これはアクセシビリティ Advent Calendar 2021 参加記事です。
NVDAとは
NonVisual Desktop Access (NVDA) は無料(オープンソース GPLv2)の Windows 用スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)です。
オーストラリアの非営利法人 NV Access を中心とするコミュニティが開発を行っています。
NVDA日本語チームは、本家版NVDAの日本語対応とNVDA日本語版のリリースを行っています。
昨日、今年3番目のリリースである NVDA 2021.3 が NV Access からリリースされました。今日、その日本語版である NVDA 2021.3jp もリリースされました(しました)。
NVDA日本語チーム・ラジオとは
NVDA 日本語チームは以前は東京エリアでイベントを開催したり大きなイベントに参加してきました。
コロナ禍でイベントが困難になり、新しい活動方法を模索した結果、2020年11月から、毎月第2木曜日の夜9時から10時に、YouTube Live でオンラインイベントを配信しています。
無事に毎月欠かさず実施することができ、先月、2021年11月に第13回をお送りしました。
主な内容は
- NVDAの最新情報を紹介する
- いただいた質問にお答えする
- NVDAに関するさまざまなトーク
です。
ミートアップ特別編の報告
たまたま第14回にあたる今日は、障害者週間の最後の日でもあり、年末でもあるので、別の方法でやってみようか、ということになり、ミートアップ特別編を開催しました。
参加者14人(スタッフ含む)で以下のような議論をしました。
自己紹介
- 以前から NVDA 日本語チームの活動に参加されている人
- メールや GitHub Issues でお名前を知っているけど、お話するのは初めてだった人
- スタッフと何らかのつながりがあって参加してくださった人
- NVDA のアドオン開発などをしている団体の人
- などなど
NVDA と他のスクリーンリーダーをどう使い分けている?
- 他のスクリーンリーダー(JAWSなど)でうまくいかないことがあったらNVDAを使う
- NVDAはオブジェクトナビゲーションが使いやすい
- JAWSは点字ディスプレイで画面に忠実な表示ができるなど利点がある
- 一方でふだんNVDAだけを使っている、という人も
NVDAを使い始めたきっかけは?
- 地域のパソコンボランティアで紹介される。視力が残っていて、スクリーンリーダーを買えない人に「こういうのがある」とNVDAを紹介している団体がある
- お金を払わなくてもいい、お金を払わなくても使えるのがありがたくて使い始めた、使っている
- プログラミングがしたい、エンジニアとして作業をするのに(他のスクリーンリーダーよりも)NVDA が適している
NVDA日本語チームにやってほしいこと
- 講習を受けられる場所を教えて欲しい。
- スクリーンリーダーが読み上げる場所が移動したときに、画面がスクロールしないことがある問題。【回答】ちょっとずつ改善している。以前は開発者が全盲の人ばかりだったし、API も整備されていなかった。
YouTube Live への参加について
- スクリーンリーダーユーザーは、配信を聞きながら、メールやチャットのコメントを書くのは難しい。
まとめ
- 今日 NVDA 2021.3jp をリリースしました
- 来年でNVDA日本語チームは10周年
- これからも活動を充実させたり、改善していきたいので、ご参加、ご支援をお願いします。
アクセシビリティ検証ツールとしてのNVDA
今回、ミートアップを開催してみたら、視覚障害の当事者のユーザーの方が多く集まってくださる場になりました。ですが、NVDA はアクセシビリティ検証ツールとして、Webやソフトウェア開発に関わる人たちにも使われています。
今年5月 GAAD Japan 2021 で、私と辻さんで行ったトークの録画が公開されています。
「スクリーンリーダーは怖くない! NVDA & VoiceOver 10の基本テクニック」
ご視聴いただき、NVDA を使ってみよう、という気になっていただけると幸いです。
最後に自分の仕事を振り返ると
いま関わっている仕事のひとつが「ためまっぷ」というサービスの開発の支援です。アクセシビリティの観点からもコードレビューをしたり、NVDA で検証して改善のプルリクエストを投げたりしています。先は長いですが。。
「アクセシビリティ検証ツールとしてのNVDA」ユーザーとしても、ひきつづき活動していきます。よろしくお願いします。