投稿者: nishimotz

  • すごい広島 #3 に行って勉強した

    すごい広島とは 広島のエンジニアやウェブデザイナーが毎週集まって、 もくもくしたり Hackしたり 読書したり する場所です。
    ということで、今週は第3回でした。私は最初の参加(広島Git勉強会から数えて2回目の参加)です。
    たまたま「プロになるためのJavaScript入門」という本を読んでいるところなので、最初の文法の説明を「写経」することにしました。

    プロになるためのJavaScript入門 ~node.js、Backbone.js、HTML5、jQuery-Mobile (Software Design plus)
    河村 嘉之 川尻 剛
    技術評論社
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    こまかい作業は私の Wiki サイト JavaScript のページに書いたのですが、例えば、なぜ下記のようなものが出てくるのか、いろいろ打ち込んでみてやっとわかってきました:

    > new String({})
    { '0': '[',
    '1': 'o',
    '2': 'b',
    '3': 'j',
    '4': 'e',
    '5': 'c',
    '6': 't',
    '7': ' ',
    '8': 'O',
    '9': 'b',
    '10': 'j',
    '11': 'e',
    '12': 'c',
    '13': 't',
    '14': ']' }

    丁寧に書くとこういうことですね:

    > new String(({}).toString())

    JavaScript では new Object は {} と書けるので、({}) は toString() すると “[object クラス名]” という形式の文字列リテラルが得られる。これを与えて String ラッパークラスに与えるので、その(文字列リテラルではない) String オブジェクトの内部表記である { ‘0’: ‘[‘, ‘1’: … のような結果が返ってくる。。
    前から読もうと思っていたCategorizing values in JavaScript という記事 がまさにこういう話だった。。
    こんなことをもくもくやっていたのですが、集まった人たちがそれぞれ、もくもく何かをやっている状況は、とても刺激的でよい雰囲気でした。
    この「すごい広島」は勉強内容は自由ですが、記録や報告に git/github や Markdown を使うルールになっています。共同作業の練習になるので、興味のあるかたはぜひ。

