音声対話技術講習会

高度言語情報融合フォーラム http://alagin.jp の主催による「音声認識・音声対話技術講習会」が先週京都大学で開催され、私は最終日(8月28日)の演習を担当しました。

京都工芸繊維大学の荒木先生が講義された内容をふまえて Galatea Dialog Studio による VoiceXML アプリケーションの開発を体験していただきました。

これに合わせて、Ubuntu Linux をベースに Galatea の Live 環境を作成しました。ハードディスクを消去することなく、CD-ROM や USB メモリから OS を起動し、実習を体験していただくことができます。さらに、実習直前に発見されたDialog Studioの不具合を修正しました。詳細は下記をご参照ください。

受講者の方から、マルチモーダル入出力への対応、Windows 版 Interaction Builder との仕様の統合についてご意見をいただきました。これらについては、重要性を認識していながらも、今年3月まで活動した「音声対話技術コンソーシアム」で成果をまとめ切れなかった課題です。

私に直接お問い合わせをくださる方もおられます。例えば Vine Linux 5 での動作についてお問い合わせをいただき、検証をすすめています。また、Galatea Toolkit を使ったアプリケーション開発についてのご相談もいただいています。

今後 Galatea ユーザというコミュニティの形成を目指し、例えばメーリングリストの活用を考えています。

現在 Galatea の開発は予算や組織の裏付けがなく、ボランティアベースで行われています。従って、できるだけ多くの課題について、利用してくださる方に参加していただき、オープンソース活動として研究・開発をする必要があります。

ただし、成果の公開が望ましくない、というご要望については、開発者が所属する大学等との共同研究などで個別に対応できます。一方で、これらのツールのサポートを営利事業として行う組織が必要ではないか、という考えもあります。ご意見をお聞かせください。

第50回研究会と今後の予定

福祉情報工学研究会のサイトを更新しました。

第50回研究会(2009年10月青森)の更新、2010年1月に行われるWIT研究会の「WIT 10周年・50回記念企画」の予定を公開しました。

さらに、2010年総合大会イベント企画(WIT提案予定)企画セッション「脳科学・言語発達研究と障害支援」についても記載しました。馬塚れい子先生(理化学研究所 脳科学総合研究センター)をお招きする予定です。

なお、第50回研究会のプログラムは公開済みですが、情報保障受付の締切は確認中です(西本も発表を予定しています)。

また、HCGシンポジウムの発表申込受付については、数日中に詳細をお知らせできる予定です。

吉野の世界遺産

夏休みをいただいて旅行をしてきました。奈良県の奈良市、桜井市、明日香村、吉野町のお寺や神社を訪ねました。電車とバスの旅です。

ひとつだけ強く感じたことを書きます。

吉野山の旅館を出発して、吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)に行きました。宿を出て急な上り坂を歩くこと数十分。バスも一日数本しかなく、車で登るにしても相当大変だと思われる場所です。

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吉野水分神社はユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部として登録されており、国宝と重要文化財のある神社です。

しかし、ガイドブックの写真からは想像できないくらい老朽化が進んでいると感じました。拝殿に展示された神輿には、壊れかかっているので触らないで、という趣旨の注意書きがありました。ユネスコの世界遺産登録証と思われる横文字の書類が無造作に拝殿の壁に貼られていました。

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桜のシーズンでないからでしょうが、訪れる人もまったくいない、静かな場所でした。楼門で受付の年老いた女性が一人で管理をされている様子です。

かろうじて鮮やかさを維持していた朱塗りの鳥居の前では、集落の住民の方々が座り込んで世間話をする、のどかな光景があり、その目の前を男の子が二人スケートボードで遊んでいました。

いくつものウェブサイトで訪れた方によって「思っていたよりも寂れていた」と報告されていますが、そんな生易しいことではない、という印象を受けました。

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屋根葺き替えへの寄付を募るパンフレットが置かれていました。あまりに心を動かされたので持ち帰ってきました。

(引用ここから)

