nishimotzの日記

  • NVDA日本語版 2013.1jp の公開とイベント開催のご案内

    無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の日本語対応をすすめる NVDA 日本語チームは、2013年5月21日に最新の日本語版 NVDA 2013.1jp を公開しました。
    ダウンロード
    http://i.nvda.jp
    NVDA 日本語版 2013.1jp のライセンスは GPL v2 です。
    Windows 8, 7, Vista, XP の32ビット版および64ビット版に対応しています。
    Windows 8 ではタッチ操作が利用できます。
    以下は対応しているアプリケーションの一部です:

    • Webブラウザー (Mozilla Firefox を推奨、 Microsoft Internet Explorer, Google Chrome にも対応)
    • Adobe Flash Player によるアクセシブルなコンテンツの操作
    • 電子メールクライアント (Mozilla Thunderbird を推奨、Windows Live Mail, Outlook にも対応)
    • Microsoft Office アプリケーション Word, Excel, PowerPoint の主要な機能(対応バージョン 2003, 2007, 2010)
    • LibreOffice (推奨バージョン3.6.6)
    • Skype for Windows (バージョン6を推奨)
    • Apple iTunes for Windows
    • Twitter クライアント Tween
    • 日本語入力システム(Microsoft IME, Microsoft Office IME および ATOK を推奨、Google 日本語入力にも対応)
    • Adobe Reader によるアクセシブルな PDF 文書の読み上げ
    • Adobe Digital Edition によるアクセシブルな EPUB 書籍の読み上げ
    • AMIS によるオーディオ DAISY およびマルチメディア DAISY 書籍の読み上げ

    以下は利用できる点字ディスプレイの一部です:

    • ケージーエス ブレイルメモシリーズ(ブレイルテンダー、ブレイルメモポケットを含む)
    • ブレイルセンス・オンハンド

    オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA は、Michael Curran, James Teh の両氏が中心となって開発を行い、世界のコミュニティが支援しています。
    NVDA は多くのアプリケーションに対応し、インストール不要で利用できるポータブル版、アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。
    2013.1 の更新内容は、直観的で一貫性のあるラップトップ配列の採用、Microsoft PowerPointへの対応、ウェブブラウザでの詳細説明(longdesc)への対応、点字ディスプレイからの入力(日本語は非対応)などです。
    NVDA は世界40以上の言語に対応していますが、音声エンジンと点訳エンジンは日本語に対応していません。
    そこで NVDA 日本語チームは、日本語音声エンジンと点訳エンジンを搭載した NVDA 日本語版を独自にリリースしています。
    2013.1jp では仮名漢字変換の互換性や安定性の改善、日本語点訳規則や情報処理点字への対応、点字ディスプレイのカーソル位置処理の実装、および多くのバグ修正を行いました。
    詳細はNVDA日本語版の説明をご覧ください。
    リリース直前に以下の不具合が確認されています:
    上書きインストールすると点字設定の出力テーブルが日本語以外にセットされる(チケット31397)

    その他の不具合はチケットをご確認ください。
    なお、NVDA 日本語チームは、NVDA の機能や活用方法、日本語化の取り組みをご紹介するために、下記のイベントを開催します。
    NVDA にご興味・関心のある個人・団体・企業の皆様、ふるってご参加いただきますよう、ご案内申し上げます。
    イベント名(仮称):「NVDAが開く新たな世界」
    主催:NVDA日本語チーム
    共催:View-Net神奈川
    日時:2013年8月17日(土)
    会場:横浜市民活動支援センター(神奈川県横浜市中区桜木町1-1-56)
    詳細は今後 NVDA 日本語チームのWebサイトでお知らせします。
    http://www.nvda.jp
    NVDA日本語チームへのご連絡はメールアドレス nvdajp@nvda.jp にお願いします。

  • セキュリティもみじに参加しました

    情報セキュリティの勉強会 セキュリティもみじ 第24回セミナーに参加しました。
    Togetter まとめ
    セキュリティに関する事件や不祥事は絶えないのですが、「そんなことに引っかかるほうが悪い」「何も対策をしていないから悪い」という「情報弱者叩き」になりがちです。
    辻 伸弘さんの講演の趣旨を、私は「人が誰でも病気になるように、システムは攻撃に合わないことを保証できない。しかしリスクや被害を減らすための多層的な対策は可能だし、何を守るべきなのか日頃から意識して準備することはできる」と理解しました。そして「多層防御」についての技術的な具体例もご紹介いただき、参考になりました。
    NVDA 日本語版のために電子署名を買おうとして頑張った話を、ライトニングトークでさせていただきました。
    まあ簡単に言うと「安く買おうとしてかえって敷居が高くなってしまい挫折中」です。。
    トークの後そして懇親会で、いろいろ声をかけていただいて、デジタル証明書サーバーの立て方を教えていただいたり、スクリーンリーダーについて質問をしてくださったりしました。
    この先どうするか、まだ決めていないのですが、参考になりました。
    ノベルティグッズのご提供、ケーキタイムのおいしいお菓子など、準備に関わられた関係者の皆様に感謝します。
    セキュリティとアクセシビリティといえば「画像認証」(CAPTCHA) という話題もありますが、そもそもスクリーンリーダーを開発していると、アプリケーションやOSから情報を引っこ抜いて読み上げるという挙動そのものが「コンピューターウイルスと紙一重」であることを痛感します。
    どうやったらオペレーティングシステムやアプリケーションをお行儀よく実装できて、スクリーンリーダーがトリッキーなことをせずに済むようになるのか、という技術的な情報を、もっと発信していきたいと思い始めています。
    5月18日に NV Access は NVDA の新しいバージョン 2013.1 をリリースしました。
    NVDA 日本語チームは NVDA 日本語版 2013.1jp のリリース準備を進めているところです。