  • NVDA 講習会でやったこと

    6月の VIC ステップアップ講習会で NVDA 日本語版の紹介をしました。
    やった内容を紹介します。
    (1)導入から入力ヘルプまで
    NVDA 日本語版の最新バージョンは http://i.nvda.jp でダウンロードしてください。
    NVDA のインストーラーを起動して、3種類の使い方があることを説明。
    Tabで移動、スペースで「同意する」のチェックボックスの操作、スペースでボタンを押す操作。
    NVDA の起動。ようこそ画面に書いてある「NVDAキー」の説明。ノートパソコンでは「無変換」を使うのが便利。
    NVDA+N で NVDA メニューを開いて、ヘルプ(サブメニュー)からもう一度「ようこそ画面」を開いてみるなど。
    ダイアログはEnterキーで閉じられる。メニューはEscキーで閉じられる。
    NVDA メニューを開いていないときも NVDA はずっと動いている。
    NVDA+1 を押して「入力ヘルプモード」を体験する。押したキーの説明。NVDA+N を押すとわかるように「NVDAコマンドの説明」にもなっている。
    入力ヘルプモードで NVDA+1 を押すと入力ヘルプモードの解除。
    (2)NVDA の設定
    NVDA メニューで「キーボード設定」を確認する。今回は「ラップトップ」配列でやっていただいた。
    アクセラレーターキーで項目の移動やチェック状態の変更ができるが、慣れるまでは使わなくてよい。
    項目は Tab で移動。そろそろ Shift+Tab で逆方向移動も。
    読み上げの中止は Ctrl で、中断(再開)は Shift で。
    音声設定で「速さの変更」と「記号読み上げレベル」だけ試していただく。
    記号読み上げレベル「読まない」にしたら、比較のためにもう一度「ようこそ画面」を開いてもらう。
    この記号読み上げレベルは NVDA+P でも変更できる。
    (3)ユーザーガイドで「一文字ナビゲーション」を体験
    NVDA メニューの「ヘルプ」から「ユーザーガイド」を開いてもらう。
    目次はリンクになっているので、Tab で移動して、スペースでリンク実行(ジャンプ)できる。
    覚えるコマンド(ラップトップ配列):
    NVDA+A (すべて読み上げ)
    H と Shift+H (見出しジャンプ)
    1, 2, 3, 4 (Shiftで逆方向、レベルを指定して見出しジャンプ)
    左矢印と右矢印(1文字ずつ確認)
    上矢印と下矢印(NVDA内部で文として扱われている単位での移動)
    NVDA+L (現在の行の読み上げ)
    NVDA+T (タイトルの読み上げ)
    ユーザーガイドはアプリケーションなので Alt+F4 で終了。
    (4)オブジェクトナビゲーションに挑戦
    オブジェクトとは? Windows の画面に表示されるあらゆるもの。
    Windows 7 の例を見せながら「電卓」で1ケタの足し算に挑戦。
    スタートメニューから電卓を起動。
    Alt+Tab (アプリケーションの切り替え)で、デスクトップと電卓が切り替わる。
    電卓を起動すると「結果を表示しているオブジェクト」が現在位置で、「0」と出ている。
    電卓がどんな画面なのかは、簡単にあらかじめ説明しておく。
    Alt キーを押すとメニューに移動できて、上下に移動できることも確認。
    Esc を押してメニューを閉じ、さらに Esc を押して元の場所に戻る。
    まず NVDA+Shift+下矢印 で「内側のオブジェクト」があるかどうか確認する。
    そして NVDA+Shift+左(右)矢印で前後に「オブジェクトがありません」と言われるまで移動してみる。
    これで3方向を確認したことになる。
    NVDA メニューと違ってオブジェクトは「上下が階層の移動」「左右が階層の中での移動」なので注意。
    いよいよ上に移動する。行き過ぎると「デスクトップ」まで行ってしまって、戻るのが大変になるので注意。
    Windows 7 の場合は、結果を表示するダイアログと、もう一つ名前のない「ダイアログ」がある。
    名前なしダイアログに30個くらいボタンがある。NVDA+Enterでボタンを押せる。
    「1」「加算」「3」「等号」と押せば、結果表示ダイアログに戻ってきたときに「4」と出ている。
    Tab 移動で操作できないアプリケーションでも、NVDAのオブジェクトナビゲーションはこのように活用できる。
    続きはぜひユーザーガイドを読みながら練習してみてください。
    こんな感じで2時間の講習でした。
    この内容は NVDA-KR の英語ポッドキャスト の第1回から第3回の前半までの内容を、ちょっと削ってコンパクトにしたものになっています。
    最後の内容はまほろばさんの記事を参考にしました。
    いずれ私もポッドキャストを作ったほうがいいなあと思っています。
    実演には開発中の「フォーカスハイライト」アドオンを使いました。
    ダウンロードは下記からどうぞ:
    focusHighlight-0.0.5.nvda-addon
    広島では7月から8月にかけて、何度か NVDA の講習会を行う予定です。詳しいことが決まったら、このブログなどでご案内します。
    追記(7月28日):focusHighlight のリンクを更新しました。
    講習会の告知は広島市広報誌の7月15日版に掲載されました。ご報告が遅くなって済みませんでした:
    視覚障害者向けパソコン音声ガイドソフト講習会

  • 広島Git勉強会に参加しました

    広島Git勉強会に参加しました。
    BzrからGitに乗り換えたときの話、と言いつつ NVDA のブランチ(チケット駆動開発)の話をしました。
    NVDA が分散型バージョン管理システム Bazaar に移行してから、NVDA 日本語版は「ブランチとマージ」を活用してソースコードを管理することを心掛けてきました。
    今回は NVDA 本家の機能ブランチとリリースブランチの運用方法を紹介して、さらに、NVDA日本語チームがどうやってリリースごとに日本語版のブランチを運用しているのか、ローカルとリモートのリポジトリをどのように使っているのか、といったお話をしました。最後に、Bazaar のエコシステムがうまく回らなくなったので Git に移行した、という1か月前の出来事に触れました。
    Ustream 配信の録画