本日は吉野山へのご来山、またその上千本の最上部に坐します当社へのご参拝、誠にありがとうございます。

当社現社殿は、四百年前豊臣秀頼公により再建され、特に本殿は主殿と脇の二殿とを一続きにした大変珍しくまた美しい桃山時代の代表的神社建築となっていますが、その檜皮葺の屋根は先の葺替より四十年余の時を経て、その腐みは著しく近年は毎年の小修理にて雨漏を防いでいます。

国の重要文化財の指定を受けており、葺替という事になりますと国等よりの補助も得られるかとは思いますが、何分にも当社の負担も相当額が予想されます。

しかし当社は交通の便も余り良くない為か参拝の方々も少なく、葺替費用の捻出に苦慮いたしております。

このままでは風化の途を辿るばかりとなり、広くご参拝の皆様方のご協賛をお願い致します次第です。

何卒この主旨をご理解頂き、ご協力下さいますようお願い申し上げます。

639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山1612 吉野水分神社

ご寄付振り込み先 郵便振替 加入者名 吉野水分神社 口座番号 00990-2-259396

(引用ここまで)

私の主張は、皆様に寄付を呼びかけたい、ということではないのですが、私自身はささやかな金額の寄付をまじめに考えています。

それよりも、私が驚いたのは、多くの地域で「さらなる世界遺産への登録を実現したい」という活動が盛んに行われているなかで、こういう観光客の訪れにくい場所で、ひとたび世界遺産に登録された文化財が、その維持を一般人の寄付に頼らざるを得ないくらい苦しんでおられる、という実態でした。

同じく世界遺産である吉水神社(よしみずじんじゃ)も訪ねました。拝観料を払って見学もしました。

南北朝時代の後醍醐天皇の居所(いわば皇居)であり、源義経や豊臣秀吉にもゆかりの場所として、多くの文化財が所蔵・展示されていました。しかし建物や展示物の保存状態は「世界遺産にしては大雑把なのでは」と不安に感じました。

先日、ユネスコがドレスデンのエルベ渓谷を世界遺産リストから抹消した、というニュースを見ました。建設中の橋が文化的景観を損ねるとされたためで、世界遺産を維持することよりも住民の経済性・利便性が尊重された結果、とのことでした。

吉野の世界遺産はまったく別の問題ですが、適切な維持ができなくなれば、吉野水分神社もやがてリスト抹消の危機に遭遇するでしょう。

2年前に同じ『紀伊山地の霊場と参詣道』にある熊野古道を観光ツアーで訪ねたことがあります。ツアーの一部に組み込まれることの物足りなさ、味気なさをそのときは感じたのですが、適切に管理されて観光の対象となることで、多くの人に監視され、なんとか維持されているという見方もできます。

吉野山の史跡は同じ世界遺産の一部とは思えないくらい異なる状況に置かれています。桜の季節の観光客に依存する状況ではないかと想像できますが、一年を通して観光客の目に触れることで、自国の文化遺産の状況が常に監視されるのではないでしょうか。

文化財を維持する地域の体制や行政はどうなっているのか、世界遺産登録の活動が行われた時点で将来の維持管理についてどのような展望があったのか、いろいろ疑問に感じることはあります。

でも、まずは自分が「いつかまた吉野山を訪ねよう」と思うことにしました。そして、そのことを一人でも多くの方に伝えたいと思い、この記事を書いてみました。

第50回研究会発表募集中

第50回(平成21年度第3回)福祉情報工学研究会(共催:音声研究会)

発表申込締切:2009年8月19日(水)になりました。

NHK放送技術研究所の今井亨氏による招待講演「リアルタイム字幕放送のための音声認識」を企画しています。懇親会も予定されています。

開催趣旨:

障害者・高齢者の支援においては,我々の最も身近なコミュニケーション手段である『音声』の果たす役割は大きいと考えられます.実際,近年の音声処理技術の発展により,音声処理技術の福祉応用が盛んになっています.一例として,聴覚障害者向けの音声認識技術によるテレビ放送や教育現場での授業内容の字幕表示,肢体障害者向けの音声認識技術による情報機器操作,視覚障害者向けの音声合成技術によるデータ放送・緊急放送・ウェブページの読み上げ,発話障害者向けの音声合成・音声生成・声質変換技術による発話支援,高齢者向けの話速変換技術による聞き取り易いテレビ・ラジオ放送,などが挙げられます.

