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  • オラビーの技術情報

    オープンソース版オラビーを開発する場として github を使うことにしました。

    にて caststudio, castserve の2つのプロジェクトを登録しました。現時点では開発と技術評価を目的としており、正式なリリースではありません。

    caststudio は

    にて紹介された機能から大きな変更はありませんが、Java Media Framework への依存部分を削除し、現在は JavaSound で音声を再生する実装になっています。Windows版の Java 6 で動作を確認しています。

    castserve はファイルを整理して放送の準備を行う Web アプリケーションです。前述の発表では HoldStation となっていました。PHPによる実装を捨てて Ruby でゼロから書き直しました。仕様は大幅に変更され、画面構成も整理されつつあります。さらに castserve から JNLP (Java Web Start) 経由で CastStudio を起動できます。これらはすべて Ruby on Rails が提供する Model-Controller-View のフレームワークを生かして実装されています。

    オラビーは生放送に必要な機能に特化していますが、私がラジオの生放送の現場に実際に関わった経験から「事前の作り込みがしっかりできてこそ、生放送でのアドリブに対応する余裕が生まれる」という立場に立っています。例えば、前日の夜にディレクターが自宅から castserve にアクセスして投稿素材をチェックしておき、当日は事前に準備された素材をベースに、放送中に投稿された新たな音声を組み合わせる、という使い方ができます。

    音声の投稿機能(アップローダ)は castserve の一部として公開する予定ですが、全く独立の CGI プログラムとして動作します(Ruby on Rails 環境は不要です)。

    この CGI プログラムは HTML と VXML と RSS の3つのモードで動作します。

    VXML モードでは VoiceXML サーバ(http://www.plumvoiceportals.jp/)と連携して、電話からの音声投稿の機能を提供します。これまでの実証実験をふまえて、数字ボタンをまったく押す必要がないように仕様を変更しました。HTML モードでは音声ファイルをアップロードすることができます。RSS モードは、castserve と通信をするための機能です。

    アップローダ、castserve、caststudio は RSS を共通フォーマットとして相互に通信します。特にアップローダとcastserveの間のAPIを明確に定義することで、さまざまな「音声投稿サイト」「音声共有サービス」と連携したいと思います。欲しい情報を自由にフォローして番組を組み立てることができると考えています。

    今回のリリースではユーザインタフェースに日本語を使っていません。IPAX2009 終了後に Rails のバージョンを現在の 2.0.2 から最新版に更新し、Rails の I18N 機能を用いて多言語化する予定です。ソースコードはすでに UTF-8 で統一しており、段階的にコメントを英語化する予定です。開発に関するコミュニケーションは github を拠点にしたいと考えています。

  • IPAX2009でオラビーを展示(5/26-27)

    ラジオ番組制作システムのイベントについてお知らせします。

    2005年度に経済産業省の外郭団体(IPA)の支援で西本が開発した「オラビー」というシステムについて、http://ora-be.nishimotz.com/ の開発計画の見直しを進めています。今回、これまでの実験の経緯や現状をお見せして、今後の計画をお伝えしたいと思います。

    展示会名称: IPAX 2009

    開催日時: 2009年5月26日(火)~ 27日(水)(2日間)

    10:00~17:00(26日は17:30まで)

    会場: 東京ドームシティ プリズムホール・東京ドームホテル シンシア

    ※未踏コーナー(50小間予定)の1小間として出展(展示のみ)。

    展示会場はプリズムホール(天空A)小間番号 e-16です。

    アクセス:JR中央線・総武線 《水道橋駅》 丸ノ内線《後楽園駅》

    三田線 《水道橋駅》 大江戸線《春日駅》 南北線 《後楽園駅》

    主催: IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)

    後援: 経済産業省、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会

    来場者数: 4,000名

    入場料: 無料

    展示は事前申込不要。講演等への参加には事前登録が必要。

    事前登録のお申し込み:http://www.ipa.go.jp/event/ipax2009/index.html

    タイトル:ラジオ放送支援システム「オラビー」の開発

    展示概要:

    我々は小規模な放送局が音声投稿番組を効率的に制作できるラジオ放送支援システム「オラビー」を開発してきた.

    地域に密着したコミュニティ放送局や個人によるインターネットラジオの生放送における利用が期待される.

    今回は、リスナーが携帯電話から音声メッセージを投稿でき、

    FMラジオで受信する、という実演を行う予定です。

    このシステムについては、2005年度にIPA未踏ソフトウェア事業として採択された際に、私が住んでいた東京都台東区の谷中で何度も開発打ち合わせしながら、多くの方の御協力を得て開発をすすめました。当初から(株)ボイスバンクさんの協力を得て、電話回線からの手軽な音声投稿を実現してきました。さらに、2005年度から2008年度まで埼玉県入間市のFMチャッピーさんの番組でお使いいただきました。特に2006年2月には「なべやかんの居留守放送局」として、未踏プロジェクトの実証実験の一環として音声投稿による特別番組を放送できました。西本個人としては、2006年度に東京女子大学での非常勤講義の中で音声投稿の実験をさせていただき、また谷中芸工展の期間中にストリーミング放送の実験を行いました。

    IPA事業として助成を受けた成果は以下で発表を行いました。

    • 西本 卓也,川崎 隆章: “ラジオ放送支援システム「オラビー」の開発,” 電子情報通信学会技術報告, WIT2006-25, pp.49-54, Jul 2006. PDF

    2007年3月にはこの活動を踏まえて電子情報通信学会総合大会イベント企画を実施しました。

    私自身も2007年2月に瀬戸のコミュニティFMにて自分の活動をお話しする機会を得ました。

    今回、共同開発者の川崎隆章氏が所属する(株)NASAさんとの話し合いの結果、出願済の特許

    • 特願2006-075487(名称:放送番組編集装置、放送番組編集用プログラム及び放送番組編集用可搬式コンピュータ)

    の審査請求を行わず、権利を放棄し、今後は、どなたにでもオープンに利用していただけるようにソースコードや運用環境の整備を目指すことにしました。これまで西本個人で細々と続けてきたシステム開発は、データベースやWebアプリケーションの実装部分にRuby on Rails を導入する作業を進めており、今後は開発の加速が見込まれます。また、ボトルネックだった Java Media Framework への依存性は、新しいリッチクライアント技術 JavaFX への移行により解決する予定です。さらに、オープンソースプロジェクトに移行することで、多くの方に開発への参加を呼びかけたいと考えています。

    昨今の経済状況を契機に、個人や小規模の放送局だけでなく、あらゆる場面で放送の「ダウンサイジング」が進むことが予想されます。パーソナルコンピュータ・インターネット・さまざまな無償ソフトウェアが、誰でも低コストで高品質のコンピュータ環境を享受できる時代を実現したように、今後、無償で利用できる放送支援システムは、重要な社会・生活のインフラに発展していくと考えています。

    生放送における投稿ファイル編集のためのユーザインタフェースに特化して開発されたオラビーは、動画も扱えるように拡張可能です。昨今のポッドキャストや動画共有サイトなどの流行を踏まえて、既存のサービスとオラビーの連携も視野に入れていきます。

    技術や出展の詳細については、この「はてなダイアリー」で今後もお知らせしていく予定です。

    • 5月6日:小間番号と事前登録サイトのURLを追加しました。
    • 5月12日:展示会場、参加方法、展示内容などを補足しました。