    Git はエコシステム的には大成功しているツールですが、使い方は簡単ではありません。いろいろな人のお話を聞いていると、自分が使いこなしていないオプション、設定、使い方もいろいろ気づくことができました。

    最後に交流会かと思わせて すごい広島 に参加者を巻き込んだ github flow の実習。ウェブサイトの場合は master ブランチを常にデプロイ可能な状態にしておくブランチ運用がいいよね、という話の実践でした。github のissueやプルリクエストなどの機能をみんなで体験しました。

    6月2日:内容を追加しました。

  • NVDA日本語版 2013.1jp の公開とイベント開催のご案内

    無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の日本語対応をすすめる NVDA 日本語チームは、2013年5月21日に最新の日本語版 NVDA 2013.1jp を公開しました。
    ダウンロード
    http://i.nvda.jp
    NVDA 日本語版 2013.1jp のライセンスは GPL v2 です。
    Windows 8, 7, Vista, XP の32ビット版および64ビット版に対応しています。
    Windows 8 ではタッチ操作が利用できます。
    以下は対応しているアプリケーションの一部です:

    • Webブラウザー (Mozilla Firefox を推奨、 Microsoft Internet Explorer, Google Chrome にも対応)
    • Adobe Flash Player によるアクセシブルなコンテンツの操作
    • 電子メールクライアント (Mozilla Thunderbird を推奨、Windows Live Mail, Outlook にも対応)
    • Microsoft Office アプリケーション Word, Excel, PowerPoint の主要な機能(対応バージョン 2003, 2007, 2010)
    • LibreOffice (推奨バージョン3.6.6)
    • Skype for Windows (バージョン6を推奨)
    • Apple iTunes for Windows
    • Twitter クライアント Tween
    • 日本語入力システム(Microsoft IME, Microsoft Office IME および ATOK を推奨、Google 日本語入力にも対応)
    • Adobe Reader によるアクセシブルな PDF 文書の読み上げ
    • Adobe Digital Edition によるアクセシブルな EPUB 書籍の読み上げ
    • AMIS によるオーディオ DAISY およびマルチメディア DAISY 書籍の読み上げ

    以下は利用できる点字ディスプレイの一部です:

    • ケージーエス ブレイルメモシリーズ(ブレイルテンダー、ブレイルメモポケットを含む)
    • ブレイルセンス・オンハンド

    オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
    NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
    2013.1 の更新内容は、直観的で一貫性のあるラップトップ配列の採用、Microsoft PowerPointへの対応、ウェブブラウザでの詳細説明(longdesc)への対応、点字ディスプレイからの入力(日本語は非対応)などです。
    NVDA は世界40以上の言語に対応していますが、音声エンジンと点訳エンジンは日本語に対応していません。
    そこで NVDA 日本語チームは、日本語音声エンジンと点訳エンジンを搭載した NVDA 日本語版を独自にリリースしています。
    2013.1jp では仮名漢字変換の互換性や安定性の改善、日本語点訳規則や情報処理点字への対応、点字ディスプレイのカーソル位置処理の実装、および多くのバグ修正を行いました。
    詳細はNVDA日本語版の説明をご覧ください。
    リリース直前に以下の不具合が確認されています:
    上書きインストールすると点字設定の出力テーブルが日本語以外にセットされる(チケット31397)

