投稿者: nishimotz

  • NVDA日本語版 2013.3jp 公開

    無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の日本語対応をすすめる NVDA 日本語チーム(代表:西本卓也)は、2013年12月15日に最新の日本語版 NVDA 2013.3jp を公開しました。
    ダウンロード
    NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。
    Windows 8.1/8, 7, Vista, XP の32ビット版および64ビット版に対応しています。
    Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。
    以下は対応しているアプリケーションの一部です:

    • Webブラウザー (Mozilla Firefox を推奨、 Microsoft Internet Explorer, Google Chrome にも対応)
    • Adobe Flash Player によるアクセシブルなコンテンツの操作
    • 電子メールクライアント (Mozilla Thunderbird, Windows Live Mail, Outlook に対応)
    • Microsoft Office アプリケーション Word, Excel, PowerPoint の主要な機能(対応バージョン 2003, 2007, 2010, 2013)
    • LibreOffice (バージョン4.1.4.2で動作確認済、Java Access Bridge 設定が必要)
    • Skype for Windows (バージョン6.11で動作確認済)
    • Apple iTunes for Windows
    • Twitter クライアント Tween
    • 日本語入力システム(Microsoft IME, Microsoft Office IME および ATOK を推奨、Google 日本語入力にも対応)
    • Adobe Reader によるアクセシブルな PDF 文書の読み上げ
    • Adobe Digital Edition によるアクセシブルな EPUB 書籍の読み上げ
    • AMIS によるオーディオ DAISY およびマルチメディア DAISY 書籍の読み上げ

    以下は利用できる点字ディスプレイの一部です:

    • ケージーエス ブレイルメモシリーズ(ブレイルテンダー、ブレイルメモポケットを含む)
    • ケージーエス ブレイルノート 46C/46D/46X
    • HIMS ブレイルセンス・オンハンド(日本語版を含む)
    • 日本テレソフト 清華シリーズ

    オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
    NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
    2013.3 の更新内容は、キーボード設定「すべて読み上げで流し読みを許可」オプションの追加、NVDA制御コマンドのカスタマイズのための入力ジェスチャーダイアログの追加、設定プロファイル切替機能の追加などです。
    NVDA は世界40以上の言語に対応していますが、音声エンジンと点訳エンジンは日本語に対応していません。
    そこで NVDA 日本語チームは、日本語音声エンジンと点訳エンジンを搭載した NVDA 日本語版を独自にリリースしています。
    2012.3.1jp 以前のバージョンから上書きインストールしたときは点字設定の出力テーブルを「日本語6点情報処理点訳」に設定してください。
    以下は 2013.3jp での変更点についてのご案内です。

    1. アップデート通知
      2013.3jp をお使いの場合は 2014.1jp 以降のリリースを自動通知します。この機能を有効にするには、一般設定「更新の自動チェックとNVDAのアップデート」を有効にしてください。過去にNVDA日本語版が使用されていた環境では、このチェックボックスは無効になっています。
    2. 日本語入力
      日本語設定「日本語版の文字入力拡張」がチェックありのときには ATOK 対応やカナ文字の説明に関する改良を行います。
      「入力単語の読み上げ」は無効に、入力メソッド設定「候補リストの自動通知」は無効にしてお使いください。
      キーボード設定「入力文字の読み上げ」が有効でも無効でも日本語入力の変換操作を読み上げるようになりました。
      エスケープキーを押して候補文字列がクリアされるときに「クリア」と通知するようにしました。
      Microsoft IME および ATOK の候補コメントの読み上げに対応しました。(一部のバージョンは非対応)
      ATOK の候補コメントの読み上げの使い方
    3. 音声合成エンジン
      JTalk2 ドライバーを廃止して、JTalk2 で提供していた言語自動切り替え機能を JTalk で利用できるようにしました。
      JTalk mei の声の高さを設定値で10相当低くしました。これまで高さ40にしていた場合は50にすると以前の声の高さになります。
      eSpeak ドライバーに簡易的な日本語の読み上げ処理を追加して、以前のように Chinese Letter Japanese Letter と読み上げないようにしました。
    4. 点字ディスプレイ対応
      文字説明の点字ディスプレイ出力、文字コード説明の16進数出力の最適化などを行いました。
    5. フリーズ対策
      Windows 7 でエクスプローラーやタスクトレイを操作しているときにNVDA がフリーズする現象への対策を行いました。
    6. 寄付のご案内
      NVDA への寄付についてのご案内を、NVDA 日本語チームからのご案内のサイトに変更しました。

     
    詳細はNVDA日本語版の説明をご覧ください。
    NVDA日本語版の不具合やご要望は新規チケット登録またはメールアドレス nvdajp@nvda.jp でお知らせください。
    NVDA日本語チームはNVDA日本語版の開発について公開で議論をしております。
    メールでいただいたご意見は、個人を特定できないように修正して公開させていただくことがあります。
    NVDA 日本語版の情報
    NVDA 日本語チーム活動報告

