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nishimotzの日記

  • 9月16日 NVDA Workshop in Japan のお知らせ

    9月15日(土曜)から17日(月曜・祝日)にかけて行われる Python 開発者のイベント PyCon JP 2012 の併催イベントとして、NVDA 日本語チームNVDA Workshop in Japan を開催します。
    会場は東京都品川区の産業技術大学院大学です。
    9月16日(日曜)には、オーストラリアから NVDA の開発者を、また台湾から NVDA の東アジア言語対応の担当者をお招きして講演を行います。このプログラムに参加されるかたはPyCon JP への参加登録が必要です。登録受け付けはすでに始まっていますのでお早めにご検討ください。
    ワークショップの概要は以下のとおりです。
    NVDA (Non Visual Desktop Access) はオープンソースのスクリーンリーダー(視覚に障害がある人が音声や点字でコンピューターを操作するための支援ツール)で、Python 言語で開発されています。
    日本におけるNVDAのコミュニティは2010年頃から、日本の Python 開発者コミュニティの皆様の協力を得て、NVDAを日本語で使うために必要な機能(音声合成、かな漢字変換、点字出力)の開発を行ってきました。
    NVDA の開発母体である非営利組織 NV Access Inc. は、東アジア言語拡張のプロジェクトを2012年5月にスタートしました。これは台湾と香港の団体の資金提供でスタートし、インプットメソッド(IME)対応の正式な開発が始まりました。このプロジェクトには NVDA 日本語チームのメンバーも参加しています。
    中国語、韓国語、日本語などのマルチバイト文字を処理する支援技術は、実装が複雑であるうえに、それぞれの言語に根付いた文化の影響を強く受けています。例えば、日本のスクリーンリーダー利用者が長年にわたってなじんだ日本語のかな漢字変換の読み上げ方法は、中国語の漢字を選択する台湾のスクリーンリーダー利用者のインターフェースとは同一ではありません。さらに、日本の点字システムは世界から見ると非常に独特で、世界のほとんどの言語で利用されている点訳ライブラリが日本語では利用できません。
    東アジア言語の支援技術に関わる技術者やユーザーが、このような状況を相互に理解しあう機会は、なるべく多いほうがよいと考えます。
    もう一つの重要な課題は、寄付や募金に依存している NVDA プロジェクトを今後どのように支えていくかということです。
    NVDA 日本語チームは日本における非営利の開発者グループとして、正式に発足したばかりの団体ですが、この NVDA 東アジア言語拡張プロジェクトに開発メンバーとして関わるだけでなく、資金援助もしたいと考えています。
    そのために、日本でも、視覚に障害のあるかたの当事者団体や支援団体の皆様に、NVDA の開発がどのように行われているのか、NVDA がいま世界でどのように普及しつつあるのか、もっと知っていただきたいと考えています。
    NVDA 日本語チームはこのような問題意識から、NVDAの主要な開発者のおひとりであるオーストラリア NV Access Limited の Michael Curran 氏を日本にお招きすることにしました。
    さらに、台湾で NVDA の普及活動や開発のリーダーシップを取っておられる Taiwan Digital Talking Books Association の Jerry Wang (王建立) 博士をお招きします。
    さらに今回 DAISY コンソーシアム 前代表の 河村 宏 氏にもご参加いただき、インクルーシブな社会発展のためにオープンソース技術、オープンスタンダード技術がどのように貢献できるかを、DAISY プロジェクトの経験からお話いただくことにしました。アクセシブルな電子書籍の標準技術である DAISY の理念は、「視覚に障害がある人が追加のコストを負担せずにコンピューターが使えるようにしたい」という NVDA の理念と重なるものと考えています。
    9月16日の講演は15時15分から18時30分の予定です。PyCon JP 2012 プログラムをご参照ください。
    9月17日の予定は調整中です。現時点では PyCon JP 2012 のスプリント(開発者が参加する自由な形式の活動の場)に NVDA コミュニティとして参加する計画です。スプリントだけに参加されるかたは、PyCon JP の参加登録は必要ありません。
    この企画は NVDA 日本語チームのボランティアによって進められています。ゲストの渡航費用や運営経費の一部は、寄付や募金によって賄う予定です。
    翻訳、記録、移動支援など、いろいろなスタッフが必要になると予想しています。
    イベントへの参加や支援について、お気軽にお問い合わせください。
    問い合わせ先:メールアドレス nvdajp@nvda.jp
    ワークショップの公式サイト http://workshop.nvda.jp

  • 台湾レポート公開開始

    今月、台湾での Python 開発者会議 (PyCon TW) に参加して、あわせて NVDA 関係者とミーティングをしてきたのですが、そのことを gihyo.jp の「PyCon Taiwan 2012」参加レポートの一部として書かせていただきました。
    Day0 から順次公開されるので、お読みいただければ幸いです。