    その他の不具合はチケットをご確認ください。
    なお、NVDA 日本語チームは、NVDA の機能や活用方法、日本語化の取り組みをご紹介するために、下記のイベントを開催します。
    NVDA にご興味・関心のある個人・団体・企業の皆様、ふるってご参加いただきますよう、ご案内申し上げます。
    イベント名(仮称):「NVDAが開く新たな世界」
    主催:NVDA日本語チーム
    共催:View-Net神奈川
    日時:2013年8月17日(土)
    会場:横浜市民活動支援センター(神奈川県横浜市中区桜木町1-1-56)
    詳細は今後 NVDA 日本語チームのWebサイトでお知らせします。
    http://www.nvda.jp
    NVDA日本語チームへのご連絡はメールアドレス nvdajp@nvda.jp にお願いします。

  • セキュリティもみじに参加しました

    情報セキュリティの勉強会 セキュリティもみじ 第24回セミナーに参加しました。
    Togetter まとめ
    セキュリティに関する事件や不祥事は絶えないのですが、「そんなことに引っかかるほうが悪い」「何も対策をしていないから悪い」という「情報弱者叩き」になりがちです。
    辻 伸弘さんの講演の趣旨を、私は「人が誰でも病気になるように、システムは攻撃に合わないことを保証できない。しかしリスクや被害を減らすための多層的な対策は可能だし、何を守るべきなのか日頃から意識して準備することはできる」と理解しました。そして「多層防御」についての技術的な具体例もご紹介いただき、参考になりました。
    NVDA 日本語版のために電子署名を買おうとして頑張った話を、ライトニングトークでさせていただきました。
    まあ簡単に言うと「安く買おうとしてかえって敷居が高くなってしまい挫折中」です。。
    トークの後そして懇親会で、いろいろ声をかけていただいて、デジタル証明書サーバーの立て方を教えていただいたり、スクリーンリーダーについて質問をしてくださったりしました。
    この先どうするか、まだ決めていないのですが、参考になりました。
    ノベルティグッズのご提供、ケーキタイムのおいしいお菓子など、準備に関わられた関係者の皆様に感謝します。
    セキュリティとアクセシビリティといえば「画像認証」(CAPTCHA) という話題もありますが、そもそもスクリーンリーダーを開発していると、アプリケーションやOSから情報を引っこ抜いて読み上げるという挙動そのものが「コンピューターウイルスと紙一重」であることを痛感します。
    どうやったらオペレーティングシステムやアプリケーションをお行儀よく実装できて、スクリーンリーダーがトリッキーなことをせずに済むようになるのか、という技術的な情報を、もっと発信していきたいと思い始めています。
    5月18日に NV Access は NVDA の新しいバージョン 2013.1 をリリースしました。
    NVDA 日本語チームは NVDA 日本語版 2013.1jp のリリース準備を進めているところです。

  • NVDA日本語チームの活動のご案内

    オープンソースのスクリーンリーダーNVDA日本語版 2012.3.1jp の公開から1ヶ月半が過ぎ、ダウンロード回数が2100を超えました。
    しかしNVDA日本語版にはまだ開発途上の機能があり、ご意見やご要望がいろいろあろうかと思います。
    NVDA日本語チームの活動と、ユーザーの皆様に開発に参加していただく方法について、ご案内します。
    (1) 日本語チームの概要
    NVDA日本語チームは、2012年7月より、下記の規約のもとで運営しています。
    NVDA日本語チーム 運営規約
    NVDA 日本語チームのメーリングリスト nvdajp-team の参加者を会員として、会員が話し合って物事を決めていく体制です。
    メーリングリスト nvdajp-team の参加方法や過去の発言の公開
    なお、このメーリングリストにはチケットシステムの更新記録も配信されます。
    日本語チームは、月曜日の夜8時30分から定例Skype会議を行っています。
    日本語チームの代表である西本がやむを得ない事情で参加できない場合も、日本語チームのメンバーの交流の時間としてご活用いただいています。
    最近のSkype会議の記録は下記のとおりです:

