12月20日(火曜日)夜10時から TomG さんのインターネットラジオ 「暇つぶしラジオ生放送!!」に西本がゲスト出演することになりました。
私が日本語化に関わっているオープンソースのスクリーンリーダー NVDA のことをお話する予定です。
よろしくお願いします。
2011-12-21 追記:放送は終了しました。マルチモーダルインタフェースの研究、視覚障害者のためのタイピング練習ソフト「ウチコミくん」の開発、そんな経験が NVDA の活動に繋がっていることをお話しました。1ヶ月くらいしたらバックナンバーが公開されるそうです。
2012-01-07 追記:12月20日のバックナンバーが公開されています。IHARA Noteで取り上げていただきました。
nishimotzの日記
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インターネットラジオへの出演予定(12月20日)
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オープンソースのスクリーンリーダーNVDAとその日本語化
昨日、日本音響学会東海支部 技術講習会 視覚・聴覚障害のための支援技術の現状と展望 にて「オープンソースのスクリーンリーダーNVDAとその日本語化」という講演をしました。
スライドは ja.nishimotz.com/screen_reader として私のサイトで公開中です。右上の画像をクリックするとブラウザ内でスライドショウになります。
参加してくださった皆様、企画や運営にかかわられた皆様に御礼を申し上げます。
講演の合間に開発中のバージョンを使って実演を行いました。JTalk による早口音声、かな漢字変換のフォネティック読みや詳細読み、Windows エクスプローラーを例にMSAAのオブジェクト情報とNVDAでの音声化の比較などをお見せしました。点字ディスプレイは機材を持参できなかったので、動画でご紹介しました。
Web閲覧の実演をする時間が取れませんでしたが、NVDA の日本語化を例に、「日本におけるスクリーンリーダーの歴史と現状」をご紹介できたのではないかと思います。
アクセシビリティにおけるGUIの影響についてご質問をいただきました。
一般的にはGUIは「画面表示から文字情報を取り出しにくくなった」「キーボードだけで操作できないアプリケーションが増えた」ということで、アクセシビリティが悪くなった原因と考えられています。
しかし私が10年前に「視覚障害者のための電子メール環境における操作性の検討」で触れた考察ですが、「階層化メニューなどの操作が標準化された」というメリットも無視できないと思います。
操作性の変化の問題よりも大きいのは、時代とともに変化するアプリケーションやサービスの環境に取り残されたくない、という意識でしょう。MS-DOSの時代はパソコン通信の時代でした。Windows の時代は電子メールとWebの時代であり、そして近年のスマートフォンの時代はソーシャルメディアの時代でもあります。
アクセシビリティのためにはメカニカルなスイッチの存在は重要で、タッチインタフェースでアクセシブルなデバイスを作ることは難しい、と考えられてきました。
しかし、Apple の VoiceOver など工夫されたインタフェースの登場は、この常識を変えて、視覚障害をお持ちの方に受け入れられつつあります。Windows 8 の Metro UI は構成要素がシンプルであり、工夫次第では従来の Windows アプリケーションよりもアクセシブルにできるかも知れません。
最後に、最近 iPhone 4S の新機能として話題になった音声認識・音声対話は、そろそろスクリーンリーダーの入力手段として再評価されると考えています。
NVDA 日本語化プロジェクトは、まもなく本家が最終版をリリースする 2011.3 の日本語版に向けて、作業を進めています。先日リリースした jpdev11114 では日本語IMEサポートの改良が完全ではないので、あと数回の開発版スナップショットの公開と検証が必要です。
