投稿者: nishimotz

  • 情報と理解

    研究会では私が共著の発表も1件ありましたが、

    学生さんは元気に立派に発表してくれました。

    質疑応答も堂々とこなしてくれました。

    実は前々日、前日と準備をして、

    何度発表練習をしてもよくならなかったのです。

    ちゃんと原稿を書いて読んでいるのですが、

    全然内容が伝わってこない。無駄が多い。

    じゃあ、ダメモトで、原稿を読まないでスライドだけ見て喋ってください、

    とお願いをしたら、たどたどしくはなったものの、

    格段にわかりやすくなったので、私が驚きました。

    あまりに変わったので、なぜだろう、と考え込んだほどです。

    仮説1)

    原稿を読まずに喋ることで、聞き手の考えるスピードと、

    読み手の喋るスピードが一致して、理解しやすくなる。

    仮説2)

    原稿を読まずに喋ることで、

    スライドに書かれた情報量と喋ることができる情報量が一致して、

    情報量が適切になる。

    ということをいろんな人に話したら、

    「じゃあアナウンサーの原稿読み上げはなぜわかりやすいのか」

    と反論されましたが、きっとニュース原稿が特殊なのだと思います(汗)

  • 善意と配慮

    12月5日と6日の2日間、

    HI学会と福祉情報工学(WIT)研究会の共催研究会に出席しました。

    http://www.ieice.org/~wit/program/2007_12-no39.html

    特に2日目の畠山卓朗先生の講演、大変なショックを受けました。

    「スイッチの神様」という紹介を受けて登壇された畠山先生。

    http://homepage2.nifty.com/htakuro/index.html

    リハビリテーションの現場の御苦労が生々しく伝わってきました。

    善意の押しつけや配慮に欠ける技術は受け入れてもらえない。

    見かけのニーズではなく、真のニーズを発見すること。

    「観察者」「対話者」に加えて「共感者」の視点を持つこと。

    福祉技術に限定せずヒューマンインタフェース技術の研究一般に当てはめても

    思い当たることがたくさんあったと思います。

    「とにかく現場をよく見てください。場と時間を共有してください」

    という畠山先生のメッセージに対して、質疑応答では

    「研究者とリハ技術者の役割分担の可能性はありますか」

    という質問が出たのですが

    (私も、そうかな、と思ったのですが)

    畠山先生は否定的でした。

    そのこともあって、

    現場に出ることができない研究者はどうしたらいいのか、

    学会が研究者に対してできることは何だろうか、

    と考えさせられました。

  • 展示と点字

    2007 国際ロボット展

    東京ビッグサイトで今日から12月1日まで開催。

    昨日、会場の設営現場に行ってきました。工業用ロボットの並ぶ大きなブース群ではなく、サービスロボットという分野の小さなブースに、音声認識を使った簡単なデモを搬入してきました。最近ずっとこれをやっていたので、とにかく形になってホッとしました。

    東3ホールのSR-14というブースで、ユニバーサルロボットさんという会社の展示です。

    最近 CodeGear C++Builder のことを何度か書きましたが、この仕事を通じて C++Builder の経験を積むことができました。まだまだですが。。

    UDソリューションセミナー

    夕方、毎日新聞の「ユニバーサロン」が企画するセミナーに参加。視覚障害者の支援技術をいろいろ見せていただきました。

    今回はグラフィックスや地図や触覚がテーマでしたが、自分が3年前にやった「谷中標本」とかなり近いコンセプトでICタグを使う提案もあり、音声と組み合わせる提案もいろいろで、新鮮でした。

    懇親会に参加したら、いろいろな方に声をかけていただいて、すっかり料理を食べそびれました。

    2次会に参加したら、10人のうち晴眼者は2人だけ、という状態。いろいろ本音を伺うことができました。

    「視覚障害者がどのくらい触覚から情報を得ることができるか」

    これは、本人がどれくらい前向きな気持ちになるかどうか、という要素が大きい。

    点字が使える視覚障害者は10%程度と言われています。訓練を受けないまま中途失明した方は、いまさら点字なんか覚えたくない、という方が多いようです。しかし立体コピーなどの機器が普及して、

    「こんな情報なら頑張って読んでみたい」

    と思うようなことがたくさん出てくれば、状況は変わるだろう、とのことです。