    私は来週から2週間お休みをいただいて、次回は2月11日に参加します。まだ日本語チームのメンバーでないかたも、お気軽にご参加ください。
    (2) 開発版のテストや翻訳など
    NVDA日本語チームでは、開発スナップショットを作成し、日本語関連機能の改良を進めています。
    2011年の2月から2012年9月にかけて、開発スナップショットを sourceforge.jp からダウンロードできるように公開して、 NVDA 日本語ユーザーのメーリングリストで告知してきました。
    2012年9月のSkype会議の結果、開発スナップショットの公開はやめて、日本語チームのMLに参加しておられるかただけを対象に告知する形式にしました。
    例えば、本家の最近のスナップショットは PowerPoint 対応が完了しており(これは各国の当事者団体からの資金援助で実現されました)、日本語版の開発スナップショットでも PowerPoint 対応のテストが可能です。
    もし日本のPowerPointユーザーから本家の開発にフィードバックすべきことがあれば、日本語チームがお手伝いをさせていただきます。
    また、最近は日本語点訳エンジンについて、なるべく日本語点字の規則に従って処理を行うような改良を進めています。
    仮名づかいや分かち書きの処理の基本ルールにやっと対応できたところで、まだまだやることはたくさんありますが、日本語チームのメンバーにテストをしていただき、仕様を相談しながら進めています。
    この数ヶ月、日本語版の開発と翻訳をほとんど一人でやってきました。
    ドキュメントやアドオンの翻訳など、もっと多くのかたに協力していただきたい作業もあります。
    NVDA 日本語版をもっとよくしたいというかたに、日本語チームへのご参加をご検討いただければ幸いです。
    (3) チケットシステム利用などのご案内
    バグやご要望の報告にはチケットシステムの利用もご検討ください。
    バグ報告は、開発者が状況を再現できるように手順を具体的にお知らせください。
    NVDA日本語版のチケットの新規登録
    (4) 本家版開発への参加
    NVDA本家版の日本語関連の要望や不具合を、本家への要望として英語で報告していただくことも重要です。
    NVDA本家版も昨年の2012.3.1で入力メソッドに対応したのですが、中国語入力のサポートとして行われた実装なので、日本語のための環境としては機能が十分ではありません。
    NVDA日本語チームは、NVDA本家の開発・翻訳の貢献者として、NVDA本家の日本語対応も担当しており、将来は日本語版と同等の機能が本家版で実現されることを目指しています。
    NVDA本家の開発者向け情報(英語)
    (5) 最後に一言
    昨年、NVDA中国語チームが進めてきた資金調達と中国語対応開発の動きを見守って、そして PowerPoint サポートのきっかけになったWBU 総会でのタイのモンティアン上院議員のリーダーシップを見てきました。
    「自分たちがお金を出して自分たちのソフトウェアとして育てる」いわゆる「オーナーシップ」の気持ちが NVDA の開発を後押し始めています。
    この世界の状況を、もっと日本のユーザーに知ってもらい、日本語チームの活動を、もっとよい方向に変えてもらいたい、と思っています。
    だから、「NVDAは自分の所有物ではない」と思っている私の、権限や仕事を減らしていただける提案は、私は歓迎します。