本研究会では「福祉と音声処理」と題して,基礎段階の研究から上記のような応用研究まで,福祉と音声処理に関する研究を幅広く募集します.合わせて,福祉・音声処理それぞれの分野での一般のご発表も歓迎いたします.皆様の有益な議論・意見交換の場を提供したいと考えております.

  • 日時:2009年10月29日(木)~30日(金)
  • テーマ:福祉と音声処理,一般
  • 共催:音声研究会(信学会・日本音響学会)
  • 場所:青森県観光物産館アスパム(青森県青森市)
  • 世話役:神山 博 先生(青森公立大学)
  • 発表申込締切:2009年8月19日(水) 延長されました
  • 発表申込:電子情報通信学会の研究会発表申込システムをご利用ください。

島根県CMSの技術

「島根県CMS」はRuby on Railsで作られたオープンソースソフトウェアの行政機関向けCMSです。このシステムの中で音声合成エンジン GalateaTalk がどのように使われているかを理解し、今後どのように改良のお手伝いをしていくべきなのか考えたいと思っています。

以前「島根県CMS」について日記を書いてからずいぶん時間が立ってしまったのですが、やっとソースを眺めたり動かしてみたりする作業に手を付けました。配付パッケージに書かれているインストールの手順は複雑そうなので、あえてひねくれて手順を逸脱しながら作業してみることで、ちょっとでも内部の仕組みを明らかにできればと思います。

作業環境はUbuntu Linux 9.04です。

著作権法三十七条

法律の専門家ではありませんが、マルチメディア DAISY (およびテキストDAISY)の活動に関わっていることもあり、2010年1月1日の改正著作権法の完全施行でアクセシビリティを取り巻く環境がどう変わるのか、関心を持っています。

今回の改正は音楽コンテンツや検索エンジンなど、さまざまな情報通信技術に影響を与えるといわれているのですが、点字や録音図書のネットワーク配信に関わっておられる方によれば「10年前に点字配信が実現したころから残されていた課題」がやっと解決するらしいのです。

インターネットが障害の当事者だけでなく支援者にもさまざまな形で利用されうることが文化庁の理解を得た、というだけでなく「障害者権利条約」(日本はまだ批准していないそうです)への対応なども絡んでいるようです(関係者同士のお話を伺いながら勝手に想像しているだけですが)。

そんなわけで条文を確認してみました。「テキストファイルにパッチを当てるだけの作業」のはずなのに、なんだか自信がありません。ポイントは三十七条3項らしいのですが。。。

著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)

最終改正:平成二一年六月一九日法律第五三号

(点字による複製等)

第三十七条  公表された著作物は、点字により複製することができる。

2  公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。

3 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、公表された著作物について、専ら視覚障害者向けの貸出しの用若しくは自動公衆送信(送信可能化を含む。以下この項において同じ。)の用に供するために録音し、又は専ら視覚障害者の用に供するために、その録音物を用いて自動公衆送信を行うことができる。

(聴覚障害者のための自動公衆送信)

第三十七条の二 聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令で定めるものは、放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。以下この条において同じ。)について、専ら聴覚障害者の用に供するために、当該放送され、又は有線放送される著作物に係る音声を文字にしてする自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。

「平成二十一年六月十九日法律第五十三号 の未施行内容」が施行された後

(視覚障害者等のための複製等)

第三十七条  公表された著作物は、点字により複製することができる。

2  公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。

3 視覚障害者その他視覚による表現の認識に障害のある者(以下この項及び第百二条第四項において「視覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは、公表された著作物であつて、視覚によりその表現が認識される方式(視覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この項及び同条第四項において「視覚著作物」という。)について、専ら視覚障害者等で当該方式によつては当該視覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、当該視覚著作物に係る文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該視覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者により、当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。