オラビー・ジャパンの活動としては今後、NVDA 技術を基盤にインタフェースのイノベーションにも取り組んでいく予定です。 -
こぎん刺しと宮島
11月3日にNHK Eテレ「すてきにハンドメイド」で「津軽こぎん刺しのバッグ」が取り上げられた。
和の伝統を楽しむ、という3回シリーズの第1弾として登場し、テレビテキスト11月号の表紙を飾った。番組の中で製作されたバッグは、こぎん刺しを知っている人から見ればオーソドックスな色とデザインだったが、「東北の手仕事」として歴史や背景も掘り下げて紹介された。藍染めの麻布に白い糸で刺された菱形の幾何学模様が、綿花の栽培が困難で華美を禁じられた江戸時代の苦肉の選択であったことが説明された。そして、厳しい寒さと貧しさの中で、美しい模様を生み出した津軽の女性の心の豊かさを感じて欲しい、と番組は語っていた。
100年以上前のボロボロの労働着にほどこされた幾何学模様の「刺し子」はテキストにも大きな写真で紹介されている。
東北新幹線の新青森駅開業といったイベントに合わせて、東京エリアでも青森の文化が紹介されるようになったが、それでも全国レベルでのこぎん刺しの知名度は低い。
柳宗悦が民藝運動として評価したことによって価値が見直されたこぎん刺しは、今年春の日本民藝館(目黒区駒場)の「開館75周年記念名品展」で1点だけ展示されたとのことだ。
一方で、青森で生まれ育った人にとって、こぎん刺しは「あまりにも身近にありすぎた民芸品」だ。学校の授業やクラブで作ったことがある、という人も多い。「根気のいる作業」であることも知られているので「こぎん刺しをやっている」といえば一目置かれるのだという。
しかし、およそ若者が興味を持たない色や柄だったこぎん刺しを、変えようとする動きも、目新しいものではない。
色鮮やかな刺繍糸を使うカラフルな作品という試みは、世界から注目された。ここ数年、トートバッグや洋裁で活躍しているグループによって「こぎん刺し」は再発見され始めている。伝統的なこぎん刺しの技法を生かしつつ、バランス、センス、配色など、現代の生活に合わせた作風が登場した。そして「大人になってこぎん刺しの模様の良さを再認識した」という人も増えた。
こぎん刺しは決して難しいものではない。手芸に興味を持つ人が増えたこともあり、手芸用品メーカーや通信販売会社のキットで「こぎん刺し」は身近になっている。規則正しく1列ずつ針を動かしていくと、次第に大きな模様が出来上がっていく、そんな面白さがある。
だが、続けていくのは難しい。キットを買ってはみたものの完成できない人も多いようだ。
続けていくうちに「型」が身につく。その「型」が「オリジナル」を生み出す土台になるのだという。
2010年10月に kikurako.com での活動を始めたこぎん刺し作家 kikurako は「作りたいものを作る。いま作品展に向けて作っているのは、ふだん使えそうなバッグや小物雑貨。年齢や性別は意識していない。欲しい、使いたいと思う人の手に渡れば嬉しい」と言いつつ、制作作業の最後の追い込みを続けている。
kikurako 作品展は今月24日から27日までの4日間。入場は無料。作品は展示販売される。
場所は世界遺産の厳島(宮島)。この夏に宮島水族館がリニューアルされ、来年のNHK大河ドラマ「平清盛」の舞台として注目されている。だが、修学旅行や観光旅行で何度も宮島を訪れた方でも、賑やかな土産物屋の並ぶ表参道商店街から一本奥に入った「町家通り」に足を運んだことのない方は多いのではなかろうか?
「ぎゃらりぃ宮郷」があり、先日は「第一回宮島ブックトレイル」が開催されるなど、古民家を活用した個性的な町おこしに積極的なエリアだ。
会場の北之町 厳妹屋さんは、明治後期頃に建てられ、数年前までは華道と茶道の先生が生活しておられたという宮島の伝統的な町家。
会期中は紅葉の一番の見頃と予想される。ぜひ足をお運びいただきたい。
期間:2011年11月24日(木)〜27日(日)
11:30〜17:00(初日12:00より)
会場:宮島 北之町 厳妹屋(いつもや)
〒739-0588 広島県廿日市市宮島町580
宮島桟橋から徒歩2分(町家通り)
(広島駅から宮島口駅までJRで約30分、宮島口から宮島までフェリーで約5分)