投稿者: nishimotz

  • PyCon JP 2016 ポスター発表: NVDA の開発とコミュニティ活動

    9月21日と22日の2日間、PyCon JP 2016 に参加しました。2日目に「スクリーンリーダー NVDA の開発とコミュニティ活動」というポスター発表をしました。多くの人に見ていただけたようです。長い時間をかけてこちらの話に付き合ってくださったかたも多かったです。
    PyCon JP 2016 ポスターの前に立つ西本
    23日には開発スプリントのリーダーとして、NVDA 日本語版の開発の具体的な作業を紹介、そして Python でアドオンを開発するチュートリアルなどを行いました。メンバー4人で楽しくハッカソン的な時間を過ごしました。
    NVDA日本語チームは2013年からユーザーを対象にしたイベントを行ってきましたが、今年、方針を変更してこういう技術者向けイベントに参加しました。結果として、より多くの人にNVDAを知ってもらったり、コミュニティのメンバーを広げたりする手段になったと感じています。
    特に今年の PyCon JP は「多様性」がキーノートや講演でも取り上げられました。そのような中で、アクセシビリティの話が、多様性についての視野を広げるお役に立てていたらうれしいです。
    PyCon JP の参加を通じて得た知識、気づいたことなどは、また改めて書いたり喋ったりしたいと思います。
    11月12日開催の PyCon mini Hiroshima 2016 も「視覚や聴覚に障害をお持ちのかたを含めて、 誰にでも参加して楽しんでいただけるイベント」を目指しています。発表のプロポーザルを9月30日まで募集しています。
    それから10月2日に広島での勉強会で Python と機械学習をテーマにLTをしようと思っています。こちらもよろしくお願いします。

  • PyCon mini Hiroshima 2016「広島とPython」 #pyconhiro #pyconjp

    プログラミング言語 Python (パイソン)が気になりはじめた広島の皆様、広島のことが気になっていた全国の Python ファンの皆様のために、今年も PyCon mini Hiroshima を開催します。
    開催日は2016年11月12日(土曜)、会場は広島市立大学サテライトキャンパス(広島市役所のすぐ前)です。
    これから connpass サイトでの参加募集(および講演の申込受付)を開始します。
    2015年11月22日、第1回 PyCon mini Hiroshima の基調講演は石本敦夫さん「Pythonの肩にのる」でした。
    一人前のプログラマになるための勉強は果てしなく続く。でも焦ることはない。なにかひとつの技術やプロダクトに深く関わることが重要。
    深く学ぶほど大きく広がる Python の世界はその理想的な入口のひとつ。
    そんなことをご自身の20年の経験を踏まえて語っていただきました。
    たまたま NVDA という Python プロダクトの活動(NVDA日本語チーム)をきっかけに Python を深く学ぶことになり、日本の Python の技術者やコミュニティの素晴らしいパワーに触れる機会を得てきた私には、自分の気持ちととても重なった内容でした。
    半年以上が過ぎたいま、Python やその関連プロダクトは、広島の技術者の勉強や仕事に役立ち始めているでしょうか?
    広島での PyCon mini の第2回となる今年は「広島から発信しよう」を目指しています。
    県外から著名人をお招きしてお話を伺うことよりも「広島で Python がどう使われているのか」「広島で Python 技術者にどんなチャンスがあり得るのか」といった話題を持ち寄って、なにかを生み出したいと思います。
    まず「広島で暮らす人々」「広島に観光で訪れる人々」をターゲットに「人間の言葉を理解するコンピュータ」の研究に取り組んでいる広島市立大学「言語音声メディア工学研究室」の関係者にご協力をお願いして、「広島とPython」の接点を探ります。
    また IoT (Internet of Things) に適した言語としての Python という側面(例えばハードウェアの制御も Web APIの利用も Python から簡単にできたりします)を掘り下げていくために、今年立ち上がったフレッシュなコミュニティ IoTLT 広島と LT セッションを共同開催します。
    スペシャルトークの火村智彦さんには「私はいま広島で○○というプログラミング言語を使っているけど、Python も勉強した方がいいのかな?」と思っている人に刺激を与えるようなお話をお願いしています。どんな内容になるのか、私もまだわかりませんが楽しみにしています。
    今年、日本の Python コミュニティでは、初学者向けの勉強会(BootCamp)など新しい取り組みが各地で始まっています。
    また Python を基盤にしたビッグデータ、機械学習、インフラ管理など、いろいろなツールのコミュニティも広がりつつあります。
    この第2回 PyCon mini Hiroshima を、広島での継続的な Python コミュニティ活動のきっかけにと願いつつ、まずはご参加のご案内をさせていただきます。
    講演テーマ募集は9月30日を締切とさせていただく予定です。
    参加申込とあわせて、お気軽にご提案いただければ幸いです。

