すごい広島#23に参加して、NVDA 日本語版チュートリアル(導入から入力ヘルプまで)の続きを書きました。
(2) NVDA 日本語版の設定
NVDA を使うときに知っておくとよい設定を紹介します。
以下、NVDA制御キーはInsertや無変換キーなど、「ようこそ画面」で説明されたキーを使います。
ここでは NVDA 制御キーを押しながら N を押すことを NVDA+N のように表記します。
NVDA+N を押すと NVDA メニューが開きます。
下矢印キーを1回押すと「設定」という項目にフォーカスが移動します。
このメニュー項目にはサブメニューがあるので、右矢印キーを押すと「一般設定」という項目にフォーカスが移動します。
下矢印を何度か押して「キーボード設定」を見つけて、Enter キーを押してください。
「キーボード設定」ダイアログが開きます。
ダイアログの最初の項目にフォーカスが移動して、
「キーボードレイアウト(K) コンボボックス デスクトップ クローズ Alt+k」
と読み上げられます。
このチュートリアルでは「ラップトップ」配列を使うので、選択項目を変えてみます。
下矢印キーを押すと「ラップトップ」と読み上げます。
この状態でEnterキーを押すと選択項目が保存されますが、Escキーを押すと選択の変更がキャンセルされて設定は「デスクトップ」のままになります。
しかし、選択を保存する前に、もう少し「コンボボックス」の操作を確認しましょう。
「ラップトップ」に選択項目が変更された状態で、さらに下矢印キーを押すと、何も読み上げされません。これは、さらに下にはもう選択肢がないことを意味します。
逆に、上矢印キーを押すと「デスクトップ」に戻り、さらに上矢印キーを押すと、何も読み上げません。これは、さらに上にはもう選択肢がないことを意味します。
つまり、このコンボボックスには2個の選択肢だけがあるわけです。
コンボボックスには折り畳まれた(クローズ、閉じている)状態と展開された(オープン、開いている)状態があります。
マウスやタッチの操作ではコンボボックスを展開して選択肢の一覧を確認してから項目を選べますが、キーボードではコンボボックスが折り畳まれた状態のまま矢印キーで操作できます。
NVDA+Tabキーで、現在のコンボボックスの状態を確認できます。
コンボボックスの状態の説明でAlt+kと読み上げていましたが、これはアクセラレーターキーと呼ばれる操作方法のヒントです。
Tabキーでひとつずつ移動する代わりに、ダイアログボックスの中の項目にジャンプしたりチェック状態の変更ができるのですが、慣れるまでは覚えなくてもかまいません。
ダイアログボックスの項目は Tab キーで移動できますが、この順番はソフトウェアの開発者が決めた順番です。ふつうは画面の上から下、左から右に決められています。そろそろ Shift+Tab キーで逆方向に移動できることを覚えると、行き過ぎたときに戻ることができるし、先頭の項目から一番最後の項目に移動するときにも便利です。
読み上げの中止は Ctrl キーで、中断は Shift キーでできます。
中断したあとでShiftキーをもう一度押すと、続きを読み上げます。
ラップトップレイアウトを選択してEnterキーを押すか、フォーカスをOKボタンに移動してスペースキーを押しておいてください。
今度はNVDAメニューから設定「音声設定」を確認していきます。
「速さ」などは「スライダー」という形式の項目で、数値を視覚的に表現して、値を変更できるようになっています。
スライダーという名前のとおり、マウスでつまみをスライドするような操作ができるのですが、キーボードでも操作できます。
キーボードでは左右または上下矢印キーやPage Up, Page Downキーで値を増やしり減らしたりできます。EndキーとHomeキーで最小値や最大値に変えることもできます。
キーを押すたびに数値を読み上げます。
この音声設定のスライダーでは、変更した結果がどんな音声になるのかを確認しながら操作できます。
コンボボックスの「記号読み上げレベル」は読み上げる情報に含まれる句読点やカンマ、ピリオド、カッコなどの読み上げかたの指定です。
記号読み上げレベルを「読まない」にしたら、比較のためにNVDAメニューからヘルプ「ようこそ画面」を開いてみてください。
設定によって例えば「NVDAへようこそ」のあとの「感嘆符」を読んだり読まなかったりすると思います。
記号読み上げレベルは NVDA+P でも変更できます。
NVDAメニューから設定「オブジェクト設定」で「オブジェクトのショートカットキーの通知」をチェックなしにすると、アクセラレーターキーを読み上げなくなるので、説明がすっきりします。
繰り返しの説明になりますが、チェックとチェックなしの状態を切り替えるにはスペースキーを押します。
備考:2013年10月24日 画面キャプチャーを追加しました。
タグ: hiroshima
-
NVDA 日本語版の設定
-
NVDA 2013.2jp の公開と OSC 広島(10月6日)など
8月17日の「NVDAワールド2013横浜」を終えて、あっという間に1か月が過ぎました。
開催の記録ページから録画などをご覧になれます。
NVDA日本語チームのWebサイトでは写真を公開しています。
NVDA日本語チームが行ってきたSkype会議は9月からSkype交流会として運営方法を改めました。
9月13日にNVDA日本語版2013.2jpを公開しました。
ダウンロードは i.nvda.jp から可能です。詳しくは NVDA 日本語版のサイト をご覧ください。
10月6日(日曜)には広島市中区のサテライトキャンパス広島(広島県民文化センター)で開催されるオープンソースカンファレンス2013Hiroshimaに、「NVDAユーザ会広島」として参加します。
13時00分からセミナーで登壇します。
事前申し込み受付中です。
ブースでの紹介もさせていただきます。(展示は16時終了です)
8月のイベントでもお話しましたが、NVDA本家版はこれから1年間に4回のリリースを確実に行っていこうとして、システムがいろいろ見直されました。
このバージョンアップに、日本語チームが継続的に参加することは、日本語独自版を継続してリリースする土台を作るために、大事なことです。
去年から海外のNVDA関係者といろいろ交流してきましたが、多くの国や言語で、私のような晴眼者ではなく、NVDAを必要としているユーザーたちが、NVDAの発展を支えています。
日本で NVDA ユーザー自身が NVDA の翻訳を担当してくださる状態を作ることは、日本のNVDAコミュニティを世界の常識に合わせる(本当は「戻す」なのですが)ためにも、私が次のステップの活動に専念するためにも、必要と思っています。
他の国では、ひとつの言語について翻訳チームの担当者が2人か3人いて、ユーザーインターフェースの po ファイルを翻訳する人、ユーザーガイドを担当する人、新機能 (changes) を担当する人、といった感じで分担をすることが多いようです。
このように分担ができれば、1年に4回バージョンアップしても、1人の負担は小さくなります。
そのような体制をつくるために人材の育成が必要と思いはじめました。
いわば「NVDA 翻訳者養成塾」を開くことを考えています。
日本のNVDAユーザーに「英語」「バージョン管理ツール」「テキストエディタと poedit の操作」のスキルを持っていただくために何ができるのか、具体的に考え始めています。
10月6日の OSC 広島は、この「NVDA 翻訳者養成塾」についてお話をする最初の機会だと思い、出展内容のキーワードを「デスクトップ」「翻訳」「教育」にしました。
皆様のご来場をお待ちしています。よろしくお願いします。