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nishimotzの日記

  • NVDA日本語版 2014.1jp を公開しました

    無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダーNVDA (NonVisual Desktop Access) の日本語対応をすすめる NVDA 日本語チームは、2014年3月20日に最新の日本語版 NVDA 2014.1jp を公開しました。
    ダウンロード: http://i.nvda.jp
    なお 2013.3jp で一般設定「自動的に確認してNVDAを更新する」を有効にしていればこの更新が通知されます。
    NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。
    Windows 8.1/8, 7, Vista, XP(SP3) の32ビット版および64ビット版に対応しています。
    Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。
    以下は対応しているアプリケーションの一部です:

    • Webブラウザー (Mozilla Firefox を推奨、 Microsoft Internet Explorer, Google Chrome にも対応)
    • Adobe Flash Player によるアクセシブルなコンテンツの操作
    • 電子メールクライアント (Mozilla Thunderbird, Windows Live Mail, Outlook に対応)
    • Microsoft Office アプリケーション Word, Excel, PowerPoint の主要な機能(対応バージョン2003, 2007, 2010, 2013)
    • LibreOffice (バージョン4.1.5および4.2.2で動作確認、Java7u51を使用)
    • Skype for Windows デスクトップ(バージョン6.14で動作確認)
    • Apple iTunes for Windows
    • Twitter クライアント Tween
    • 日本語入力システム(Microsoft IME, Microsoft Office IME および ATOK を推奨、Google 日本語入力にも対応)
    • Adobe Reader によるアクセシブルな PDF 文書の読み上げ
    • Adobe Digital Edition によるアクセシブルな EPUB 書籍の読み上げ
    • AMIS によるオーディオ DAISY およびマルチメディア DAISY 書籍の読み上げ
    • テキスト編集 サクラエディタ(バージョン2.1.1.1で動作確認) Notepad++

    以下は利用できる点字ディスプレイの一部です:

    • ケージーエス ブレイルメモシリーズ(ブレイルテンダー、ブレイルメモポケットを含む)
    • ケージーエス ブレイルノート 46C/46D/46X
    • HIMS ブレイルセンス・オンハンド(日本語版を含む)
    • 日本テレソフト 清華シリーズ

    オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
    NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
    2014.1 では Microsoft PowerPoint 2013 への対応、書式設定「クリック可能の通知」オプションの追加、WAI-ARIA 対応の改善、 高解像度ディスプレイ対応の改善、その他にも多くのバグ修正が行われました。
    対応する Windows のバージョンは Windows XP SP3 以降になりました。
    NVDA は世界40以上の言語に対応していますが、音声エンジンと点訳エンジンは日本語に対応していません。
    そこで NVDA 日本語チームは、日本語音声エンジンと点訳エンジンを搭載したNVDA 日本語版を独自にリリースしています。
    以下は日本語版 2014.1jp での変更点の概要です。
    (1)不具合の修正
    簡単音声設定で JTalk の速さが5ずつ変化しない不具合、IME 使用時の別幅空白(Shift+スペース)の読み上げ、キャレットが行頭にある場合の点字ディスプレイのカーソル位置の不具合、一部のアプリケーションの複数行エディットで改行が正しく処理されない不具合などを修正しました。
    (2)音声合成エンジン JTalk および点訳エンジンの改善
    音声合成エンジン JTalk を Open JTalk 1.07 に基づく実装に更新しました。
    またテキスト解析の辞書や点訳エンジンの処理を改善しました。
    ただし出力の正確さを保証するものではありません。
    (3)その他の改善と変更
    「コマンドクイックリファレンス」の翻訳を「コマンド一覧表」に変更して、ユーザーガイドや入力ヘルプの翻訳や用語の整合性などを改善しました。
    外部アプリケーションから NVDA 日本語版を制御する API に、動的に読み上げを ON/OFF する機能を追加しました。
    2014.1jp での変更の詳細はNVDA日本語版の説明をご覧ください。
    NVDA日本語版の不具合やご要望は新規チケット登録またはメールアドレス nvdajp@nvda.jp でお知らせください。
    NVDA日本語チームはNVDA日本語版の開発について公開で議論をしております。
    メールでいただいたご意見は、個人を特定できないように修正して公開させていただくことがあります。
    NVDA 日本語版の情報
    NVDA 日本語チーム活動報告
    NVDA 日本語チーム 代表 西本

  • WAI-ARIA と NVDA

    LT駆動開発 01 – 発表することで勉強しように参加してきました。
    テーマを設けずにみんなでライトニング・トークをして発表のスキルを磨こうということで、今回が最初の勉強会でした。
    今後は定期的に開催されるとのことです。
    誰でも気軽に入れるようにしたいという気持ちはわかるのですが、主催者が「裏でこっそり」はよくないかと。。みんなでちょっとずつ会場代を負担させてもらいました。
    「会場費を払うスポンサー 緩やかに募集」だそうです。
    私は WAI-ARIA と NVDA というテーマでしゃべりました。デモの段取りが悪くてすみませんでした。。