  • NVDA日本語チームの活動のご案内

    オープンソースのスクリーンリーダーNVDA日本語版 2012.3.1jp の公開から1ヶ月半が過ぎ、ダウンロード回数が2100を超えました。
    しかしNVDA日本語版にはまだ開発途上の機能があり、ご意見やご要望がいろいろあろうかと思います。
    NVDA日本語チームの活動と、ユーザーの皆様に開発に参加していただく方法について、ご案内します。
    (1) 日本語チームの概要
    NVDA日本語チームは、2012年7月より、下記の規約のもとで運営しています。
    NVDA日本語チーム 運営規約
    NVDA 日本語チームのメーリングリスト nvdajp-team の参加者を会員として、会員が話し合って物事を決めていく体制です。
    メーリングリスト nvdajp-team の参加方法や過去の発言の公開
    なお、このメーリングリストにはチケットシステムの更新記録も配信されます。
    日本語チームは、月曜日の夜8時30分から定例Skype会議を行っています。
    日本語チームの代表である西本がやむを得ない事情で参加できない場合も、日本語チームのメンバーの交流の時間としてご活用いただいています。
    最近のSkype会議の記録は下記のとおりです:

    私は来週から2週間お休みをいただいて、次回は2月11日に参加します。まだ日本語チームのメンバーでないかたも、お気軽にご参加ください。
    (2) 開発版のテストや翻訳など
    NVDA日本語チームでは、開発スナップショットを作成し、日本語関連機能の改良を進めています。
    2011年の2月から2012年9月にかけて、開発スナップショットを sourceforge.jp からダウンロードできるように公開して、 NVDA 日本語ユーザーのメーリングリストで告知してきました。
    2012年9月のSkype会議の結果、開発スナップショットの公開はやめて、日本語チームのMLに参加しておられるかただけを対象に告知する形式にしました。
    例えば、本家の最近のスナップショットは PowerPoint 対応が完了しており(これは各国の当事者団体からの資金援助で実現されました)、日本語版の開発スナップショットでも PowerPoint 対応のテストが可能です。
    もし日本のPowerPointユーザーから本家の開発にフィードバックすべきことがあれば、日本語チームがお手伝いをさせていただきます。
    また、最近は日本語点訳エンジンについて、なるべく日本語点字の規則に従って処理を行うような改良を進めています。
    仮名づかいや分かち書きの処理の基本ルールにやっと対応できたところで、まだまだやることはたくさんありますが、日本語チームのメンバーにテストをしていただき、仕様を相談しながら進めています。
    この数ヶ月、日本語版の開発と翻訳をほとんど一人でやってきました。
    ドキュメントやアドオンの翻訳など、もっと多くのかたに協力していただきたい作業もあります。
    NVDA 日本語版をもっとよくしたいというかたに、日本語チームへのご参加をご検討いただければ幸いです。
    (3) チケットシステム利用などのご案内
    バグやご要望の報告にはチケットシステムの利用もご検討ください。
    バグ報告は、開発者が状況を再現できるように手順を具体的にお知らせください。
    NVDA日本語版のチケットの新規登録
    (4) 本家版開発への参加
    NVDA本家版の日本語関連の要望や不具合を、本家への要望として英語で報告していただくことも重要です。
    NVDA本家版も昨年の2012.3.1で入力メソッドに対応したのですが、中国語入力のサポートとして行われた実装なので、日本語のための環境としては機能が十分ではありません。
    NVDA日本語チームは、NVDA本家の開発・翻訳の貢献者として、NVDA本家の日本語対応も担当しており、将来は日本語版と同等の機能が本家版で実現されることを目指しています。
    NVDA本家の開発者向け情報(英語)
    (5) 最後に一言
    昨年、NVDA中国語チームが進めてきた資金調達と中国語対応開発の動きを見守って、そして PowerPoint サポートのきっかけになったWBU 総会でのタイのモンティアン上院議員のリーダーシップを見てきました。
    「自分たちがお金を出して自分たちのソフトウェアとして育てる」いわゆる「オーナーシップ」の気持ちが NVDA の開発を後押し始めています。
    この世界の状況を、もっと日本のユーザーに知ってもらい、日本語チームの活動を、もっとよい方向に変えてもらいたい、と思っています。
    だから、「NVDAは自分の所有物ではない」と思っている私の、権限や仕事を減らしていただける提案は、私は歓迎します。