(聴覚障害者のための自動公衆送信)

第三十七条の二  聴覚障害者その他聴覚による表現の認識に障害のある者(以下この条及び次条第五項において「聴覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で次の各号に掲げる利用の区分に応じて政令で定めるものは、公表された著作物であつて、聴覚によりその表現が認識される方式(聴覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この条において「聴覚著作物」という。)について、専ら聴覚障害者等で当該方式によつては当該聴覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、それぞれ当該各号に掲げる利用を行うことができる。ただし、当該聴覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者により、当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。

一  当該聴覚著作物に係る音声について、これを文字にすることその他当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うこと。

二  専ら当該聴覚障害者等向けの貸出しの用に供するため、複製すること(当該聴覚著作物に係る音声を文字にすることその他当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による当該音声の複製と併せて行うものに限る。)。

第50回研究会発表募集中

発表申込締切:2009年8月12日(水)です。招待講演・懇親会などが予定されています。

第50回(平成21年度第3回)福祉情報工学研究会

  • 日時:2009年10月29日(木)~30日(金)
  • テーマ:福祉と音声処理,一般
  • 共催:音声研究会(信学会・日本音響学会)
  • 場所:青森県観光物産館アスパム(青森県青森市)
  • 世話役:神山 博 先生(青森公立大学)
  • 発表申込締切:2009年8月12日(水)
  • 発表申込:電子情報通信学会の研究会発表申込システムをご利用ください。

twtr2src による第49回WIT研究会報告

一昨日の日記を書きながら「twitterの特定の日の発言をまとめる」というツールが欲しいと思ったら、ありました。

改めて、7月24日の第49回WIT研究会

の報告です:

  • 07:00 今日は山梨 http://www.ieice.org/~wit/
  • 10:09 WIT2009-48 山梨大学 大瀧さん発表。西本は座長。
  • 10:15 WIT会場の無線LANに接続。
  • 10:19 大瀧さん:移動行動推定と生理心理計測の統合。前者は加速度センサなど、後者は発汗(皮膚インピーダンス)
  • 10:36 大瀧さん質疑。行動判別は複数の特徴量の分布を利用。歩行は精度90%以上。課題は実験条件、地図情報と連携
  • 10:38 WIT2009-49 国リハ 中山さん発表。高次脳機能障害の実態調査
  • 11:09 中山さん質疑。もっと携帯電話の機能活用を。調査結果はキャリアや各団体に提供。高次脳機能障害に対する認知度が低い
  • 11:11 WIT2009-50 新潟大学 矢島さん発表 汎用シングルスイッチ まばたき検出
  • 13:08 矢島さん質疑:フォトセンサーを3つ使う理由?横ではなく縦に配置すべき?指入力とまばたきを同時に使えるとよい?まばたきは白目・黒目ではなく、まぶたの盛り上がりで検出。
  • 13:09 昼食(専門委員会)終了。これから WIT2009-51 伊藤さん(新潟大) マルチエージェント生産経済モデルのダイナミクスの評価
  • 13:12 伊藤さん:マルチエージェントの強化学習。社会格差のシミュレーション。
  • 13:38 伊藤さん質疑。評価尺度はなぜ経済効率と所得格差の2つ?経済活動はもっと複雑では?背景説明と実験結果がなぜ逆に?マルコフ性の仮定は妥当?なぜマルチエージェントを使った?
  • 13:39 WIT2009-52 発表者:小谷さん(山梨大) 視覚障害者向け自己位置推定システムにおける装置の研究開発
  • 14:06 小谷さん質疑。GPSは将来併用する。コストは低い。UIとして音声よりも振動を。センサの回転は3軸加速度センサと重力方向で補正可能。白杖にデバイスを付けたくない視覚障害者も?閾値の動的更新の精度?実験結果のルートと道路のずれ?気圧の変化で坂道がわかる
  • 14:07 第49回WIT。午後最初のセッション終了。休憩。
  • 14:16 WIT2009-53 前田さん(新潟大) 発表 新潟大学における視覚障害者のためのパソコン講習
  • 14:17 前田さん:地域貢献の取り組み。支援技術の開発に加えてリテラシー、人材育成。
  • 14:48 前田さん講演:学生TAが班に分かれて視覚障害者を指導する。質疑:TAの仕事は教えること。教員は直接は教えない。引き継ぎカルテが重要。質の評価をすべき?
  • 14:48 WIT2009-54 森さん(ロッタ) 次世代インテリジェント車いす「ひとみ」のメンテナンス
  • 14:50 森さん:ベンチャー企業で実用化した「盲導犬ロボット」がなかなか売れない。
  • 14:58 森さん:道路交通法をクリアするために「次世代インテリジェント車いす」を正式名称とした。既製品の電動車いすをベースに使用。さまざまな問題を克服。
  • 15:00 森さん:方位計測のためにシリコンジャイロ。ドリフト回避に起動後5分かかる。
  • 15:04 森さん:光電センサー2個による環境認識。取り付ける場所が難しい。
  • 15:08 森さん:対象とするユーザは白杖や盲導犬を使えない人。9割の人は家にこもっている。散歩に出かけたい。近所の人と交流したい。
  • 15:09 森さん:のちほど別会場で実演。走行中の画像処理表示、デモコースのティーチング、樹木の影や落ち葉などに対するロバスト性実験。
  • 15:18 森さん質疑:使っている人が周りにいないと理解できない?車と同じでブレーキやクラッチなど操作が必要。自治体に支援を依頼したい
  • 15:18 以上。WIT49終了。これからデモ。懇親会。
  • 20:15 WIT懇親会に参加せず特急で帰宅しました。

