如法会2の報告を書いていただいたのですが、過大に評価していただいたようなので言い訳を書きます。
私のトークはこういう内容でした。
Pythonで統計や機械学習という記事、文献、書籍がこの1年くらい日本語でもどんどん出版されています。
私は英語の書籍も含めてそうした資料をいろいろ読んでいて「いわゆる PyData とオリジナルの Python は本当に同じ言語仕様なんだろうか」と疑問に感じてきました。
そこで NumPy が Python という言語をどのように拡張しているのか、という観点から資料を探していたら見つけたのが神嶌さんの「機械学習とPythonとの出会い」でした。
無料で公開されている文献なら紹介しやすいし、単純ベイズだけを扱っているので、やりたいことはわかりやすい。通して読んでみたのですが、さて勉強会で紹介するとしたら「単純ベイズ」のところだけが難しく感じられるだろうなあ。そう思って準備したのが「『機械学習とPythonとの出会い』との出会い」でした。
このテキストを説明しようとして、別の文献をいろいろ読むことになったので、私自身も勉強のきっかけになりました。また、いわゆる Jupyter Notebook をスライドのように使う方法もあわせて勉強させてもらいました。
1990年代の音声認識技術からパターン認識の分野に関わったので、ひとつのアプリケーションで有用な技術がどう他の対象に応用できるか、といった発想で物事を考えることはあいかわらず多く、そういうことが(データさえあれば)すぐに形にできる時代になったのはすごいことだなあと思いつつ、一見時代遅れのパターン認識手法をどこかでしゃべるのも、なにか新しいことに役立つかも、と思ったりもします。
Pythonのエコシステムが機械学習をコモディティ化してしまった現実に凄まじさすら感じた、というのが私にとっての PyCon JP 2016 でしたが、オマケのように喋ったのが「2つのPython」というキーワードでした。
Python 2 と Python 3 ですよね、と思われるかも知れませんが、もうその話は終わってたんだな、ということを東京で納得してきました。
むしろ新たな「2つのPython」は、簡単に言えば pip でパッケージ管理される公式 Python の世界と、Anaconda に代表される数値計算コミュニティ向け Python の世界ですね。いろいろ温度差があるということを薄々感じ始めています。。
このニーズや方向性の微妙に違う2つのコミュニティが関わり合って未来の Python が作られている、その現場を私は PyCon JP で見た気がしました。
コミュニティが分断されないためには多様性が尊重されるカンファレンスの場が必要なのだ、ということも強く感じました。
如法さんのブログでは PyCon mini Hiroshima 2016 (11月12日開催)でこの続きが聞きたいと書いておられましたが、取っておこうと思ったことを如法会で喋ってしまい、大したことでもなかったな、と思えてしまったので、私はたぶん別の話を(時間があれば)すると思います。
実は講演プロポーザルの締切を10月5日まで延長したので、まだ講演の提案をお待ちしているところです。詳しくは connpass をご参照ください。最後はまたイベントの宣伝になってしまってすみません。
nishimotzの日記
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如法会 2 と「2つのPython」
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PyCon JP 2016 ポスター発表: NVDA の開発とコミュニティ活動
9月21日と22日の2日間、PyCon JP 2016 に参加しました。2日目に「スクリーンリーダー NVDA の開発とコミュニティ活動」というポスター発表をしました。多くの人に見ていただけたようです。長い時間をかけてこちらの話に付き合ってくださったかたも多かったです。
23日には開発スプリントのリーダーとして、NVDA 日本語版の開発の具体的な作業を紹介、そして Python でアドオンを開発するチュートリアルなどを行いました。メンバー4人で楽しくハッカソン的な時間を過ごしました。
NVDA日本語チームは2013年からユーザーを対象にしたイベントを行ってきましたが、今年、方針を変更してこういう技術者向けイベントに参加しました。結果として、より多くの人にNVDAを知ってもらったり、コミュニティのメンバーを広げたりする手段になったと感じています。
特に今年の PyCon JP は「多様性」がキーノートや講演でも取り上げられました。そのような中で、アクセシビリティの話が、多様性についての視野を広げるお役に立てていたらうれしいです。
PyCon JP の参加を通じて得た知識、気づいたことなどは、また改めて書いたり喋ったりしたいと思います。
11月12日開催の PyCon mini Hiroshima 2016 も「視覚や聴覚に障害をお持ちのかたを含めて、 誰にでも参加して楽しんでいただけるイベント」を目指しています。発表のプロポーザルを9月30日まで募集しています。
それから10月2日に広島での勉強会で Python と機械学習をテーマにLTをしようと思っています。こちらもよろしくお願いします。 -
PyCon mini Hiroshima 2016「広島とPython」 #pyconhiro #pyconjp
プログラミング言語 Python (パイソン)が気になりはじめた広島の皆様、広島のことが気になっていた全国の Python ファンの皆様のために、今年も PyCon mini Hiroshima を開催します。
開催日は2016年11月12日(土曜)、会場は広島市立大学サテライトキャンパス(広島市役所のすぐ前)です。
これから connpass サイトでの参加募集(および講演の申込受付)を開始します。
2015年11月22日、第1回 PyCon mini Hiroshima の基調講演は石本敦夫さん「Pythonの肩にのる」でした。
一人前のプログラマになるための勉強は果てしなく続く。でも焦ることはない。なにかひとつの技術やプロダクトに深く関わることが重要。
深く学ぶほど大きく広がる Python の世界はその理想的な入口のひとつ。
そんなことをご自身の20年の経験を踏まえて語っていただきました。
たまたま NVDA という Python プロダクトの活動(NVDA日本語チーム)をきっかけに Python を深く学ぶことになり、日本の Python の技術者やコミュニティの素晴らしいパワーに触れる機会を得てきた私には、自分の気持ちととても重なった内容でした。
半年以上が過ぎたいま、Python やその関連プロダクトは、広島の技術者の勉強や仕事に役立ち始めているでしょうか?
広島での PyCon mini の第2回となる今年は「広島から発信しよう」を目指しています。
県外から著名人をお招きしてお話を伺うことよりも「広島で Python がどう使われているのか」「広島で Python 技術者にどんなチャンスがあり得るのか」といった話題を持ち寄って、なにかを生み出したいと思います。
まず「広島で暮らす人々」「広島に観光で訪れる人々」をターゲットに「人間の言葉を理解するコンピュータ」の研究に取り組んでいる広島市立大学「言語音声メディア工学研究室」の関係者にご協力をお願いして、「広島とPython」の接点を探ります。
また IoT (Internet of Things) に適した言語としての Python という側面(例えばハードウェアの制御も Web APIの利用も Python から簡単にできたりします)を掘り下げていくために、今年立ち上がったフレッシュなコミュニティ IoTLT 広島と LT セッションを共同開催します。
スペシャルトークの火村智彦さんには「私はいま広島で○○というプログラミング言語を使っているけど、Python も勉強した方がいいのかな?」と思っている人に刺激を与えるようなお話をお願いしています。どんな内容になるのか、私もまだわかりませんが楽しみにしています。
今年、日本の Python コミュニティでは、初学者向けの勉強会(BootCamp)など新しい取り組みが各地で始まっています。
また Python を基盤にしたビッグデータ、機械学習、インフラ管理など、いろいろなツールのコミュニティも広がりつつあります。
この第2回 PyCon mini Hiroshima を、広島での継続的な Python コミュニティ活動のきっかけにと願いつつ、まずはご参加のご案内をさせていただきます。
講演テーマ募集は9月30日を締切とさせていただく予定です。
参加申込とあわせて、お気軽にご提案いただければ幸いです。