の報告にはチケットシステムの利用もご検討ください。
    バグ報告は、開発者が状況を再現できるように手順を具体的にお知らせください。
    NVDA日本語版のチケットの新規登録
    (4) 本家版開発への参加
    NVDA本家版の日本語関連の要望や不具合を、本家への要望として英語で報告していただくことも重要です。
    NVDA本家版も昨年の2012.3.1で入力メソッドに対応したのですが、中国語入力のサポートとして行われた実装なので、日本語のための環境としては機能が十分ではありません。
    NVDA日本語チームは、NVDA本家の開発・翻訳の貢献者として、NVDA本家の日本語対応も担当しており、将来は日本語版と同等の機能が本家版で実現されることを目指しています。
    NVDA本家の開発者向け情報(英語)
    (5) 最後に一言
    昨年、NVDA中国語チームが進めてきた資金調達と中国語対応開発の動きを見守って、そして PowerPoint サポートのきっかけになったWBU 総会でのタイのモンティアン上院議員のリーダーシップを見てきました。
    「自分たちがお金を出して自分たちのソフトウェアとして育てる」いわゆる「オーナーシップ」の気持ちが NVDA の開発を後押し始めています。
    この世界の状況を、もっと日本のユーザーに知ってもらい、日本語チームの活動を、もっとよい方向に変えてもらいたい、と思っています。
    だから、「NVDAは自分の所有物ではない」と思っている私の、権限や仕事を減らしていただける提案は、私は歓迎します。

  • おいしい広島 Advent Calendar 2012 (12月3日)

    おいしい広島 Advent Calendar 2012の3日目を担当させていただきます。@24motz の中の人です、こんにちは。

    広島に関するアツイ思いをつなげていこうぜ。
    ※内容は技術系とか関係なくご自由にどうぞ 例 俺の一番オススメなお好み焼きとか 俺が考えた最強の広島弁ネタとか

    ということで、2011年から活動している「NVDAユーザ会広島」について書きます。

    自己紹介

    広島出身。2011年3月まで東京で大学教員をしていました。広島に転居して、NVDA日本語版(詳しくは後述)の開発を続けながら、技術コンサルティングや受託開発をしていたのですが、2012年10月から特定非営利活動法人 支援技術開発機構の主任研究員として働いてます。明日からまた海外出張なので、今日書かせていただくことにしました。

    NVDAとは

    NVDA (NonVisual Desktop Access) はオープンソース(無料)のスクリーンリーダーです。スクリーンリーダーというのは、視覚に障害があるかたが、キーボード入力、音声合成、点字ディスプレイでコンピューターを操作するための支援技術です。
    NVDA はオーストラリアの開発者2人が中心になって2006年から開発しており、近年、世界でユーザーが増加しています。
    2012年5月のWebAIMの調査では NVDA を”commonly used”と答えた割合が43パーセントに達しています。
    日本でも2008年頃から「NVDA日本語化プロジェクト」が進められ、NVDAの日本語化が行われました。
    しかし、NVDAが標準で使用しているeSpeak音声エンジンが日本語に対応していない、日本語のカナ漢字変換を読み上げできない、日本語の点字出力に対応できない、といった課題がありました。
    これらの開発を行うために私(最初は東京在住)や @hoozukiyama さん(もともと広島県三次市在住)がNVDA日本語化プロジェクトに参加しました。

    NVDAユーザ会広島

    私が2011年春に地元の広島に帰ったので、NVDA日本語版の開発者2人が広島に揃いました。
    NVDAユーザ会広島は、名前はユーザ会ですが、最初は NVDA 本家版のリリースごとに日本語版の開発を行う、開発者の団体でした。
    しかし、いずれはユーザーが集まる場にしたい、と思ったので、あえて「ユーザ会」という名前をつけました。
    ちなみに現在、日本で「NVDAユーザ会」と名乗っている団体は、私の知る限り、広島にしかありません。
    NVDAユーザ会広島は地元のイベント、オープンソースカンファレンス Hiroshima に参加しています。
    NVDAのイメージキャラクター「でめきん」のぬいぐるみは、オープンソースカンファレンスのために作りました。
    また nvda.jp というドメインもNVDAユーザ会広島の活動として取得しました。
    OSC広島2011のブースの様子

    OSC広島2012のブースの様子

    勉強会

    2012年に入ってからは、定期的に例会(勉強会)を行ってきました。
    あいかわらず少人数ですが、アクセシビリティやソフトウェア開発に興味をお持ちのかたが集まったので、Python による自然言語処理(NLTK)の勉強会もしました。本を読みながらソースを打ち込んで実行する、というスタイルで行いました。時間の制約もあり、テキストの全部はカバーできませんでしたが、NVDA の開発に使われているプログラミング言語 Python の実践的な勉強になりました。
    音声合成や点訳エンジンのために機械学習を使おうと考えて、このテーマを選んだのですが、結果的に NVDA とはあまり関係ない勉強会になってしまいました。