  • 年末の出張

    ATDOの調査の仕事で、12月にも海外出張がありました。アメリカ(ニューヨーク)、ブラジル(サンパウロとリオデジャネイロ)、南アフリカ(プレトリア)、インド(デリー)に行きました。
    スケジュールはびっしり詰まっていましたが、各地のカウンターパートのかたにとても親切にしていただきました。
    この仕事に関わるまで「カウンターパート」という言葉さえ知りませんでしたが、そういえばカウンターパートって音楽用語では「対位法」「対旋律」だったなあ、と出張中に思い出しました。
    突然の停電、快適とはいえない3GやWiFi通信、飲めない水道水、などなど、日本ではできない経験もありました。
    食事はたいてい美味しくて、つい食べ過ぎました。
    サンパウロでFMラジオを聞くと普通のポップスが流れていたのに、デリーでラジオを聞くとやっぱりインド音楽でした。
    世界は一筋縄では語れません。
    言語についてもそうです。ブラジルではほとんどポルトガル語、そして南アフリカには11の公用語が、インドには22の公用語があります。
    首都・大都市と地方都市で文化も生活も全然違う、とあちこちで聞きました。日本でもそうかも知れませんが。。
    2012年を振り返ると、最初は NVDA 日本語化プロジェクトがどうやって世界とつながっていけばいいのか、見当もつかなかったのですが、台北に行くことになって、オーストラリアから開発者を招くことができました。
    そしてアクセシビリティの仕事で海外に行く機会を得ました。
    お世話になった方々に心から感謝しています。
    この1年で得られたチャンスやヒントが、次のステップにつながるまで、地道に活動を続けたいと思います。
    ニューヨークの夜
    ニューヨークの夜
    サンパウロの街
    サンパウロの街
    リオデジャネイロの海岸
    リオデジャネイロの海岸
    プレトリアの街
    プレトリアの街
    デリーの工科大学の屋上からの景色
    デリーの工科大学の屋上からの景色

  • おいしい広島 Advent Calendar 2012 (12月3日)

    おいしい広島 Advent Calendar 2012の3日目を担当させていただきます。@24motz の中の人です、こんにちは。

    広島に関するアツイ思いをつなげていこうぜ。
    ※内容は技術系とか関係なくご自由にどうぞ 例 俺の一番オススメなお好み焼きとか 俺が考えた最強の広島弁ネタとか

    ということで、2011年から活動している「NVDAユーザ会広島」について書きます。

    自己紹介

    広島出身。2011年3月まで東京で大学教員をしていました。広島に転居して、NVDA日本語版(詳しくは後述)の開発を続けながら、技術コンサルティングや受託開発をしていたのですが、2012年10月から特定非営利活動法人 支援技術開発機構の主任研究員として働いてます。明日からまた海外出張なので、今日書かせていただくことにしました。

    NVDAとは

    NVDA (NonVisual Desktop Access) はオープンソース(無料)のスクリーンリーダーです。スクリーンリーダーというのは、視覚に障害があるかたが、キーボード入力、音声合成、点字ディスプレイでコンピューターを操作するための支援技術です。
    NVDA はオーストラリアの開発者2人が中心になって2006年から開発しており、近年、世界でユーザーが増加しています。
    2012年5月のWebAIMの調査では NVDA を”commonly used”と答えた割合が43パーセントに達しています。
    日本でも2008年頃から「NVDA日本語化プロジェクト」が進められ、NVDAの日本語化が行われました。
    しかし、NVDAが標準で使用しているeSpeak音声エンジンが日本語に対応していない、日本語のカナ漢字変換を読み上げできない、日本語の点字出力に対応できない、といった課題がありました。
    これらの開発を行うために私(最初は東京在住)や @hoozukiyama さん(もともと広島県三次市在住)がNVDA日本語化プロジェクトに参加しました。

    NVDAユーザ会広島

    私が2011年春に地元の広島に帰ったので、NVDA日本語版の開発者2人が広島に揃いました。
    NVDAユーザ会広島は、名前はユーザ会ですが、最初は NVDA 本家版のリリースごとに日本語版の開発を行う、開発者の団体でした。
    しかし、いずれはユーザーが集まる場にしたい、と思ったので、あえて「ユーザ会」という名前をつけました。
    ちなみに現在、日本で「NVDAユーザ会」と名乗っている団体は、私の知る限り、広島にしかありません。
    NVDAユーザ会広島は地元のイベント、オープンソースカンファレンス Hiroshima に参加しています。
    NVDAのイメージキャラクター「でめきん」のぬいぐるみは、オープンソースカンファレンスのために作りました。
    また nvda.jp というドメインもNVDAユーザ会広島の活動として取得しました。
    OSC広島2011のブースの様子

