すでにお知らせしているNVDAワークショップ(9月16日)に続いて、翌日にNVDA開発者と進める意見交換会を開催します。
意見交換会では、スクリーンリーダーで日本語を扱うための機能について意見交換を行い、海外からお見えになったNVDAの開発者にその場でお伝えします。
日本語での発言や質問はボランティアとスタッフが英語への翻訳を行なう予定です。
この意見交換会だけに参加されるかたは、チケットの購入は不要です。
会場は産業技術大学院大学(東京都品川区)、時間は14時00分から17時00分です。
ワークショップ概要のページもご参照ください。
2日間を通してイベントの情報を事前にお知らせするためのメーリングリストも開設しました。
お問い合わせは nvdajp@nvda.jp (担当:西本)にお願いします。
タグ: nvda
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NVDA開発者と進める意見交換会(9月17日)
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NVDA日本語チームのサイト開設
NVDA日本語チームは team.nvda.jp のサイトを開設しました。
これはNVDA日本語チーム 運営規約を決めたときに、寄付や支援をしてくださるかたへの情報提供を行うために、会計を担当してくださる高地 範弘さんのご提案によるものです。
新しいサイトでご案内していますが、先日、NVDA日本語チーム名義の銀行口座を開設しました。
ありがたいことですが、日本でのワークショップ開催を支援するために、募金の問い合わせや、振り込みのご報告をいただいています。
NVDA日本語版の開発を代表する私の立場から、できるだけ誤解のないように、NVDA を支援する枠組みを説明したいと思います。
ユーザーの立場からNVDAを支える方法のひとつは、NV Accessへの募金です。
ユーザーの定期的な募金は NVDA の継続的な改良を支えます。私も少額ですが PayPal で毎月募金をしています。
しかし、一般的に、オープンソースソフトウェアにおいて、フルタイムの開発者がユーザーからの募金で支えられる、という事例は、ほとんど前例のない、難しいものだと思います。
NVDA の開発母体である非営利団体 NV Access は、企業や団体と契約をして、特別なコストがかかる改良や拡張の要望に応えています。
最近のトピックとしては、印刷物や電子書籍のフォーマット PDF に関する標準化団体 PDF Association が NVDA への支援を発表しました。
標準化活動においては、標準規格と、その規格を満たす実装の両方が重要です。NVDA は過去にも Windows のアクセシビリティAPIへの対応や、Web コンテンツのアクセシビリティ規格への対応などを行い、標準化活動を支えながら、資金提供を受けてきました。
中国語の入力メソッド対応も、開発に必要なコストを NV Access が提示し、台湾と香港の団体が資金提供を行っています。
開発そのものはオープンに進められているので、日本語チームは日本語環境での動作を確認したり、情報を提供したりしています。
しかし「日本語で使うにはこの実装は不都合だが、中国語では問題ない」という状況になったときに、日本語チームの仕事が残ります。
解決方法の一つは、日本語対応の開発を NV Access に委託することです。
NVDA日本語版はいままで NV Access からの「公開された情報」に基づいて、独自に日本語対応の拡張をしてきました。
NVDA日本語チームの技術力や開発力は十分ではありません。
例えば入力メソッド対応については、中国語対応の実装が完成したら、その実装を日本語のために手直しすることで、互換性や安定性は向上すると思います。
日本のスクリーンリーダー利用者が必要としているのに NVDA に実装されていない(される見込みがない)機能はたくさんあります。
日本における開発体制をもっと充実させるべきなのか、日本がグローバルな開発をもっと支援するべきなのか、もっと「大きなこと」を考えるべきなのか。
日本の NVDA ユーザーや関係者のみなさまに、このようなことを検討していただくために「日本でユーザーと開発者の交流の機会を作ろう」と思いました。
これが日本で NVDA ワークショップを企画した目的です。
当面は資金援助の呼びかけは、ワークショップ開催だけの目的であることをご理解いただければ幸いです。
会計や監査をふくめて実行委員の体制が整い、多くのかたにご協力いただけることをありがたく思っています。
ワークショップについては、準備や当日のスタッフを募集しております。
また、参加において特別な配慮のご要望があれば、お早めにお知らせください。
ご不明なことがあれば 西本 nishimotz@gmail.com 宛にご連絡いただければ幸いです。
追記(1):PyCon JP チケット購入が PayPal でできない件について という記事が公開されています。