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    NVDA日本語チーム

    2012年5月に「NVDA日本語化プロジェクト」は「NVDA日本語チーム」になり、私が代表になりました。
    2012年6月にNVDA日本語版 2012.2.1jp をリリースしました。このバージョンは2012年12月1日までに4420回ダウンロードされました。
    それまでのバージョンでは(ポータブル版とインストーラー版をあわせても)2000回程度であったので、この半年で利用者が大幅に増加したと考えられます。
    たぶん今日中に新しいバージョンの安定版をリリースしますので、よろしければ nvda.jp のサイトをご確認ください。
    現在、NVDAは40以上の言語で使われていますが、ローカライズ版を独自にリリースしているのは日本、香港、韓国などわずかな国しかありません。
    本家版には新しいバージョンがリリースされたら自動的に更新される機能がありますが、この機能は日本語版では無効にしています。
    ローカライズ版に独自に追加してきた機能が、本家版に統合されていくことが理想です。
    NVDA 2012.2 から導入された「アドオン」という機能を使うと、本家版に日本語音声エンジンを追加することが容易になります。
    すでに NVDA 日本語チームは NVDA 本家版用の日本語音声アドオンをリリースしています。
    このアドオンというしくみが、「世界で一つのNVDA」を実現するために、これから重要になってきます。
    NVDA日本語チームという名前は、本家版NVDAの日本語対応と、NVDA日本語版の開発を、同じメンバーで進めていく、という体制を示すために選ばれました。
    NVDA日本語版の開発に全国からユーザーや開発者が参加してくださるようになったため、NVDA日本語チームは毎週の定例Skype会議で議論しながら進めるようになりました。
    NVDA本家版 2012.3 の「東アジア言語の文字入力」には、日本語チームが行ってきた実装が一部利用されました。
    2012年9月にはオーストラリアから NVDA の主要な開発者のお一人である Michael Curran さんを東京に招いてワークショップを開催しました。
    現在は、NVDA本家版 2012.3 でもいちおう日本語の文字入力の読み上げができるようになっています。また、日本語に起因するバグを本家で修正してもらえるように活動しており、例えば「ユーザー名が日本語の特定の文字を含んでいるときにNVDAがインストールできない」問題が解決されました。
    現在のNVDA日本語チームの最大の課題は、日本語点訳エンジンの改良です。一度は機械学習ベースでゼロから作ろうと考えたのですが、現在は liblouis という多言語対応のオープンソース点訳エンジンの調査研究も行なっています。
    日本語だけ独自の技術を開発しても、それがユニバーサルな実装にならなくては結果的に長続きしない、ということが起こるからです。
    音声エンジンについても Open JTalk に基づく独自実装から、多言語音声合成エンジンに発展させていくことが、日本語対応をグローバルに展開する道筋だと思い始めています。海外で話をしてみると HMM 音声合成はあちこちで研究開発されているので、ハードルはそれほど高くないように感じます。

    NVDAユーザ会広島のこれから

    NVDAユーザ会広島という活動を立ち上げた自分が、今はこの広島地域コミュニティをうまく活用できていないのです。ごめんなさい。
    ただ、何か協力できないか、といろいろなかたから声を掛けていただいていることを、本当にありがたく思います。
    関係者が集まったときには NVDA だけではなく iPhone, iPad や Android のスクリーンリーダー、電子書籍の音声読みあげなどについても情報交換しています。
    広島でアクセシビリティとソフトウェア開発に興味がある人が集まって face-to-face で活動できる場として、発展させていければよいと思っています。

    次の人

    明日は @wizard_paso さんです。

  • NVDA に関する海外および日本語チームの状況

    NVDA に関する海外および日本語チームの状況をご報告します。
    11月8日にNVDA本家版 2012.3 が正式にリリースされました。
    その後、いくつかの言語(日本語ではありません)の翻訳の不備が見つかり、現在 NVDA 本家ではまもなくリリースされるバグ修正版の 2012.3.1 と、来年の2月か3月を目標にした 2013.1 の開発が並行して行われています。
    NVDA 日本語チームは、2012.3.1 のリリースを待って 2012.3jp ではなく 2012.3.1jp をリリースすることになりました。
    11月8日から18日にかけて、タイのバンコクで世界盲人連合 WBU の総会が開催され、NVDA 開発者の Michael Curran さん、James Teh さんのおふたりも参加しました。
    私もバンコクでこの会合に参加して、お二人と打ち合わせをしたり、ブース出展を手伝ったりしました。
    アジアやアフリカの多くの国で NVDA が使われ始めており、教育機関での指導がはじまっていることが、よくわかりました。
    11月16日の WBU のディナーイベントの席で、Thailand Association of the Blind (TAB Group) が NVDA の PowerPoint 対応のために
    資金を援助することが突然発表されると、他の国の視覚障害者団体からも、我も我もと資金援助の申し出が発表され、会場は異常な熱気に包まれました。
    Facebook の NV Access ページのコメント
    資金のある国の当事者団体が、開発途上国の当事者を支援する、という、世界の NVDA コミュニティの新しい動きが、決定的になった日でした。
    私はATDOの研究員としての第1回の海外出張を無事に終えましたが、すぐに次の海外出張が控えています。。

    NV Accessのブース展示の様子

    各国からNVDAへの資金援助が発表されたディナーイベントの様子