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出版と放送とTwitter

最近 Twitter にどんな機能があり、どんな使われ方をしているかを学ぶにつれて、Twitter を「放送的なメディア」だと感じるようになりました。

2001年に私と共著者は下記の発表

において

  • 我々は「放送」を、不特定の人に対して合理的かつ同報的に情報を伝達しようとする「通信の編集形式の一つ」と定義する

と主張しました。この主張を発展させた議論は http://radiofly.to/wiki の中でも続けられているのですが、「放送」の議論を進める前にまず「出版」についてお伝えしたいと思います。

今日もまた、全視情協(全国視覚障害者情報提供施設協会)さんの会議に、スーパーバイザーとして参加してきました。以前この日記で御報告しましたが、改正著作権法の施行(2010年1月)によって「点字図書館」の可能性が広がろうとしています。

視覚障害に対応する点訳・音訳の図書だけでなく、高齢者・ディスレクシア・聴覚障害など、さまざまな読書障害・情報障害に対応できる「出版のユニバーサルデザイン」として「マルチメディア DAISY」が期待されています。海外ではBOOKSHAREプロジェクトが積極的に活動をしており、例えば以下の関根さん(ユーディット)の記事で報告されています:

たとえ合成音声での読み上げを想定した「単なるテキストファイル」であっても、マルチメディアDAISYの一要素として(テキストDAISYとして)作られれば、読み手にとって「情報の構造に基づくナビゲーション」が可能になるだけでなく、図書館においても「電子的な奥付」が付与された「書籍」として扱えます。

さらに「テキスト版」「点訳版」「音訳版」などの書籍を「一つのマルチメディアDAISY書籍のサブセット」として扱えれば、同じ書籍の点訳版や音訳版の検索性を高めるメタデータとしても利用できます。点訳データには点字に対応する読み情報だけが、音訳データには音声ファイルだけが含まれており、検索は容易ではありませんが、テキスト版とリンクしていれば、読みたい本の読みたい場所を簡単に探すことができるわけです。

全国の点字図書館がとりまとめをしておられるボランティア活動の支援も、全視情協さんの検討課題となっています。私としては「点字版を作る」「音訳版を作る」という個別の作業の垣根を越えて「電子書籍の可能性」を広げていただける活動のお手伝いができればと感じています。