  • Firefox 43 と WebVisum のこれから

    NVDA ユーザーが画像認証 (CAPTCHA) の壁を克服する手段として広く知られている WebVisum という Firefox アドオンがあります。
    ミツエーリンクス まほろば などで紹介されています。
    最近の Firefox と WebVisum について私が知っていることの整理と、問題提起をしておきます。
    最近リリースされた Firefox バージョン 43 から、Firefox の開発元が認証をしたアドオンだけがインストール、実行できるようになりました。
    WebVisum はまだ Firefox 開発元の認証を受けたバージョンを公開していないようです。
    未認証のアドオンの実行を禁止するようになったのは、システムを不安定にしたり不正アクセスの原因になったりするアドオンが広まることを防ぐ目的のようです。
    回避策はいくつかあり、後述しますが、どれも根本的ではありません。
    根本的には WebVisum が最新の Firefox に対応するように、ちゃんと開発、システム運営を続けてもらう必要があります。
    英語でしか書かれていませんが、WebVisum に寄付をしたり運営に協力したりしてください、みたいなことはサイトに書かれてはいます。
    いままでそういう支援を検討しておられたのなら、この機会に WebVisum の運営元に対して、今後もちゃんと開発されていくのか、確認をしてみられるのがよいと思います。
    たしか今年の夏ぐらいに WebVisum のサーバーが止まって、一時的に WebVisum が使えなくなったことがあったはずです。
    海外のメーリングリストでは WebVisum の代わりになるものがないか、という質問がときどき出るようになりました。
    Firefox のアドオンは今後も大きな仕様変更が予定されているはずです。
    もし WebVisum の開発が止まっているなら、将来の Firefox のバージョンアップに追従できなくなり、WebVisum は使えなくなってしまうと思います。
    以下、暫定的に WebVisum を使えるようにするいくつかの方法です。
    (1)
    自己責任で Firefox の設定を書き換えて、未認証のアドオンを有効化する。
    例えば「窓の杜」の以下の記事に書かれています。
    「Firefox 43」では未署名のアドオンが利用不可能に
    “about:config”でオプションを無効化すれば、次期バージョンまでは継続利用が可能

    Firefox 44 ではこの方法は使えなくなるそうです。
    なのでいまから約6週間しか有効ではありません。
    (2)
    Firefox 38 延長サポート版 (ESR) に乗り換える。
    Firefox ESR 38 という、仕様としてはバージョン38のまま、セキュリティ修正だけは2016年5月まで行われる特別な Firefox があります。
    下記ページの下の方に日本語 Windows 版のダウンロードリンクがあります。
    Firefox/Thunderbird 法人向け延長サポート版
    この ESR 38 で WebVisum のサイトからアドオン ( WebVisum 0.9.1 ) をダウンロードしてインストールできることは確認しました。
    (未認証のアドオンは自己責任で使ってください、というメッセージは出ます)
    この方法も2016年5月までしか有効でなく、次にメジャーバージョンアップされる ESR ではいまの WebVisum は使えないはずです。
    (3)
    Firefox のバージョンを戻す、バージョンアップを止める。
    おそらく皆様最初に思いつくことと思いますが、セキュリティ上の不具合があると分かっていて使い続けることになるため、良くない方法です。
    けっきょくは WebVisum というサービスが本当に必要なのか、もし必要なのだとしたら、どうやって WebVisum の開発者や運営者を支援するのか、といったことが問われていると思います。
    まあ NVDA もそうなんですけどね。。
    CAPTCHA のために WebVisum が使われ続けることは、スクリーンリーダー利用者に対してアクセシブルな操作手段を提供しないサービス運営者を容認することに繋がっているとも考えられます。
    以前は日本で広く普及しているスクリーンリーダーが Firefox に対応していなかったため、画像認証をクリアしたい、Firefox を使いたい、じゃあ NVDA を覚えよう、という順番で NVDA に注目された時期もありました。
    しかし私は NVDA 開発者たちの思想を尊重して、WebVisum にしがみつかないことも、模索したい、してもらいたい気持ちになっています。
    以上、議論の材料になれば幸いです。
    追記(2016年8月22日):
    WebVisum のサイトに掲載されているバージョンは 0.9.1 のままですが、Mozilla のサイトでは2016年7月18日にリリースされた WebVisum 0.9.5 が紹介されており、認証済みのアドオンとして利用できるようになりました。