  • NVDAとAudacity

    昨日の午後2時から4時まで、BLPC FAIR ON THE WEB というインターネット放送に「NVDAにチャレンジ」というテーマで出演しました。
    どうやら200人近い人が聞いてくださったようです。ありがとうございました。
    オープンソースのオーディオ編集ソフト Audacity をすこし実演しました。
    このソフトが無料であり、日本語化されており、かなりアクセシビリティに配慮して作られているからです。
    準備したことをすべて喋れなかったので、私が事前に作ったメモを以下に紹介します。
    参考にしたのは Audacity 2.0.5 を JAWS で使う方法を解説した英語のサイトです。
    JAWS 用の説明がほぼ NVDA でも使えるようです。
    私はいろいろなオーディオ編集ソフトを使ってきたのですが Audacity はほとんど使ったことがなく、複数のトラックを使う作業はまだ勉強中です。
    いずれ丁寧な解説記事を書ければと思います。
    (追記:Audacity は Microsoft のアクセシビリティAPIを素直に実装しているようなので、NVDA 以外のスクリーンリーダーでも使えると思います。NVDA の強みとして紹介したのは「無料・オープンソースのアプリケーションへの対応に積極的であることの一例」とご理解ください。)
    R 録音開始
    「マイクテスト、12345」
    スペース 停止
    Ctrl+A すべて選択
    スペース 再生(停止)
    P 再生のポーズ
    コンマ ちょっと戻す
    ピリオド ちょっと進める
    選択範囲再生中の操作
    大かっこ [ 選択の開始
    大かっこ閉じ ] 選択の終了
    Shift+スペース ループ再生
    Shift+左右 選択範囲を前・後に広げる
    Shift+Ctrl+左右 選択範囲を前・後に狭める
    C 切り取りプレビュー(選択の前後を連続して再生)
    Z 選択範囲をゼロ交差点に合わせる
    Ctrl+X 切り取り
    Ctrl+L 選択範囲を無音にする
    Shift+A 再生・停止と再生位置(カーソル)の移動
    Home 再生位置を先頭に移動
    NVDA+L で「トラック1」と通知
    Shift+M (アプリキー/Shift+F10) コンテクストメニュー
    「名前」でトラックに名前を付ける
    NVDA+L で名前を読み上げるようになる
    Shift+J 選択範囲をトラック先頭からに広げる
    Shift+K 選択範囲をトラック最後までに広げる
    J カーソルを選択中トラックの先頭に
    K カーソルを選択中トラックの最後に
    再生していないとき
    大かっこ [ 選択範囲の開始を数字で入力
    大かっこ閉じ ] 選択範囲の終了を数字で入力
    Ctrl+F6 でツールドックに移動(選択バー、トラック、ツールバーの移動)
    Tab でツールドックの中を移動
    Ctrl+Shift+F6 でトラックビューに戻る
    Shift+R 追加して録音
    Alt T V トラック削除

  • タッチ操作での NVDA の利用

    NVDA 日本語版 のタブレットパソコンでの利用についてお問い合わせをいただいたので、メーリングリストでお答えしたことを紹介します。
    タブレットPCへの対応について、私自身は Windows 8.1 と iPad (iOS7) 用のリモートデスクトップアプリを使って、NVDA の動作検証を行っています。
    ひとつは Splashtop の Win8 Metro Testbed というアプリで、最初に買ったときは 4000 円くらいしましたが、いまは安くなっているようです。
    Windows 側に専用のソフト(Streamer)をインストールします。
    接続は比較的簡単にできます。
    もうひとつはマイクロソフトが最近公開した Microsoft Remote Desktop という無料の iOS アプリで、これは Windows 8 Pro が必要です。
    (Windows のリモートデスクトップサービスを使うため)
    接続の設定は IP アドレスを調べたり、Windows のログオン用パスワードを設定したり、とちょっと面倒です。
    また、リモートからの接続中は、PC 側の画面は使えません。(リモートデスクトップという機能の制約)
    スクリーンリーダーで環境設定ができるかどうかは確認できていません。
    どちらも、マルチタッチ操作や、iPad 側への音声出力ができます。
    これらの環境で評価したことを、ざっとご紹介すると、まず、 NVDA は起動するときに Windows のディスプレイ出力がマルチタッチ対応かどうかを判断して、NVDA が自動的に「タッチモード」で動作するようになります。
    タッチモードの NVDA は、いわゆる iPad の VoiceOver と似ていて、画面に触ると触った場所のオブジェクトを読み上げる「ダイレクト操作」と、左右フリックでレビューカーソルをひとつずつ移動する「シリアル操作」ができます。
    「フォーカスハイライト」アドオンを使えばわかるのですが、これは「レビューカーソル」「オブジェクトナビゲーション」の機能が、そのまま使われています。
    なので、タッチ画面によって、レビューカーソル、オブジェクトナビゲーションが使いやすくなるのではないかと思います。
    選択されたオブジェクトはダブルタップで実行(アクティベート)できます。
    フリックでの移動は、テキスト(文字)単位とオブジェクト単位の2種類のモードがあります。
    このタッチモードの切り替えは3本指タップです。
    タブレットのソフトウェアキーボードも、この作法で操作することになります。
    例えば画面を触ってダイレクト操作でキーを探して、ダブルタップで決定(文字入力)します。
    日本語のソフトウェアキーボード(Microsoft IME)の場合は、iPad の文字入力に似ていますが、文字を入れていくと予測候補がソフトキーのすこし上に表示されて、それを実行、というやりかたになります。
    現状(NVDA 2013.2jp)で問題になりそうなことは、ソフトキーボードの日本語の変換候補を普通に読んでしまう(詳細読みしない)、ということです。
    これについては調査中です。
    ユーザーガイド「4.3 NVDA タッチジェスチャー」もご参照ください。
    また、コマンドクイックリファレンスにはコマンドによっては「デスクトップ、ラップトップ、タッチ」のそれぞれの操作が記載されています。
    例えば 2本指2回タップでNVDAメニューを開く、などです。
    参考までに フォーカスハイライト のアドオン
    なお、NVDA はインストールされた環境でのみタッチモード動作します。
    もしお気づきの点があればお知らせいただければ幸いです。