    OSC広島2012のブースの様子

    勉強会

    2012年に入ってからは、定期的に例会(勉強会)を行ってきました。
    あいかわらず少人数ですが、アクセシビリティやソフトウェア開発に興味をお持ちのかたが集まったので、Python による自然言語処理(NLTK)の勉強会もしました。本を読みながらソースを打ち込んで実行する、というスタイルで行いました。時間の制約もあり、テキストの全部はカバーできませんでしたが、NVDA の開発に使われているプログラミング言語 Python の実践的な勉強になりました。
    音声合成や点訳エンジンのために機械学習を使おうと考えて、このテーマを選んだのですが、結果的に NVDA とはあまり関係ない勉強会になってしまいました。

    入門 自然言語処理
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    NVDA日本語チーム

    2012年5月に「NVDA日本語化プロジェクト」は「NVDA日本語チーム」になり、私が代表になりました。
    2012年6月にNVDA日本語版 2012.2.1jp をリリースしました。このバージョンは2012年12月1日までに4420回ダウンロードされました。
    それまでのバージョンでは(ポータブル版とインストーラー版をあわせても)2000回程度であったので、この半年で利用者が大幅に増加したと考えられます。
    たぶん今日中に新しいバージョンの安定版をリリースしますので、よろしければ nvda.jp のサイトをご確認ください。
    現在、NVDAは40以上の言語で使われていますが、ローカライズ版を独自にリリースしているのは日本、香港、韓国などわずかな国しかありません。
    本家版には新しいバージョンがリリースされたら自動的に更新される機能がありますが、この機能は日本語版では無効にしています。
    ローカライズ版に独自に追加してきた機能が、本家版に統合されていくことが理想です。
    NVDA 2012.2 から導入された「アドオン」という機能を使うと、本家版に日本語音声エンジンを追加することが容易になります。
    すでに NVDA 日本語チームは NVDA 本家版用の日本語音声アドオンをリリースしています。
    このアドオンというしくみが、「世界で一つのNVDA」を実現するために、これから重要になってきます。
    NVDA日本語チームという名前は、本家版NVDAの日本語対応と、NVDA日本語版の開発を、同じメンバーで進めていく、という体制を示すために選ばれました。
    NVDA日本語版の開発に全国からユーザーや開発者が参加してくださるようになったため、NVDA日本語チームは毎週の定例Skype会議で議論しながら進めるようになりました。
    NVDA本家版 2012.3 の「東アジア言語の文字入力」には、日本語チームが行ってきた実装が一部利用されました。
    2012年9月にはオーストラリアから NVDA の主要な開発者のお一人である Michael Curran さんを東京に招いてワークショップを開催しました。
    現在は、NVDA本家版 2012.3 でもいちおう日本語の文字入力の読み上げができるようになっています。また、日本語に起因するバグを本家で修正してもらえるように活動しており、例えば「ユーザー名が日本語の特定の文字を含んでいるときにNVDAがインストールできない」問題が解決されました。
    現在のNVDA日本語チームの最大の課題は、日本語点訳エンジンの改良です。一度は機械学習ベースでゼロから作ろうと考えたのですが、現在は liblouis という多言語対応のオープンソース点訳エンジンの調査研究も行なっています。
    日本語だけ独自の技術を開発しても、それがユニバーサルな実装にならなくては結果的に長続きしない、ということが起こるからです。
    音声エンジンについても Open JTalk に基づく独自実装から、多言語音声合成エンジンに発展させていくことが、日本語対応をグローバルに展開する道筋だと思い始めています。海外で話をしてみると HMM 音声合成はあちこちで研究開発されているので、ハードルはそれほど高くないように感じます。

    NVDAユーザ会広島のこれから

    NVDAユーザ会広島という活動を立ち上げた自分が、今はこの広島地域コミュニティをうまく活用できていないのです。ごめんなさい。
    ただ、何か協力できないか、といろいろなかたから声を掛けていただいていることを、本当にありがたく思います。
    関係者が集まったときには NVDA だけではなく iPhone, iPad や Android のスクリーンリーダー、電子書籍の音声読みあげなどについても情報交換しています。
    広島でアクセシビリティとソフトウェア開発に興味がある人が集まって face-to-face で活動できる場として、発展させていければよいと思っています。

