写真 青い空と雲と建物と木々の緑

nishimotzの日記

  • 音声によるインクリメンタル検索

    擬人化エージェントの研究から派生したアイディアだが、ちょっと前に作って放置していたデモをビデオにしてみた。

    • 西本 卓也 他: “探索的検索のための音声入力インタフェースの検討,” 情報処理学会研究報告 2008-HCI-127(2), pp.9-14, Jan 2008.

    ビデオの作り方に関するメモ。Snagit 9 でデスクトップをビデオキャプチャしたら、ちゃんとマイク入力も取り込んでくれる。VideoStudio 12 で編集。タイトルだけのところは黒の「カラークリップ」で作る。キャプチャした映像は画面サイズが不均一なので、オーバーレイトラックに乗せる。最後は1080×720のWMVに落として、YouTubeにアップロード。

    考えていただきたいポイントは「ユーザが入力したいものの名前を言っている間に、常に意味のある反応をし続けること」の効果である。前半ではそれが無効になっており、後半では有効になる。

    このこと自体は多くの研究で主張され続けてきたが、具体的な手段についてはいろいろあっていいはずだ。だからこのデモでは「選択肢そのものをつかんで触る」というインタラクションと組み合わせてみた。

    スライドと予稿はこちら。

    この研究そのものは中断しているが、少なくとも「常に情報を受け取りながら意味のある反応を実時間で行う」という目標は、擬人化エージェントの制御に必要な要素だと考えている。

    お弁当を選ぶだけなら話は簡単だが、一般的に「意味のある反応」のための実時間制御を作り込むのは簡単ではない。現在取り組んでいる手法について、近いうちに御報告できると思う。

  • フェルマーの最終定理

    結城 浩『数学ガール/フェルマーの最終定理』を読ませていただいた。

    数学ガール/フェルマーの最終定理
    結城 浩
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    読み進めながら、私が子供のころ読んだ三省堂「数学バイパス」シリーズのことを思い出した。私が読んだ本の情報は出てこないが、新版の情報があった:

    (さらに…)

  • 地域通貨と自発性

    いまさらながら梅田望夫さんの「ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!」を読ませていただいた。

    前々から気になっていた本で、とてもポジティブなメッセージを得ることができた。

    書かれている主張にもだいたい納得できたが、自分の仕事の現場に当てはめて考えてみると、気になることがあった。

    • 「「誰かにやれと言われたから」という理由で何かをするな」(自発性)
    • 「成功したアントレプレナーはマイクロマネージャーだ」(トップの細部への目配り)

    これを両立することが、意外に難しい。自発的に何かをしようとしている人の仕事に、スーパーバイザーが納得できなくて、つい手を出してしまう。

    私もマイクロマネージャー的な性癖を持っている。頼んだ仕事のソースコードをのぞき込んで何か言いたくなる。常に口出しをし続けたいから、新しい技術や流行のプログラミング言語にいつも手を染めたいと思っている。

    マイクロマネージすれば成果は出るし、マイクロマネージが「教育」になることも多い。だが、せっかく自発的にやろうとしていた人に対して、「こんなにダメ出しされるのなら自発的に動いても無駄だ」と思わせてしまうと、やる気がしぼんでしまう。結果的にマネージャー以外の人はどんどん無気力になる。マネージャーはマイクロマネージすべき仕事が爆発的に増加する。

    こういう事例を考えると「未来を切り開く言葉」と「未来を真っ暗にする言葉」は紙一重なのではないか、と不安さえ感じる。だが。。。

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    いま「自発性」が根っこに潜んでいると思われる問題が、世の中にも自分の現場にも山積している。そんな中で、先週末、茶人・陶芸家の為公史さんと久しぶりに会って話をして、気づかされた。

    マイクロマネージされた部下が自発性を奪われるのは「部下に手柄を渡さないから」である。

    曰く「究極のマネジメントは邪魔するふりして軌道修正する」のだそうだ。私はその極意に達することができるだろうか。。

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    地域通貨が自発性をコントロールできる可能性についても、深く話し合った。

    そういえば「人力検索はてな」や「Yahoo知恵袋」におけるポイントのやりとりも、一種の地域通貨なのかも知れない。

    地域通貨にはいくつかユニークな特性がある。所持すること・使うことそのものの面白さ、金額という数字に込められる感情や感謝の気持ち、現実の通貨との価値換算を自由にコントロールできること、などなど。。

    コミュニティが発行する通貨に止まらず、個人が通貨を発行し合って、自由に交換しあうと何が起こるだろう。年賀状をやりとりするように通貨を発行し合うことができたら、何が起こるだろう。。

    とはいえ「誰かの役に立つことの喜び、内発的動機付けに気づけば、地域通貨は自然に必要がなくなる」というのが、子供キャンプで地域通貨を使い続けてきた為さんの意見だ。

    こうした考察のプロセスは今後、私の個人プロジェクト “Slowly” でもお伝えしていきたい。