  • NVDA日本語版 2012.2.1jp リリース

    NVDA 日本語チームはオープンソースの Windows 対応スクリーンリーダー NVDA 日本語版 2012.2.1jp をリリースしました。
    実行ファイルは i.nvda.jp というアドレスで直接ダウンロードできます。
    デジタル署名を行ったので、インストール時の確認が簡単になり、デバイスマネージャーなどの読み上げが可能になりました。署名の発行元 G.K. Applet 様に感謝します。
    なお、本家は 2012.1 リリース直後に、修正版 2012.2.1 をリリースしました。日本語版のバージョンはこの修正を反映して 2012.2.1jp となりました。
    以下は、リリースノートの内容です。
    NVDA 日本語チームがリリースする NVDA 2012.2.1jp はNVDA 2012.2.1 をベースに作成した日本語版です。
    リリース 2012.1j からの変更は以下のとおりです。

    1. 配布される実行ファイルが1種類になりました。起動時にダイアログが表示されます。ライセンスの下のチェックボックス「同意する」をチェックしてください。その下にある「このコンピューターにインストール」「ポータブル版を作成」「実行を継続」のいずれかのボタンを押して先に進んでください。
    2. JTalk で音声設定「大文字のピッチ変更率」が反映されるようになりました。アルファベット(全角および半角)の大文字を1文字ずつ読み上げるときに、指定された数字を標準のピッチに加算します。100を超えた場合は100になります。(関連チケット28165)
      また、JTalk2 多言語音声エンジンで、タイミングが不適切になる問題に対応しました。(関連チケット23234)
      JTalk でキーエコーを聞き取りやすくするために、「スペル読み」有効の場合に、1文字読みの話速を強制的に標準速度にするようにしました。(関連チケット28157)
      JTalk の出力デバイス設定が有効になりました。(関連チケット28302)
    3. “KGS点字ディスプレイ” および “KGS点字ディスプレイ(ポート手動選択)”というドライバを追加しました。「ポート手動選択」のドライバではCOMポートの設定が可能です。手動選択でないドライバの場合は、ポートは自動選択されます。現在は Windows 7 sp1 x64 および Windows XP sp3 においてブレイルメモ BM46 の USB接続での動作を確認しています。仮想シリアルドライバのインストールが必要です。(関連チケット28226, 27953)
    4. 点字設定で日本語の変換テーブルが選択できます。点字テーブルに 日本語 (NVDAJP) テーブル(リストの最後にあります)を選んだときには、日本語の点字の出力を行います。日本語の自動点訳は不完全で、実装されていない処理が多く残っています。
      点字テーブル「日本語」は KGS 以外のドライバでも有効です。ブレイルセンスプラスへの対応(関連チケット28523
    5. アドオンマネージャーが実装されました。拡張子 nvda-addon ファイルを NVDA のアドオンとして、Web からダウンロードし、インストールすることができます。日本語のユーザーガイドを更新したので、ご参照ください。便利なアドオンのご紹介や日本語化に、今後取り組んでいきます。
    6. 日本語入力のオン・オフの読み上げが「日本語オン」「日本語オフ」から「日本語変換」「変換停止」に変更されました。(関連チケット28534)
    7. Microsoft Speech Haruka でカーソル移動時の文字の読み上げや文字単位の説明が行われない不具合への対応を行いました。音声エンジンの選択で Haruka (nvdajp) を選んでください。(関連チケット28168)
    8. WinAltair 実行時にスリープモードになるようにしました。(関連チケット28156)
    9. つぎの設定の初期値を変更しました。
      「無変換キーをNVDAキーとして使う」チェックあり
      「日本語入力のかな文字をフォネティック読みする」チェックなし
      (関連チケット28643)
    10. 記号読み上げと詳細読み辞書を更新しました。(関連チケット26926,28254)
    11. デバイスマネージャーの読み上げなどの機能が動作しない問題(関連チケット28236, 27801)を解決するために、合同会社アプレット様からデジタル署名を無償でご提供いただきました。インストールなどで G.K. Applet と表示されますが NVDA 日本語チームからの正式なリリースです。

    NVDA本家からの変更点:

    1. 今までの日本語版と同じく、無変換キー対応、日本語音声エンジンの追加、日本語入力の読み上げ対応などを追加しています。
    2. 新しく導入された自動更新チェック機能は日本語版では無効にしています。(関連チケット28159)
    3. ログにマルチバイト文字を出力する変更を行いました。(関連チケット28553)

    既知の不具合は以下のとおりです:

    1. 日本語のかな漢字変換の読み上げの実装は不完全です。文節をひとつずつ入力して確定する、不要な文字の削除は確定後に行う、といった使い方でご利用ください。(関連チケット28155)
    2. 実験的な日本語点字ディスプレイのドライバ DirectBM については、Windows の64ビット版で動作しない現象が確認されています。(関連チケット28211)また、DirectBM ドライバは変換テーブルの設定に関わらず日本語を出力します。