    スライドにも書きましたが、喋ったこと、喋るべきだったことを「ふりかえり」しておきます。
    日本語スクリーンリーダーとWAI-ARIAというブログ投稿によると、 NVDA 日本語版は日本語環境で使えるスクリーンリーダーとしては WAI-ARIA 対応が充実していると言えるでしょう。
    しかし Windows 以外の環境である Mac や iOS, Android などにも目を向けると、モダンなブラウザはどれも WAI-ARIA などのアクセシビリティ規格への対応を進めており、しかも OS 標準のスクリーンリーダーが無料または安価に利用できるわけです。
    モダンなWebアクセシビリティ環境を、誰にでも使えるようにするための手段が、オープンソースのスクリーンリーダー NVDA ということになります。
    海外では最近 Window-Eyes for Office の無料提供が発表されて状況が変わりましたが、日本ではまだ無料のスクリーンリーダーといえば NVDA 日本語版だけという状況です。
    Windows のバージョンにかかわらず最新版を利用できる Firefox と NVDA という組み合わせは、いずれWeb制作者がスクリーンリーダー利用者に推奨せざるを得ないようになると思っています。
    今回は「王道としての説明」で、ランドマークなど「マークアップに意味的構造という属性を追加する」話をして、「邪道としての説明」で、ライブリージョンという機能がWebアプリケションから音声合成エンジンを叩く方法として使えることを話しました。
    後者は広島市の動画サイトの実例があり、NVDAとFirefoxの組み合わせで使ってくださいと書かれています。
    WAI-ARIA についての自分の覚え書きページに、その他のリンクや情報を書いています。
    そういえばAngularJS と NVDA という記事も去年に書きました。AngularJS はアクセシビリティを損なわずに開発を効率化してくれそうで、よさそうだなあと思って、それっきりでしたが、今日のLTを聞いてまた何かに使ってみようと思いました。。
    おまけ、自己紹介で触れた話:Higglety Pigglety Pop! or There Must Be More to Life

  • モバイル見積もり勉強会 IN 広島に行ってきた

    モバイル見積もり勉強会 IN 広島に行ってきました。
    下記のような見積もり勉強会が最近関西や東京で開催されるようになり、ぜひ広島でもやろうと企画されました。
    WordPressサイトを構築するといくらかかる? 見積り勉強会で価格を出してみた
    カレー屋チェーン店公式アプリの仮想案件をみんなで見積もってみた #モバイル見積
    最少催行人数が最初は10人だったはずですが、けっきょく9人で開催。
    あの人が東京から駆けつけて、お土産の東京ばな奈が美味しかったです。ありがとうございました。
    発注側役から、架空案件とは思えないほど具体的に準備された資料が提示され、チームに分かれて見積もりです。
    3チームを作れるほどの人数が集まらず、3人ずつの2チームとなりました。
    私のチームは「最初にリスクを洗い出す」ということで、ハイブリッドよりもネイティブアプリのほうがリスクが少なく安全な見積もりができるという話に。なるべく早くベータ版をストア登録申請する、といった提案が盛り込まれました。また、管理工数として週1回の打ち合わせに相当する費用が計上されました。
    項目ごとの人月を決めるときには、まず相対的な作業量の見積もりをして、最後にそれぞれの項目に係数をかける、というやりかたをしました。
    もう一つのチームはHTML5を使う提案だったり、「これがあったら喜ばれる」という工夫が盛り込まれていたり、こちらのチームといろいろ違っていて興味深かったです。
    相見積もりの金額のばらつきは技術者の見解の相違であり、発注側の要注意ポイントになる、だそうです。
    ディスカッションでは、受注者としての日頃の苦労や工夫、この案件のどこがどう「地雷」なのか、興味深い「ここだけの話」がたくさんありました。
    「見積もりをどうすると発注者・受注者ともに良いかを考えましょう」というのがこの勉強会の目的だったはずなので、帰宅して改めて考えてみたのですが。。
    私のチームの人は「本当は正確な見積もりなんかできない」「要求通りに作っただけでお客さんのニーズが満たせるとは思えない」という本音がありつつ、今日は時間がないのでとにかくルールに従って数字を埋めた感じでした。もっと「アジャイルな開発」「リーンなスタートアップ」をやりたい受注者は、今回のような見積もり要求に対してどのように応えるべきなんでしょうね。。
    「発注者は機能に対してお金を払いたい」
    「受注者は人と時間の拘束に対してお金を受け取りたい」
    この現実のギャップを垣間見た一日でした。
    残念ながら参加者が少なかったので、広島でまたこういう見積もり勉強会が開催されますように、という期待を込めて、見積もりの苦手な私がこうしてブログを書きました。