こうした議論を通じて私は、DAISY があくまでも「書籍の出版」のメタファを逸脱しないように注意深く活動を進めておられると感じています。それに対して、全視情協さんがもう一つ検討しておられるのは「書籍というメディアを超えた地域密着型の情報サービス」です。

私は意見を求められて「地域情報の件は、DAISY技術による「出版サービス」ではなく、むしろ「放送」だということを意識していただきたい」と発言しました。

そして、会議終了後に、いま私が「放送的なサービスの代表格」だと考える Twitter の紹介を(私の理解した範囲で)させていただきました。

正直なところ Twitter が現状の仕様のまま万人に広まるかどうかはわかりません。しかし既存の Web 上のサービスが持つ「出版的な部分」を徹底的にそぎ落とした結果生まれた「放送的なサービス」であると思います。

例えば Twitter では「ある構造を持ったひとまとまりの情報を『何月何日付け』として発信する」のは不得意です。(だから先ほど私は Twitter での発言の「まとめ記事」をブログに書いたわけです)

Twitter は「時間を超えるメディア」ではありません。時間を超えるメディアの考察は1年前に下記で行いましたが「ニコニコ動画」のような蓄積型の放送ではありません。

Twitter はあくまでも「生放送」です。しかし、

  • 不特定の人に対して合理的かつ同報的に情報を伝達しようとする「通信の編集形式の一つ」

という放送の定義を Twitter に当てはめると

  • 誰をフォローするか

という単純な操作が「自分にとって合理的な情報」を選ぶことに対応しています。逆に言えば、それ以上なんの操作も必要ない(できない)ということが「放送的」です。

そういえばミクシィで「マイミクシィ」「コミュニティ」を選ぶことで同じような感覚が得られました。私が2005年にIPA未踏ソフトウェアで採択された「ソーシャルネットワーキング型ラジオ番組のシステム開発」http://ora-be.nishimotz.com の最初の着眼はまさにこの感覚でした。

「生放送的なメディア」である Twitter は、遠い過去の情報を検索することは得意ではなく、むしろ「フレッシュな情報」にこそ意味があるし「空間を超えた時間の共有」という感覚を強く持ちます。

「人を選ぶこと=情報を選ぶこと」というコンセプトは決して新しいことではありませんが、特に情報システムの世界で普遍的になりつつあると感じます。例えば分散バージョン管理システム git および github.com に関する下記の記事

はソフトウェア開発という課題において「誰もが発信者になれる時代」の情報管理術だと考えられます。

「日記と掲示板=ソーシャルネットワーク」ではなく、具体的な目的と作業のために人と人が合理的に関わって情報を共有することこそが重要です。「ミクシィ的」なコミュニケーションにこだわらず、コミュニケーションを「出版的な機能」「放送的な機能」の諸要素に還元する発想が本質的に重要です。

ダイレクトメッセージやReTweetといった独特の流儀は、やがてもっと洗練されたインタフェースに進化していくのではないかと思います(「引用の流儀」はまさに私が10年くらい前に研究していたテーマです)。マルチメディア化されたTwitterがもし実現するとしたら、それは素直に誰もが受け入れる可能性の高い「参加型テレビ」「参加型ラジオ」になるのでしょうが、そういう段階がありえるのか、あり得ないからこそ現在の「140文字のツイッター」の価値があるのか。

私もイノベーションの傍観者ではなく当事者として(しつこく)関わっていきたいという思いを新たにしています。

つぶやき@WIT49

2009年7月24日に山梨大学で開催された第49回福祉情報工学研究会において、西本が研究会中に http://twitter.com/nishimotz で行った発言を以下に転記します。主に質疑応答を記録したつもりなので、参考になれば幸いです。

Twitter は「空間を超えて時間を共有するメディア」だと思うのですが、過去のある時期の記事をまとめて読むメディアとしてはふさわしくないように感じます。

以下、手作業でコピー&ペーストしたのですが、本当はこういう作業のための専用ツールが欲しいところです:

追記(2009-08-06):twtr2src 版を作成したので下記をご利用ください