追記(2):NVDA Workshop in Japan 障がいをお持ちの方の誘導者の方の入場は無料になりました。 -
9月16日 NVDA Workshop in Japan のお知らせ
9月15日(土曜)から17日(月曜・祝日)にかけて行われる Python 開発者のイベント PyCon JP 2012 の併催イベントとして、NVDA 日本語チーム は NVDA Workshop in Japan を開催します。
会場は東京都品川区の産業技術大学院大学です。
9月16日(日曜)には、オーストラリアから NVDA の開発者を、また台湾から NVDA の東アジア言語対応の担当者をお招きして講演を行います。このプログラムに参加されるかたはPyCon JP への参加登録が必要です。登録受け付けはすでに始まっていますのでお早めにご検討ください。
ワークショップの概要は以下のとおりです。
NVDA (Non Visual Desktop Access) はオープンソースのスクリーンリーダー(視覚に障害がある人が音声や点字でコンピューターを操作するための支援ツール)で、Python 言語で開発されています。
日本におけるNVDAのコミュニティは2010年頃から、日本の Python 開発者コミュニティの皆様の協力を得て、NVDAを日本語で使うために必要な機能(音声合成、かな漢字変換、点字出力)の開発を行ってきました。
NVDA の開発母体である非営利組織 NV Access Inc. は、東アジア言語拡張のプロジェクトを2012年5月にスタートしました。これは台湾と香港の団体の資金提供でスタートし、インプットメソッド(IME)対応の正式な開発が始まりました。このプロジェクトには NVDA 日本語チームのメンバーも参加しています。
中国語、韓国語、日本語などのマルチバイト文字を処理する支援技術は、実装が複雑であるうえに、それぞれの言語に根付いた文化の影響を強く受けています。例えば、日本のスクリーンリーダー利用者が長年にわたってなじんだ日本語のかな漢字変換の読み上げ方法は、中国語の漢字を選択する台湾のスクリーンリーダー利用者のインターフェースとは同一ではありません。さらに、日本の点字システムは世界から見ると非常に独特で、世界のほとんどの言語で利用されている点訳ライブラリが日本語では利用できません。
東アジア言語の支援技術に関わる技術者やユーザーが、このような状況を相互に理解しあう機会は、なるべく多いほうがよいと考えます。
もう一つの重要な課題は、寄付や募金に依存している NVDA プロジェクトを今後どのように支えていくかということです。
NVDA 日本語チームは日本における非営利の開発者グループとして、正式に発足したばかりの団体ですが、この NVDA 東アジア言語拡張プロジェクトに開発メンバーとして関わるだけでなく、資金援助もしたいと考えています。
そのために、日本でも、視覚に障害のあるかたの当事者団体や支援団体の皆様に、NVDA の開発がどのように行われているのか、NVDA がいま世界でどのように普及しつつあるのか、もっと知っていただきたいと考えています。
NVDA 日本語チームはこのような問題意識から、NVDAの主要な開発者のおひとりであるオーストラリア NV Access Limited の Michael Curran 氏を日本にお招きすることにしました。
さらに、台湾で NVDA の普及活動や開発のリーダーシップを取っておられる Taiwan Digital Talking Books Association の Jerry Wang (王建立) 博士をお招きします。
さらに今回 DAISY コンソーシアム 前代表の 河村 宏 氏にもご参加いただき、インクルーシブな社会発展のためにオープンソース技術、オープンスタンダード技術がどのように貢献できるかを、DAISY プロジェクトの経験からお話いただくことにしました。アクセシブルな電子書籍の標準技術である DAISY の理念は、「視覚に障害がある人が追加のコストを負担せずにコンピューターが使えるようにしたい」という NVDA の理念と重なるものと考えています。
9月16日の講演は15時15分から18時30分の予定です。PyCon JP 2012 プログラムをご参照ください。
9月17日の予定は調整中です。現時点では PyCon JP 2012 のスプリント(開発者が参加する自由な形式の活動の場)に NVDA コミュニティとして参加する計画です。スプリントだけに参加されるかたは、PyCon JP の参加登録は必要ありません。
この企画は NVDA 日本語チームのボランティアによって進められています。ゲストの渡航費用や運営経費の一部は、寄付や募金によって賄う予定です。
翻訳、記録、移動支援など、いろいろなスタッフが必要になると予想しています。
イベントへの参加や支援について、お気軽にお問い合わせください。
問い合わせ先:メールアドレス nvdajp@nvda.jp
ワークショップの公式サイト http://workshop.nvda.jp