    次の人

    明日は @wizard_paso さんです。

  • NVDA に関する海外および日本語チームの状況

    NVDA に関する海外および日本語チームの状況をご報告します。
    11月8日にNVDA本家版 2012.3 が正式にリリースされました。
    その後、いくつかの言語(日本語ではありません)の翻訳の不備が見つかり、現在 NVDA 本家ではまもなくリリースされるバグ修正版の 2012.3.1 と、来年の2月か3月を目標にした 2013.1 の開発が並行して行われています。
    NVDA 日本語チームは、2012.3.1 のリリースを待って 2012.3jp ではなく 2012.3.1jp をリリースすることになりました。
    11月8日から18日にかけて、タイのバンコクで世界盲人連合 WBU の総会が開催され、NVDA 開発者の Michael Curran さん、James Teh さんのおふたりも参加しました。
    私もバンコクでこの会合に参加して、お二人と打ち合わせをしたり、ブース出展を手伝ったりしました。
    アジアやアフリカの多くの国で NVDA が使われ始めており、教育機関での指導がはじまっていることが、よくわかりました。
    11月16日の WBU のディナーイベントの席で、Thailand Association of the Blind (TAB Group) が NVDA の PowerPoint 対応のために
    資金を援助することが突然発表されると、他の国の視覚障害者団体からも、我も我もと資金援助の申し出が発表され、会場は異常な熱気に包まれました。
    Facebook の NV Access ページのコメント
    資金のある国の当事者団体が、開発途上国の当事者を支援する、という、世界の NVDA コミュニティの新しい動きが、決定的になった日でした。
    私はATDOの研究員としての第1回の海外出張を無事に終えましたが、すぐに次の海外出張が控えています。。

    NV Accessのブース展示の様子

    各国からNVDAへの資金援助が発表されたディナーイベントの様子

  • WBU-ICEVI 2012 バンコクで NVDA セッション

    タイのバンコクでWBU ICEVI 2012という大規模な国際会議に参加しています。
    WBU は世界盲人連合で、これは4年に一度の総会です。
    受付では deligate と observer の選択肢があり、前者は各国の代表として選挙の投票権が与えられます。
    私は ATDO のメンバーとしてオブザーバー参加です。
    NVDA 開発者の Michael Curran さんと James Teh さんは ICEVI および Vision Australia の招待でこの会議に来ています。
    事前に発表されていなかったNVDAセッションが、11月13日の昼に開催され、直前の告知にもかかわらず40人くらいの人が集まりました。
    WBU-ICEVI 2012 会場の看板

    NVDA セッション James Teh さん Michael Curran さん

    1時間の NVDA セッションではデモをする時間がなくなるくらい、矢継ぎ早に質問がありました。
    終了後にも多くの人が NVDA のパンフレットや名刺交換を求めて殺到。

    説明の中で日本語チーム NVDAJP からの貢献についても触れていただきました。
    また、今後、まだ音声合成エンジンが開発されていない言語について、DAISY コンソーシアムなど reading disability 解消のためのプロジェクトと協力が可能ではないか、ということも言っていただきました。
    セッション終了後に Mick さん Jamie さん シンガポール代表の人と一緒に記念写真。

    展示会場もあり、各国の団体だけでなく支援技術ベンダーも多く出展しています。
    タイの研究機関 NECTEC はタイ語音声合成システム Vaja を実演しており、NVDA で動いていました。日本語の Open JTalk やフィリピン大学のタガログ語システムと同じく Vaja も HTS ベースとのことです。


    Mick さん Jamie さんだけでなく、海外の開発者のかたがたと、音声合成エンジン、文字入力、点字システムなどの議論をして、日本語の要求や現状についても、何度も何度も説明している日々です。